0412 古屋根解体/箱棟詳細

天橋立を眺めながら、朝凪の海岸に沿って遊歩道を散歩するのが日課になりつつあります。
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とてもたくさんの種類の鳥を目にすることが出来ます。海辺の鳥達は普段美山の山奥で見ているのとは違っていて新鮮です。

軒から何段か葺き上がって安定したので、残る上半分の古屋根の茅もめくります。
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下半分と同様に、再利用できそうな茅は余り多くありません。

片側の茅が全てめくられて、後は葺き上がって行くだけとなりました。
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旧永島家住宅は箱棟なので、棟の解体の必要が無い分手間がかかりません。
変な箱棟だと、葺いて行くのにかえって手間がかかることもありますが。

下地の竹はやはり100%交換が必要でした。
旬の悪い時期に伐った竹は、どんなに乾燥させても煤竹にしても、虫が入ってだめになります。
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ちょっと判りにくいかもしれませんが、屋根下地の構造が同じ入母屋でも美山とは全く異なります。
放射状に垂木が流される美山と異なり基本的に垂木は平行です。
寄せ棟に破風(ハフ=煙出)の部分を乗っけて入母屋にしている美山と、切り妻に風破の下を継ぎ足して入母屋にしている丹後。

箱棟に近寄って覗き込んでみると、驚くほど大きな部材で丈夫に組まれていることが判ります。
最後の葺き収まりではこの箱棟の下に、茅を詰め込めるだけ詰め込みます。箱棟の造りが華奢で詰める際に壊れないように気を遣うようでは、詰めた茅が後々緩んで抜けて来てしまいますので。
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また、部材の下端が斜めに切り取られていることにも注目して下さい。
茅は雨仕舞いのために常に外に向かって傾斜していなければなりません。下端が水平だと奥側の角に茅が詰まるので、箱棟と茅のあいだに隙間が残ってしまうのです。

さらに箱棟の内部の様子です。
箱棟の棟桁は茅葺きの屋根下地の棟木から束を立てて充分に浮いており、内部には詰め込んだ茅の先を収めるだけの空間が確保されています。
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箱棟は茅葺きの棟収めの変遷の過程で生み出された形態ですが、この箱棟を設置された大工さんは茅葺きのことを良く理解されていたようです。

7 thoughts on “0412 古屋根解体/箱棟詳細

  1. 花がたみ 投稿作成者

    現場から現場への大変なお仕事のなかでも、楽しむ術をたくさんお持ちですね。
    天橋立はまだ行ったことがないので、shiozawaさんのブログで楽しませてもらっています。
    屋根の形って、ところ変われば変わるものですね〜。

  2. shiozawa 投稿作成者

    花がたみ さん、コメントありがとうございます。

    今までのところどこの現場へ行っても、一週間もすればその場所が好きになってしまっています。
    もちろん、なかでも特に印象に強く残っている街というのはありますけれども。鎌倉とか香港とか・・・
    所詮はエトランゼ。どこであってもしばしの滞在と思えば、良いところばかりが見えて来るのだと思います。

    屋根のかたちは本当に変化に富んでいて、それは日本の茅葺きの、大きな魅力のひとつだと思います。
    中国四国〜関西〜北陸の「入母屋エリア」で外見は同じような入母屋屋根であっても、よく見ると地域によりさらに驚くほどの違いが見付けられるのも興味深いです。。

  3. kokubo 投稿作成者

    お久しぶりです。

    とっても、気持ちのよさそうな所でのお仕事ですね。空気も人も気持ちよさそうなのが伝わってきます。

    この間は、山梨の茅葺きの家のアドバイス
    ありがとうございました。
    どこも、魅力的だったのですが、
    今回、電車だったので、
    違う茅葺きのお家みてきました。

    車で出かける時の楽しみにとっておきますね。

    ほんの少しですが、
    写真も私のブログにのせてあります。
    茅の葺き替えの時の写真もみせていただきました。

    茅葺きの姿もいろいろあるんだなぁって、
    勉強させていただいています。
    ちがうんだ!くらいはわかるようになってきました。

    ここは、地元の人が公開のボランティアを通して、地元の人の交流場になっているようでした。
    そんなふうにして、
    大切にされる茅葺きのお家がふえていくといいですね。

    今日のブログにUPしましたので、お時間のある時にでも、のぞいてみてくださいね。

    本当にありがとうございました!

    http://blogs.yahoo.co.jp/yamaboushi040317/46447814.html

  4. shiozawa 投稿作成者

    kokubo さん、お久しぶりです。
    山梨の旅のお話し、ありがとうございました。

    八田邸は訪ねたことも無いのですが、地元の方達に愛されている様が写真からも伝わって来ます。
    破風のまわりのケラバが平らではなく、軒のように尖っているのは甲州職人さんの技です。エッジが効いてなかなか格好の良いスタイルだと思います。
    本当にどこの保存民家も、こんな風に地域の文化と自然の象徴として活用されるようになってくれると良いですね。

    これからの季節、山梨は桃から杏子、林檎と甲府盆地一杯に花が咲いて桃源郷のようになると聞いたことがあります。
    石和温泉の近くには、甲州独特の突き上げ屋根の茅葺き集落があったはず。訪れるには車が必要な山中ですが、僕も久し振りに訪ねてみたくなりました。

  5. kokubo 投稿作成者

    お返事ありがとうございました。
    本当に、近所の方と訪れた人の井戸端会議の場みたいになっていて、ほっとしました。建物のチカラもあるのでしょうね。

    軒のようにとがっているの甲州のほうの技なのですね。 勉強になります。
    茅葺きの家って本当に青空が似合いますね。
    屋根が大きいからでしょうか。

    車で、山梨のほうに
    行くことがあったら、私も探してみます。
    また楽しみが増えました

    ありがとうございました。

    オギのお話もおもしろかったです。
    循環大切ですね。

  6. ルナルナ 投稿作成者

    こんばんは!
    美山の屋根下地が見える写真は掲載されていますか?もし掲載されているのでしたらどこでしょうか?いちよう一通り見たつもりですが見当たりませんでした。
    見比べてみたいです!
    shiozawaさんは若いのですね。映画を見ましたよ!!

  7. shiozawa 投稿作成者

    ルナルナさん コメントありがとうございます。

    確かに美山の屋根下地の解りやすい写真がありませんね。すみません。
    辛うじて
    http://www.kayabuki-ya.net/notebook/2006/09/0916.html
    でしょうか。垂木が全体的に少しずつ傾いて、放射状になっているのですが。

    美山ではありませんが、寄せ棟の上に破風が乗っているというのは、つまりこういうことです。
    http://www.kayabuki-ya.net/notebook/2006/01/post_9.html
    美山の場合はもう少し風破が大きいので、小棟の規模も大きくなりますが。

    映画は「芸州茅葺き紀行」でしょうか?
    内容的にかなり興味があるので、僕もいずれぜひ観てみたいと思っています。

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