茅葺き現場日誌@藍那交流民家」カテゴリーアーカイブ

0127 (元)茅場に咲く野花

阿蘇から来た茅束に混じっていた、ツリガネニンジン、シラヤマギク、アキカラマツ、アザミ etc.
バイトのニシワキ君が名前を教えてくれたので、「雑草」から「野花」に格上げすることができました。
名前がわかるのってうれしいですね。
0127茅場の花.jpg

何れも草原性植生に依存する植物で、日本から「原っぱ」が無くなっていくにつれて、次第に数を減らしているそうです。さすがに阿蘇は数百年単位で草刈り、放牧、野焼きによって手入れされてきた草原だけあって、これらの野花もまだ豊富なようです。
あいな里山公園でも、須磨ニュータウンの「原っぱ」でも、茅刈りを続けてさえいれば、いつか咲いてくれるはず。きっと。

・0127全体.jpg
現場はこんな感じです。
ヨシ葺きからススキ葺きへの移行がほぼ終了しつつあります。
sh@

0125 カヤカル収穫使い初め

茅葺き交流館では、ヨシ葺きとススキ葺きのハイブリット工法を採用しています。
雨水の流れる量が多く傷みやすい軒周りには、耐久性のあるヨシを使って葺いてきましたが、そろそろススキに移行するので、カヤカル1で収穫して乾燥させてきた淀川のヨシにも手を付けました。
0125カル使い初め.jpg

カル2、カル3で収穫したススキも、良い具合に乾きつつありますから、随時屋根に葺いていく予定です。

0125足場ネット.jpg
今日は足場の北、西面に風除けのネットを張って頂きました。冷たい季節風を凌げるようになれば、労働環境は大幅に改善されそうです。
sh@

0124 ヨシ葺き工程

P1010580.jpg
ヨシはススキよりも立てた角度で並べるうえに、葉っぱなど少なく滑りやすいので、ズレ止めの板を立ててから並べ始めます。
長いもの、短いもの、先細りのもの、穂先の大きなもの、屋根の勾配や材料の残りを勘案しながら、上手く納まるように何層かに分けて並べます。

0124ヨシ工程2.jpg
両隅を参考にしつつ、必要な量の茅を並べたら、足場にする丸太で仮押さえして板を外します。

0124ヨシ工程3.jpg
両隅に合わせて屋根の角度が出るように叩き揃えます。

0124ヨシ工程4.jpg
茅押さえの竹を屋根裏に待機する人に手伝ってもらって(針受けという作業です)、下地のレン(垂木)に縫い付けます。

0124ヨシ工程5.jpg
茅押さえの竹を、足で踏み固めて固定してから、もう一度叩き揃えて仕上げます。

0124.jpg
以上を繰り返して、ここまで葺き上がってきました。
sh@

0122 カヤカル3

カヤマル'06における茅刈りの最後に、あいな里山公園の中でも茅刈りを行いました。
茅刈りによって生まれる草原は、里山の生態系にとっても不可欠の要素です。里山公園に建てられる茅葺き民家が、民家の剥製の展示となってしまわず、文化としての茅葺きの継承、発展の場となるように、公園内にも良い茅場を育てていきましょう。

0122karu3.jpg

皆さん、おつかれさまでした。
いつか、刈りとった後には茅場に火入れができるようになると、尚良いですね。
sh@

0120 吹きさらし

0120寒い素屋根.jpg

交流民家は北西方向に開けた高台の端に建てられています。夕日はきれいですが、吹きさらしの足場の上での作業では、冷たい西風が身にしみます。

寒さもこたえますが、これだけ北西風が強いと台風のときなど少々心配です。伝統的な農村風景に安らぎを覚えるのは、そこに暮らした人々の、長い歴史をかけた試行錯誤の結果として、合理性の追求された空間構成から得られる安心感にもよるのではないでしょうか。

この公園の敷地図を描いた方には、ぜひ季節風の強い冬の日にこの足場に上ってもらい、今後の植栽計画などに活かしてもらいたいものです。
sh@

0115 カヤマル1

0115maru1.jpg

カヤマル1回目、無事終了いたしました。
茅葺屋としても使い慣れない安全索等を用いた安全管理になりましたが、現場管理の池田建設さん、公園事務所の面々の協力により、つつがなく終えることができました。

参加者の皆さんも、下地くくりや茅こしらえといった地味な工程であったにもかかわらず、積極的に興味を持って取り組んで頂いて、職人としても感心させられることが多くありました。

この後、まだ2回。少しずつ葺き上がっていく工程を、通して取り組んで頂けるように願っています。今後も事故のないように安全第一でいきましょう。
sh@

0114 下地つくりー小棟ー

茅材が屋根裏にはみ出してこないようにレンの上に横竹を括りつけていきます。
0114下地作り.jpg

ハフ(煙出)を据えるときには、ヨコダケが足場として機能します。
0114小棟据え.jpg

ハフの位置がまずいと、棟の納まりがおかしくなったり、茅の葺き納めに苦労したりする事になります。茅葺き屋根の下地には、曲がった丸太も当たり前に使われていて、組み方やハフのサイズも地域によって様々ですから、下地と擦り合せながら
、現場合わせで慎重に位置を決めていきます。

0114全体.jpg
軒が回って、小棟を据えて、ほっと一息。
sh@

0113 茅材搬入 ーススキー

九州の阿蘇山から茅(ススキ)が10tの大型トラックでやってきました。
いずれは里山公園とその周辺の茅刈りで、必要な量の茅をまかなえるようになりたいのですが、とりあえず今回は各地の「茅場」から買い集めて、カヤカルによる成果の不足分を確保しました。

0113阿蘇茅.jpg

何しろ阿蘇のほかに、吉備高原、北上川、宇治川から10tトラックが4台も集まってくるのですから。今回は新築ということもあり本当にたくさんの茅が必要になります。そして、茅葺き屋根が想像以上に重いということもわかってもらえるのではないでしょうか。単純計算だと40t。
sh@