0916 茅屋根竣工、土屋根準備

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軒を全て仕上げて足場も解体。砂木の家の屋根がようやく竣工しました。
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長かったです。これほど手間取るとは。
本業のお仕事の傍らにご自宅をセルフビルドされる方々のすごさを、身を以て思い知ってしまいました。

さて、ようやく屋根屋の仕事が片付いたので、大工さんや左官屋さんは仕事の再開準備を進められています。
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小舞いのかかれた壁に土を塗る日程も決まりました。ついでに天井裏にも土を載せてもらうので、壁塗りに先立ちそのための準備を進めておきます。

載せた土がひび割れたりしないように、竹にワラ縄を巻き付けたものをこんな感じに配置しておきました。
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茅葺き屋根の天井裏に土を載せるのは関西では大和天井と呼ばれ、室内の保温や防災のために地域によっては広く普及しています。

作業のために照明を灯した屋根裏を小舞壁越しにロフトから見ると、教会みたいで何だか格好良いです。
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建物がその一生の中で一瞬だけ見せてくれる、小舞壁が光を透かす様子を楽しんでいます。
とはいえ、もちろん少しでも早く壁土を塗った方が良いには決まっていますけれども。

0924 壁土つくり

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砂木の家では、いよいよ壁塗りが始まります。左官屋さんと昨年夏から寝かせた壁土を1年振りにひろげたところ、混ぜ込まれていた藁スサはすっかり溶けて、まるで髪の毛のようになっていました。
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そこに軒刈りででた藁スサを加え切り返して行きます。

さらに同量の新たな壁土が運ばれて来ました。
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古い土、新しい土、藁スサをブレンドして、壁に塗る土をつくります。

上が新しい土、下が1年寝かせた土。
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こんなに変わります。

良い壁を塗るためには、三者を良く混ぜ合わせることが肝要。
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土にさわっているうちに百姓の本性が目覚めたサガラは、いつの間にか裸足で手に鍬。

柔らかな秋の日差しの中で土と戯れています。
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土は重くて体力のいる大変な作業です。このうえ寒かったら果てしなく辛くなるところですが、素手素足で泥に触れる感触は、原始的な快感を呼び覚ましてくれます。
何としても暖かな季節のうちに壁塗りをしておきたかった理由の一つです。何とか間に合いました。

0927 壁塗り その1

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仕事を終えて帰宅すると、荒壁の片面が塗られていました。
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何だか一気に家らしくなったように見えます。

先日こねた土を使って、左官屋さんが昼のあいだに仕事をして下さったおかげです。
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土壁は片側ずつ乾かしながら塗り重ねて行くので、乾く前に壁土が凍ってしまいかねない季節までに仕上げるためにも、暖かなうちに塗り始める必要がありました。

今日塗った土が乾いてから、反対側を塗ります。
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押し入れも、燻炭の床下断熱材と土壁に囲まれて、結露とは無縁のものになってくれることを期待しています。
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何しろ美山町は、夏も冬も湿度が多くてカビに悩まされるのです。
隙間風を防ぐためにアルミサッシやクロスで囲み、しかし断熱の不十分な茅葺きの家は、特に結露しやすいと不評なのですが、自然換気する茅葺き本来の機能を引き出す断熱を心がければ、むしろ他には無い快適な住宅となるはずだと思っています。

1019 壁塗り その2

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塗ってから3週間待って、壁はかちかちに乾きました。
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ちなみに裏側はこんな感じです。
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段々それらしくなっていく我家を、少し嬉しがって遠くから眺めてみました。
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この谷での長い長い人の暮らしの積み重ねが、砂木の集落の景観をつくっています。
新たに建てた拙宅がそこに馴染んでいるかどうかは、とても気になるところです。自分のつくった物が風景の中で浮いてしまうようでは、自分の人生に先人への敬意と環境への意識が欠けていることになってしまいますが、さて、砂木の家はどうでしょうか?

1024 壁塗り(屋根も) その3

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仕事から帰ると、荒壁の裏塗りがされていました。
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左官屋さんが鏝で押さえた、塗り立ての壁はつやつやとしてきれいです。

裏側を塗ると、かちかちに乾いていた表側にも水分が滲みて来て、貫の影を浮かび上がらせました。
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裏を塗ると表も濡れるというのは、考えてみれば当たり前なのですが、少し意外に感じました。
現場で左官屋さんとご一緒することは少なく無いのですが、他の職工さんの仕事をまじまじと見る機会はあまり無いので、知らないことが多いです。

さて、砂木の家では壁だけではなく天井裏にも土を塗りました。
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換気塔である茅葺きの屋根裏への通気を妨げないように、ロフトの天井と茅葺き屋根の間には充分な空間を確保するようにしてあります。

そして、ロフトの天井板の上には、蔵を塗り込める要領で土を載せてもらいました。
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こうすることで天井裏は「半屋外」と割り切ってしまえば、外気を充分に取り込むことで、夏の涼しさと冬の暖房効率を両立出来るのではと考えています。
もうひとつ、万が一茅葺き屋根が火事になった時に、外に逃げ出す時間と空間を稼ぐこともできます。

ところが、ひとつ思いいたらないことがありました。
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天井裏に壁土を載せたら、天井板に水が滲みて来てしまったのです。
考えてみれば当たり前なのですが、全然予想していなかったので意外でした。

断熱と火災対策のために茅葺きの天井裏に土を載せるのは、大和天井として関西では広く行われているのですが、その場合は竹簀子の上にむしろを敷いて土を載せます。そうすれば少々水が滲みても問題なく、土も早く乾くでしょう。
砂木の家も天井板に少々シミができたくらいでたいしたことはなさそうですが、昔ながらのやり方は、やはり理に適っています。