茅刈り」カテゴリーアーカイブ

070322 茅刈りの日々 1

茅の収納場所確保に手間取ってすっかり遅くなってしまいましたが、今年もようやく本格的な茅刈りシーズンに突入しました。
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カヤカル'07の刈り残しから仕上げて行きます。

団地の中の原っぱですが、茅刈りをすることで毎年新たに芽吹いた新鮮な草が生い茂ります。
カマキリの卵がたくさんあるのは、その餌となる草を食べる虫達が、たくさん暮らしている何よりの証拠です。
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周りを道路で囲まれているせいで、飛翔力の弱い種類はなかなか入って来れないようですが・・・
いつかスズムシの声を聴ける日が来ると思っています。

さて、以前はカマキリの卵が産みつけられた茅は刈り残していたのですが、そうすると広々とした刈り取り後の原っぱにとても目立ってしまい、みんなカラスがむしって食べてしまいました。
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そこで今ではひとまず集めておいて、後ほどサツキやミモザの薮の中に隠しています。
モズがバッタやカナヘビを食べる様子は愛でておいて、カラスからはカマキリの卵を取り上げようとするのは、はい、えこひいきです。

ミノムシは寄生蜂が広がったせいでめっきり見かけなくなっていますが、茅場の中に残している灌木の枝ではいくつもゆれていました。
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実感として(カマキリの卵を隠したりすることも含めて)人が季節に合わせて関わっている環境では、特定の種類の生き物が急にいなくなったり、逆に急に増えたりということがあまりおきないように思います。

刈り取った後に残る枯れ落ちたススキのハカマやその他の雑草は、そのままにしておいては新しいススキの芽吹きの邪魔になりますし、やがて肥料となり土地が肥えてしまうことになります。
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それは荒れ地を好んで生えるススキにとっては歓迎できないことなので、ススキの草原を維持するためには茅場の野焼きが行われています。
が、団地の中では火をつけるわけにはいきませんので、かわりにレーキで掻き集めて茅場の外に搬出します。
街中で茅場を維持するためには、避けて通れない手間なのですが、これが結構大変です。

でも、落ち葉を取り除いて地面に日が当たるようになると、さっそくタンポポが花を開きました。
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タンポポというと帰化種のセイヨウタンポポが幅を利かせていますが、シロバナタンポポは確か在来種だったはずです。

070218 カヤカル'07

神戸の落合団地での茅刈り体験会、冬晴れでの開催が恒例なのに当日は朝まで気をもむ天気でしたが、何とか雨が降ってくることも無く今年も無事に終了しました。
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直前の告知になってしまったにもかかわらず、朝早くから15名の方々が集まって下さいました。

年々親子で参加して下さる方が増えているのも嬉しいことです。
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安全管理の面で心配が全くない訳では無いのですが、そんなことより我々以上に心配なはずの保護者の方が、お子さんを連れて来て下さるのがとても嬉しいです。

子供の時に体験しなかったことは、大人になったときに懐かしく思い出すことは出来ない訳ですから。
刈りたての茅の匂いや茅束の暖かさを、いつか彼らが懐かしく思い出してくれることがあれば、それこそ本当に嬉しいことです。

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茅場の周りの団地にお住まいの方々にも、もっと茅場のことを知って頂きたいので、歩道橋には茅と茅葺きに関するパネルを掲示しておきました。

茅刈りは始めると結構大人を熱中させてくれます。
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子供たちの方はやがて刈ることに飽きて来ても、茅場には他にも興味を引くものはたくさんあります。

冬でも茅場で見られる色々な生き物たちもそのひとつ。
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眠たげなカナヘビの他にもバッタの仲間やカマキリの卵などなど。

そして、子供たちの他にもそんな小さな生き物たちを狙っているものが。
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茅を刈って地面が現れた場所をさっそく見張っていたモズ。
参加者のコバヤシさんが撮影された写真を送って下さいました。

最後に刈り取った茅束を皆で搬出。
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夜明け前まで降っていた雨のせいで午前中に刈った茅はやや湿っていましたが、倉庫の軒先に立てておけば冬の神戸の風が乾かしてくれます。

参加者、スタッフのの皆さんお疲れさまでした。
色々不手際も多かったことと思いますが、茅刈りの環が少しずつでも広がっていくような活動にして行きたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。

070205  茅刈り体験会のお知らせ

第14回 茅刈り体験会 「カヤカル'07」開催いたします

神戸市とその近郊ではニュータウンに近接して、現在でも多くの茅葺きの集落景観が保たれています。
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しかし、毎年の草刈りを必要とする伝統的な農業が行われなくなると、屋根を葺く茅を得る場所でもあるススキ野原=茅場(カヤバ)は失われ、材料の不足から葺き替えが困難となっています。

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一方で、ニュータウン内の幹線道路法面などの遊休地では、ススキがセイタカアワダチソウのような雑草に混ざって薮をつくっています。この薮は年に一度の刈り取りを続けると、やがて一面のススキ野原に遷移していきます。

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手入れの行き届いたススキ野原は景観として美しく、生態系としてもススキ野原に依存する、たくさんの貴重な動植物の住処となります。

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住民参加で維持される身近で豊かな自然を抱くニュータウンは、これからの人と自然の共生の在り方を示してもくれています。
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さらに、ニュータウンで刈り取ったススキを、周辺の茅葺き集落の屋根の葺き替えに用いることは、農作物でも人でも常に田舎から都会へという一方通行の流れに対して、逆向きの新しい流れを生み出す機会でもあります。
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ぜひ、冬晴れの一日に鎌を手に取って、団地の中に育まれる茅場での茅刈りを体験し、新しい時代の茅葺き文化に参加するとともに、十数年に渡って茅刈りを続け再生した、街中の茅場というビオトープの豊かな自然にも触れてみて下さい。

