1109 続・棟収め

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@坂野家薬師門

マキワラの高さまで並べた茅を、横積みにした棟に巻き付けるようにして曲げます。
表側を並べて曲げたら、そこに重ねて裏側も。
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タナカさんの指導により膝で潰した茅は、濡らさなくてもきれいなカーブで曲げることが出来ました。
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その上に、これは充分濡らしておいた杉皮を被せて竹で押さえます。
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割竹を編み付けて、筑波の茅葺きの棟収めの特色であるスノコ状の棟をつくります。
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ひょっとしたら、あらかじめスノコを編んでおいてから被せるのかもしれませんが、古い屋根の解体過程からは判断することができませんでした。

竹と杉皮の端を切り揃えます。
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棟が収まりました。
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やはり美山の棟とは勝手が異なるので、「棟が上がった」という達成感にも何となくズレがあります。

1114 ハサミで刈込み - 竣工

投稿日: 3件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@坂野家薬師門

研修なのでヘッジトリマーは封印して、屋根ハサミを使って刈込みます。
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茅屋根は棟から軒に向かって、足場の丸太を外しながら順に仕上げていきます。
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パワーツールが日常的に用いられる大工さんと違って屋根屋の現場は、葺いているあいだは茅を捌くガサガサという枯れ葉の擦れる音、仕上げに入るとシャキシャキとハサミを入れる音だけが響いていてとても静か。だったことを思い出しました。
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最近ではタワーリフトやインパクトドライバーやヘッジトリマーやブロワの音が賑やかになって来ているもので。
茅葺きの単価を下げるための努力は怠れませんが、美山が世間から取り残された井戸の中だった頃を、少し懐かしく思い出してしまいました。

茅葺きはどうしても茅くずの散らかる仕事なので、毎日の掃除も大切な仕事のうちです。最後にあらためて念入りに掃除。
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そして無事、竣工しました。
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筑波流の屋根に通常の仕事では許されないくらいに、じっくりと時間をかけて取り組むことが出来た今回の研修は、慣れないがための苦労も多かったとはいえ毎日が新しい発見の連続でした。

1115 水海道点描

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@坂野家薬師門

帰る前に3週間弱滞在した水海道(茨城県常総市)をご紹介します。
と、いっても僕も来てみるまで名前も知らなかったのですが。
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鬼怒川の水運で栄えた町だそうで、往時を偲ばせる立派な建物がたくさん残っています。
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引き込み線の残る大谷石の倉庫。
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水運から鉄道へのシフトは滑らかに進んだようで、先見性の高い土地柄だったのでしょうか。

街中には擬洋風の洋館やレンガ造りも目につきます。
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現在でも首都圏へのアクセスが良いせいか、古い街並を残しながら空き家は多くありません。
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何故か金物屋さんがたくさんあります。鍛冶屋さんが多かったのでしょうか。

市街を外れた家々は、立派なシラカシの垣を巡らしています。
筑波山がそびえる他はどこまでも平らで、冬には空っ風がきつそうです。
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でも、風の強い翌日に晴れると雪を頂いた日光の山並みから富士山まできれいに見えて、広々とした風景には地元の京都北山では考えられない爽快感がありました。

奥に繁るのが坂野家の屋敷森。
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それにしても、関東の畑には道路とのあいだに畦がないのが不思議。

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