茅葺き現場日誌@藍那Cハウス棟」カテゴリーアーカイブ

1207 続・軒付け/しっかり野菜

軒先の水切となる部分は、良質なヨシを選んで一束ずつ針金でかきつけて止めます。
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さらに両角を付けた分だけ茅を葺き並べて押さえ竹で固定し、軒がしっかりと固まりました。

ここまでの工程で、屋根全体のプロポーションも決まります。
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軒がついたことでシートが風をはらむ危険も低減し、雨漏りの不安も軽くなりました。
特殊な屋根下地のことは気にかかりますが、とにかく最初の山場は越えました。

ところで、今回手伝いチームに参加して下さっているアルバイトの方に、有機栽培農家の方がおられます。
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現場で毎日出る茅くずを堆肥原料として引き取ってもらい、宿舎には立派な冬野菜をたくさん差し入れて下さいます。

おかげで今回の宿舎は、思いのほか食生活が充実しています。
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良い野菜を大勢で調理して、大勢で食べるのですから美味しく無いはずがありません。
茅葺き大家族生活。

1201 建設現場

毎日晴れて朝の冷え込みは堪えますが、朝日に透かして見る藍那の雑木林の紅葉は、盛りとなりいよいよ見事です。
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薪や椎茸のホダ木にするための伐採適期を過ぎて大きくなり過ぎたコナラやクヌギ、下草刈りが行われないため増えて来た照葉樹など、問題を抱えつつある藍那の雑木林であっても、日々移ろい行く自然の見せる表情には引き込まれるものがあります。

屋根では軒付けと平行して、下地の横竹の取り付けが進められています。
手伝いチームのアルバイトも、屋根に上がって「男結び」を実戦で覚えます。
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「ここからここまで、全部やり直し」「縄がもったいない、使い方を考えて」
体験会の「カヤマル」とは違い「お仕事」ですので、厳しい指摘が飛びますけれども、まだまだ時間は充分にありますから。
考えながら体を動かしていけば、身に付くことも少なくは無いでしょう。

屋根だけ見上げているとのどかな雰囲気の茅葺きですが、振り返ってみると今回の現場はこんな感じ。
敷地内には茅葺きを含めて3棟のクラブハウスの建設が進められているので、外構や設備工事も併せて様々な職種で大勢の職工さん達と一緒に仕事を進めています。
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普段茅葺きの現場では、パワーツールすらほとんど使わず茅を触るかさかさという音しかしないので、ユンボが這い回りダンプが行き交う現場の空気に慣れるのには、まだしばらく時間がかかりそうです。

1129 軒付け

茅葺き用の下地の段取りが整ったので、いよいよ茅を葺き始めます。
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今回は垂木が竹となり釘打ち出来ないので、カヤオイも丸竹を藁縄で結わえ付けて使います。

例によってまずは堅めの材料をかきつけて行きます。今回は宮城から届いたヨシの一部を使います。
ヨシの茎の中は中空で断面には穴が開いていますが、ヨシに混じって茎の中が詰まって断面が白いものが混じっています。
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何という名前の植物か判らないのですが、ヨシとは異なる種類だと思います。しかし、ヨシに混生して外見はそっくりなので、刈り取られて茅材となったヨシには常に紛れ込んでいます。

ストロー状のヨシに比べて通気に欠けるせいか耐久性が劣るようで、刈り子さんからはヨシに対して「アシ(悪し)」と呼ばれていたりします。雨に濡れる屋根表面に使うのは避けたいので、選り分けて屋根裏となるかきつけに用いることにしました。
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「アシ」をかきつけた上に、角度を稼ぐための稲藁を取りつけて行きます。

藁の上には短く切ったススキを並べてさらに角度を稼ぎます。
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最後に長くしっかりとしたススキを並べて竹で押さえて、軒裏となる部分が葺かれました。
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美山では時雨れていたというのに冬の瀬戸内は天候に恵まれて、茅葺きのセオリーから外れた下地に手こずりながらも、今のところ仕事は捗っています。
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里山公園のある藍那は、神戸の中では天気の崩れやすいところではありますが。

1127 続・茅葺くための下地とは

丸太のヤナカの上に、竹の垂木を藁縄で「箱結び」にして固定して行きます。
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少なくとも日本の技術で葺く限り、並べた茅を押さえる竹を縫い止めるために、縄にしろ針金にしろ垂木に回して締めつけますから、その時に片効きせず均等に締まるように、茅葺き屋根の垂木は断面に角の無いものでなければなりません。

丸竹の垂木を配して、これで茅屋根を葺いて行けるようになりました。
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ただし、普通の屋根を葺くための小屋組の上に、茅屋根を「張り付け」たようなことになりますので、屋根全体がしなやかに動いて風や地震の力を受け流す、茅葺き特有の強さは期待できないかもしれません。
もちろん、それを賄うだけの構造計算がなされているのでしょうが、丈夫に固めるのではなく「総持ち」で粘る茅葺きの強さも、現代の構造計算式で評価して頂けるようになればと思います。

ところで今回の現場では「藍那かやぶき交流民家」に続いて、「手伝いさん」チームをアルバイトを募って編成していますが、3K+αの現場にもかかわらず茅葺きに関心を示してして下さる人達が集まってくれました。
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感謝しつつ、いきなりの肉体労働に勤しんでもらっています。茅葺きの現実ですので w
軒付けに使う短い茅を作るために、ススキの束を切ってもらっています。

1126 茅葺くための屋根下地とは

今回茅葺屋で担当させて頂く現場に、大工さんの建て方が済んだのでやって来ました。
新築されるストローベイルハウスの屋根を茅で葺きます。
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常々、「藁の家」は屋根を茅葺きにしてこそ完成するのでは?と思っていたので、とても興味深い現場を任せて頂けることになりました。

ただし、角材の垂木で和小屋に組まれた下地は茅葺きのためのものではなく、このままでは茅屋根を葺いて行くことができません。
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茅葺き屋根を新築する機会というのは、大工さんにとっても建築士さんにとってもほとんど無いことでしょうから、新築物件の場合必ずしも珍しいことではありませんが・・・

しなやかで丈夫な茅葺き屋根の「総持ち」が発揮されるように、できることならば小屋組から配慮された建物が増えて行くようになると嬉しいです。
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そのために我々茅葺き職人からも、出来る限りの情報発信を心がけて行きたいと思います。

とにかく茅屋根を葺ける下地にしなければなりません。まず大工さんにお願いして、角材の垂木の上に丸太のヤナカ(母屋)を設置してもらいました。

1121 ヨシの搬入

久し振りに神戸の里山公園予定地にやって来ました。
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今年度ここに新築される、2棟の茅葺き建屋の屋根葺きに携わります。

神戸は美山と比べて2週間ほど季節が遅いでしょうか。
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日だまりに羽を休めている蝶も、飛び立つとまだまだ元気です。

そこに宮城県の北上川河口のヨシ原から、大型トラック満載のヨシが届けられました。
藍那の里山公園に葺かれる屋根の茅は、公園内を含めた地元神戸と、将来予想される来園者の多くの方にとって身近であろう、淀川水系のヨシを中心に葺いて行くことで、茅葺きの身近な環境との繋がりを感じてもらえるようにしたいと思っています。
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ですが、本格的な茅刈りシーズンの始まる直前の今は、最も茅材の枯渇する時期となるため、とりあえず軒付けを賄う量のヨシを国内最大手のヨシ屋さんから購入しました。

これを積むのも下ろすのも手作業ですので。なかなかに骨が折れます。