詳細、問合せはこちらを

070114 茅刈り体験会

藍那里山公園では里山を構成する自然環境のひとつとして、茅場(カヤバ=ススキ野原)の維持再生に取り組んでいます。
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公園内の茅葺き民家の屋根は、公園内の茅場で毎年刈り貯めた茅で葺き換えることを計画しています。

茅刈りを、広く来園者の皆さんにも参加を呼びかけて行うことで、茅葺きという文化に気軽に参加する機会を提供していければと思っています。
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今回は公園事務所が近隣の小学校を中心に募った募集に応じられた、小学生とその父兄への茅刈りを指導するように依頼されたので、武相荘の現場から丁稚サガラを連れて神戸の里山公園へと駆けつけて来ました。

何年も前に耕作放棄されて薮が茂るに任されていた休耕田も、毎年の茅刈りを欠かさず続けることで美しいススキ野原となりました。
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かつては農業をするための肥料や飼料として草刈りは欠かせなかったので、里山にはこのような茅場が必ずありました。

そこはスズムシやマツムシといった、澄んだ鳴き声で私達を楽しませてくれる虫達の棲み家でもあり、シカやイノシシの採餌場でもあり、万葉の昔から日本人に愛されて来た秋の七草も、全て茅場に生える草花なのです。
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茅葺きのために茅を刈り集めることは、貴重な動植物の暮らす生態系である茅場を守ることにもなるのです。

注意するべきことをきちんと伝えておけば、小学生が集めた茅束も立派に屋根葺きの材料に使えます。
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そして、冬晴れの日に茅場に入って鎌を使ったこと、カヤネズミの小さな巣をみつけたこと、茅葺き民家の縁側の日だまりで昼食のカレーを食べたこと、そのような思い出を持つ子供たちが、茅葺きを文化として受け継ぐ社会を培って行ってくれることでしょう。

集めた茅束は冬のあいだ乾燥させるために、交流民家の前に「ニウ」に仕立てておきます。
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晴天に恵まれて子供たちも大人も楽しんでもらえたようで、夜行バスを使った0泊3日の強行日程で駆けつけた甲斐がありました。

茅葺屋主催の茅刈り(カヤマル'07)は1月18日に神戸で開催に向けて調整中です。
開催要項その他は正式に決まり次第お知らせします。
参考までに昨年のカヤカル'06@神戸の様子です。
ぜひご参加ください(まだ募集要項も示さず申し訳ありませんが・・)

060321 なごり茅刈り

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この場所は近いうちに造成されるそうなので、茅場を育てるというモチベーションにはつながらないのですが、過去何年か続けて茅刈りが行われていて、とても良い茅が生えているのがもったいないので、刈り取らせてもらいました。
この時期になると、ススキは葉もハカマもすっかり落として、棹だけになっています。この方が茅葺きの材料としては葺きやすい上に丈夫で適していますから、無雪地の茅刈りは春先にするのが良いように思います。

茅刈りに続いて茅倉庫まわりを片付けて、作業のあとはお弁当広げて。
うららかな春の日差しに恵まれて、絶好のピクニック日和でした。
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あたりまえのように演奏会が始まるし。
sh@

060223 里山の庭師

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交流民家の屋根がようやく竣工にこぎ着けたので、あいな里山公園内にある茅倉庫周辺の茅刈りを行いました。ここは、茅葺屋が市民事業として「あいな茅システムズ」を展開している拠点であり、茅葺きのバックグラウンドソフトである茅刈りを中心とした、里山の維持管理に取り組んでいます。

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茅場の中にあったカヤネズミの古巣。茅場を代表する野生動物で、親指くらいしかないとても小さな野ネズミです。

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こちらは、ウグイスの古巣。茅場の脇に生えている、シノダケの葉を編んでつくられています。

かような生き物達に、生活の場を提供してきた里山の多様で豊かな自然環境は、人が生産活動の場として活用することで産まれ維持されてきました。里山は使ってこそナンボ。保護という言葉は似合いません。もちろん、使い方を間違えるようでは困りますけれども・・・
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茅刈りを済ませて、日の光が当たるようになった茅倉庫のまわりは、まもなく春の野花に飾られるでしょう。林の縁の落ち葉かきをしたところには、早速モズがやってきてエサを探していました。
人の営みの蓄積が風景をかたちづくる。正しい営みを重ねていくことでしか、美しい里山を取り戻すことはできません。
sh@

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カヤマル'06における茅刈りの最後に、あいな里山公園の中でも茅刈りを行いました。
茅刈りによって生まれる草原は、里山の生態系にとっても不可欠の要素です。里山公園に建てられる茅葺き民家が、民家の剥製の展示となってしまわず、文化としての茅葺きの継承、発展の場となるように、公園内にも良い茅場を育てていきましょう。

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皆さん、おつかれさまでした。
いつか、刈りとった後には茅場に火入れができるようになると、尚良いですね。
sh@

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須磨ニュータウンでの恒例の茅刈り、今回は里山公園の茅葺き交流民家建設をめぐる、茅葺き現場体験会の一環として行われましたが、天候にも恵まれ参加者と関係者の皆さんのおかげで、無事終了いたしました。
ありがとうございました。予想以上に良い茅が集まりうれしい驚きでした。

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sh@