0727 葺き上げ/茅20〆

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/A.S邸

屋根裏から搬出した茅は、美山の〆である「2間縄締め」で20〆にもなりましたが、葺き始めるとあっという間にぺろっと平らげてしまい、追加の茅が運ばれて来ました。
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ところで、この茅の流通単位である「〆(シメ)」が、地域によって全然違うので苦労しています。
美山の2間〆は、神戸などで使われている5尺〆だと7〆〜9〆になります。ばらつきがあるのは5尺〆と言っても実は色々あるためで、流通単位がこんな有様では、これから私達の生活圏の拡大に相応の範囲で茅を流通させようとすれば、とんだ足枷となりかねない懸念があります。

ここまで屋根を葺くのに結構な量の茅が必要だったことがお解り頂けるかと思います。
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やはり茅葺き屋根は一度に葺き替えるものではなく、少しずつ刈り貯めた茅で、傷んだところを治しながら暮らして行くものだと思います。今回の工事範囲がマキシマムかと。
住人の方にそのローテーションの管理に習熟して頂ければ、茅葺きの維持管理をそれほどの負担でもないと考えて頂くことも出来ると思うのですが・・・

0801 葺き上げ/石垣

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/A.S邸

ようやくアリゴシまで葺き上がりケラバ積みへと移行していきます。
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夏で日も長いし頑張って葺いてはいるのですが、いかんせん人数が不足気味で・・・ お盆までに棟を上げるのは難しいかも・・・ 言い訳がましくてすみません。

谷川の石を積み上げた現場の周りの棚田の畔は、石積みと土法の取り合わせがさりげなく、踏みしめられ野芝に覆われた路面と相まってあこがれます。
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砂木の家のアプローチも時間を重ねて、いつかこのような雰囲気を醸して行けたら良いのですが。

0805 葺き上げ/夏

投稿日: 11件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/A.S邸

引き続きケラバを積み重ねています。
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今年は梅雨が明けても何となく湿っぽい日が続き、その分過ごしやすくもありましたが、台風5号(ウサギ)の通過直後、猛烈に蒸し暑い日があってからいよいよ夏らしい、剥き出しの暑さに見舞われています。

現場の近くに良い水があって本当に良かった。
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この時期に屋根の上での作業は寿命を削る思いです。
デスクワークも貯まって来ていますが、日の暮れまで屋根を葺いたら、夜にはもう何をする体力も残っていません。

0809 古屋根解体(棟返し)

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/A.S邸

裏側が棟近くまで葺き上がったので、表側の古屋根の解体に取りかかります。
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この屋根の表側は、アリゴシから下半分を何年か前にこぜあげて葺き替えてあります。

そこで今回は上半分だけを葺き替えます。
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美山のやり方では屋根の傷み具合に合わせて屋根を上下に分割して葺くことができますが、上半分を葺き替える際には棟も積み直す事になるので、表裏両方を必ず同時に葺き替えます。
これを「棟を返す」と表現しています。
ひっくり返す訳ではありません。

下半分は葺き替え済みとはいえ、数年経ってその分減っていますから、それに合わせて新しい屋根を葺くと薄くなってしまいます。
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それを避けるためにまず古い屋根を整えて、段を付けてから葺き始めるようにします。

段を付けるとはこんな感じです。
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減った屋根につられないようにして、正しいかたちを出せるようにしておく訳です。

0812 葺き上げ/夏の水2つ

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/A.S邸

中干しを済ませた田んぼに、出穂期を迎えて水があてられています。
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落差があっても畔が傷まないように、必要な量の水だけ田んぼへ引き入れられるように、石がさりげなく上手に使われていて感心させられます。

毎日あまりの暑さに葺き上げのペースもやや鈍ってしまいましたが、ここまで葺くと雨漏りの心配はまずなくなります。
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お盆までに棟を上げることができなかったのは残念ですが。

さすがにこの暑さでは無理も出来ませんし。
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家の裏の横井戸からは、猛暑続きでも変わらず冷たい水が湧き出しています。
この水で入れて、この水で冷やした麦茶が猛暑を乗り切る支えとなってくれました。