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茅刈り体験会「カヤカル」 アーカイブ

2008年12月06日

1206 カヤカル'08@美山・初日

傷みの目立つようになって来た砂木のお堂の葺き替えを目指して、まず材料の茅となるススキを砂木の集落内で刈り集めることとなりました。
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「カヤカル'08美山」として茅刈りへの参加を募ったところ、各地から20人の方が集まって下さいました。

春にフルセ(立ち枯れたススキ)を刈り倒しておいた茅場に移動して、最低限の注意事項を説明させてもらったら、鎌とサンバイコウを手渡して、早速茅場へと入ってもらいます。
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刈り方も束ね方も、実際の作業を通して覚えるのが一番ですから。

地元の人たちの手解きを受けながら、カヤカル参加者もどんどんきれいな茅の束をつくって行きます。
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みんなで刈るとたちまち茅場は広々としてきます。やはり茅刈りは大勢でやると達成感が得られて楽しいです。

刈って束ねるだけのことですが、茅として屋根に葺くのに適した束を手際良くつくるためには、ちょっとしたコツががあります。
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簡単なことでも、何世代もの経験の積み重ねから生まれた、それは里山の知恵なのです。体験して教えてもらう機会が無ければ、一生気付くことの無いこと。

夜は集落の皆さんが持ち寄って下さった、素晴らしく美味しい家庭料理の数々を楽しみつつ、乾杯。
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ともに鎌を手に汗を流したもの同士、茅トーク、田舎暮らしトークに夜更けまで花が咲きます。

2008年12月07日

1207 カヤカル'08@美山・2日目

カヤカル2日目。一晩寝ると初日の体験が熟成されて、技術として身についているか試すときです。
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朝は、霜柱が大きく育つほど冷え込みました。

が、今日作業する茅場は陽当たりが良いので、朝日に照らされて茅は乾いていて、刈るのに支障はありません。
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本来ススキは、このような陽当たりの良い乾いた場所に生えるものです。かつての里山では、ススキに適した場所が選ばれて茅場として手入れされて来ました。

昨日と今日と、同じススキでも場所によって、手入れの程度によって、茅としては随分と質が変わって来ること実感してもらえたのではないでしょうか。
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遠くにお堂を眺めながら、カヤカル参加者の手際もすっかりサマになっています。

そして、手入れの行き届いた茅場からは、カヤネズミの古巣が。
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ここでは晩夏には、スズムシの声も良く聴こえます。

みんなで刈り集めた茅で、初夏にはこのお堂の一部を葺き替える予定です。
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そのときにはまた、ぜひ地下足袋履いていらしてください!

2009年02月02日

0201 カヤカル'09ヨシ編@淀川 十三干潟

冬の風物詩、山城萱葺屋根工事のヤマダさんが手入れされている、淀川十三干潟でのヨシ刈り体験会が開催されました。
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例によってまずは刈り方指導、ヤマダさんの模範演技から。
ススキを刈るのは両刃の鎌を使いますが、ヨシを刈るのは片刃の鎌です。

刈り方と束ね方を教わったら、早速やってみましょう。
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広いヨシ原の向こうに見える特徴的な形のビルは大阪梅田のランドマーク、梅田スカイビル。
大阪駅の目と鼻の先にこの風景ですよ。実は大阪はすごく自然豊かな街なのでは。

何世紀にも渡って毎年欠かさず刈り取られて来た、ここのヨシは何回見てもほれぼれします。
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手入れしていないヨシ原ではこうは行きません。お近くの溜め池とか訪ねて確かめてみて下さい。

手入れの行き届いたヨシ原には、たくさんの生き物たちが暮らしています。
きれいなヨシを刈り進めて行くと、ヨシ原の中からウグイスの仲間、セッカが顔を出しました。
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(写真:小林瑞穂)
なんだか、リスかネズミみたいな動きで、ヨシの根本をチョロチョロしていました。

干潟バスが出まーす。
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普段のお仕事ではこの草刈り機.改で刈り倒しているそうです。でも束ねるのは手作業ですから、茅刈りとは、いかに手早くきれいに束ねるか、というあたりに、職人技に迫る鍵がありそうです。

みんなで「良い茅束」に拵えたヨシを、干潟の入り口淀川河川公園沿いに立てて乾かしておくことにします。
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公園に草野球やジョギングや散歩に来る人たちにも、ヨシ原をもっと知ってもらえたら・・・
夏には淀川花火が上がる、まさにあの真下なのですけれどね。

2010年01月16日

0109 カヤカル'10ヨシ編@淀川 十三干潟

今年もやって来ました、淀川は十三干潟のヨシ原へ。
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この写真は合成ではありませんよ、念のため。
本当に梅田の目の前に、野鳥が飛び交うこんな草原が。

参加者にはいきなり、鎌と一緒に砥石が配られます。
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刃物は使う前にまず研がねば。
砥石を使ったことがなくても、研がねば。

ヨシ刈りと言えば、この方。
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山城萱葺屋根工事のヤマダさんから、刈り方の説明。

道具と方法を手に入れたら、早速ヨシを相手に挑みます。
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実践あるのみ。

ヨシが枯れきった真冬に刈るので、肌寒い曇りの日は避けたいところですが、お天気に恵まれても海に近い十三干潟では、日が差して地温が少し上がると冷たい海風が吹き込んで来るから、いつも寒かったようなイメージが残っています。
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でも今年は、うらうらと暖かい陽射しの中ほとんど風も吹かずに、のんびり気分で刈ることが出来ました。

動いていないと寒い!何てことがないからなのか、お昼ごはんのあとに何か始まりました。
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普通ヨシズを編むには、錘りを利用した道具が必要なのですが、「手」がいっぱいあれば道具無しでも編むことができそうです。
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あっという間に、ちょっとしたものができましたよ。
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温暖化防止のための壁面、開口部の遮熱には、ヨシズは素晴らしい性能を発揮します。
これからの最新トレンドは、ビルも住宅も屋根は茅葺き!壁面はヨシズ(国産)!

広い広いヨシ原。
でも、本当に茅葺きに適したヨシが生えるところは、限られています。もちろんそれとて相当な面積ではありますが。
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茅葺きに適さないヨシが生えた場所も含めて、ヨシ原全体を効率良く手入れするには、やはり火入れが欠かせないのですが・・・

刈り取ったあとにはゴミが目立ちますね。上流での暮らしの中から流れて来たものです。
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いくらヨシ原が川をきれいにしてくれるといっても、生活ゴミまでは処理してくれません。
「良い子は川にゴミを捨ててはいけません」


2010年01月17日

0116 カヤカル'10ススキ編@神戸 落合団地

今年は2周連続で開催しました、恒例の神戸のニュータウンでの茅刈り
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初回は少数精鋭で和気あいあいと、2回目は団体さんを迎えて賑やかに、いずれも好天に恵まれて事故もなく。

茅葺きなんて陰も形も無い街の中。でも、20年近く毎年刈り取り続けている茅場には、茅として最高品質なススキが生い茂ります。
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でも、それが「最高の茅」になるかどうかは、刈り取る人の束ね方次第。
「べっぴんの茅」に仕立ててあげてくださいね。

出来上がった茅には、刈って束ねた人の個性が現れますねえ。
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皆さん、愛情込めて刈って頂き、ありがとうございました。

「思ひ草」ことナンバンギセルが花を咲かせたあとが、例年以上に目につきました。
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今年はススキの花穂の付きが少し悪かったような気がしますが、何か関係があるのでしょうか。無いのでしょうか。
人が関わることが植物同士の関係にどう響くのか、里山の営みには不思議なことが一杯です。

みんなで刈ると、すっきりと開けて気持ちが良いです。
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刈り残しや雑草は後日スタッフが処理して、春を迎える茅場の準備が整います。

2011年08月16日

0714 茅喰う虫

神戸市北区役所主催の茅刈りイベントの会場として刈らせてもらっている、花山中尾台の茅場の様子を見に行って来ました。
ここ数年茅刈りを続けて来た事で、茅になるススキの葉は良く繁るようになって来たのですが、ススキの花である尾花だけが立ち枯れてしまう事が続いているのです。
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しかし、時既に遅し。青々と繁るススキ野原の中に、若白髪のように混じる枯れた葉は、これから尾花をつける棹となるはずだった葉です。

刈れた葉の付け根を見ると、尾花のつぼみ(という言い方で良いのか?)が納めらてていた部分が狙い撃ちに、無惨に喰い破られてしまっています。
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冬の茅刈りイベントで見た状況と全く同じです。
ここには既に下手人の姿はありません。

茅刈りを繰り返す事で雑草だらけだった斜面がススキの生い茂る野原になりつつあるのに、秋になっても一面の尾花が銀色に陽に輝くさまを見られないのは、ご近所に何とも申し訳ない思いです。
何より毎年種を飛ばせないままでは、ススキの今後が心配です。
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せめて犯人の顔だけでも拝んでやりたいと、原っぱをかき分けようやく見つけ出しました。
入り口?らしき小さな穴が上下にひとつずつ。しかし喰い破って出て来た様子はありません。

で、中に居たのがこれ。
酷い写真で失礼かとは思いますが、どなたかこれが誰だかご存知の方がおられましたら、ぜひとも教えてくださいませ。

※ニカメイガの幼虫のようです。山本正臣 http://twitter.com/#!/hitakijo 様が教えて下さいました。


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もう2本、穴あきのススキを見付けて家に持って帰り、どんな成虫になるか確認したかったのですが、ススキがすぐに枯れてしまい失敗でした。
相手がわかれば来年対策も考えられようというものですが、幼虫だけ、それもこんなピンぼけ写真だけで同定なんてできるものなのか甚だ不安ですが・・・

2011年08月28日

0819 続・茅喰う虫

花山中尾台の茅場がニカメイガの酷い食害を受けていたので、車を走らせていても路傍のススキが気になって仕方がありません。
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どうも、「若白髪」が目立つような・・・
美山の隣りの南丹市日吉町で、車を停めて確認してみました。

すると、やはり。
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暑さで葉先が枯れることは良くありますが、本来なら一番勢いのあるはずの、葉鞘の中心にある新芽が枯れてしまっていて、その付け根には2つの穴が。

中を開くと、いました。小さなニカメイガの幼虫が4匹。
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ただし、花山中尾台のようにほぼ全ての葉鞘にニカメイガが入って全滅状態という訳では無く、このまま無事に尾花を咲かせそうな様子のススキも少なくありません。
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これはどう考えれば良いのでしょうか。
ニカメイガはこれまでもススキ草原に普通にいて、草原全体としては尾花をつけるススキが多いからそう目立つことでも無かったのか。或いは、現在ニカメイガが突然増えつつあり、やがてどこのススキ草原も花山中尾台のような状況になってしまうのか。

ところで、イネ科の花穂を枯らしてしまうということは、稲が食害を受ければ収穫がゼロになってしまう危険な害虫ですから、田んぼでは一般に入念な防除が行われているそうです。
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これは以前晩秋に撮った写真ですが、篠山にはこのように田んぼの畔を茅場に仕立てているところが多くあります。今回車の中から見た限りでは、このような田んぼの傍の茅場には「若白髪」は目につきませんでした。

かつては茅場では刈り取った後に火を入れることで、害虫の発生を抑えていました。住宅地や道路法面に再生した茅場では、刈り取り後に手間をかけて掃除することで野焼きに替えようと努めて来ましたが、昔からの営みにはやはりそれぞれ意味があって、現代の都合で簡単にアレンジできるものでは無いということでしょう。

とはいえ、田んぼのように農薬を散布する訳にもいきませんので、さて、どうしたものか。

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