071114 刈ったり、燻したり

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

砂木の家の周りの茅場でも、雪が来る前に茅刈りをすませておきます。
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こうして毎年少しずつでも茅刈りを続けることで、葺き替えのための茅を用意するだけでなく、家の周りにミズヒキソウがかわいらしい花をつけ、キリギリスやスズムシの鳴く、ススキ野原を育てることにもなっています。

土間では毎日燻炭をつくっています。
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実に簡単な仕掛けですが、燃やしているのではなく蒸し焼きにして炭を作っています。部材にはほとんど色がつきませんので、煙はほぼ水蒸気で煤はあまり含まれていないようです。

出来あがった燻炭は、床下断熱材として根太の間に敷きつめます。その上に畳を敷くための荒板が貼られて行きます。
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以前美山町内で、地元の木を使った立派な築60年の小学校の校舎が、解体されてしまったことがありましたが、その際に2階の教室の床板を剥がすと、籾殻が敷きつめられていました。最初は何のためのものか判らなかったのですが、おそらく断熱と防音のためだろうと。
床下からの寒気を遮断することは、効果的な暖房のためには欠かせない対策です。なかなか適当な断熱材を見付けられずにいたとき、小学校の床のことを思い出したので、真似してみることにしました。
ただ、現在の脱穀方法で得られる籾殻は「糠が多く混ざっていて黴びる」と言われたので、それならば燻炭にしてしまおうと。
結果は、自分が暮らしてみて確認します。

071117 雪虫

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

今朝は冷え込んで、茅屋根の上に初霜が降りました。
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去年の冬は年が明けても生暖かい日が続きましたが、今年の冬は例年並みの積雪となるのでしょうか。
雪は困りますが、ナラ枯れの急速な蔓延と、昨年の暖冬、今夏の猛暑が関係していたのなら、冬は冬らしく寒くなって欲しいとも思います。

秋に冷え込んで霧の立ちこめる朝は、日中の快晴を約束してくれます。
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ここ数日、美山では穏やかな小春日和が続いています。
天候に恵まれて、砂木の家の屋根葺きもじわりと進行しました。

優しい午後の日差しの中を、ふわふわと小さな綿毛のようなものが待っています。
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体から分泌され蝋状の綿毛に覆われたアブラムシの仲間ですが、美山をはじめ積雪地では広く雪虫とか雪ん子とか呼ばれています。
雪虫が飛ぶと、そろそろ初雪が降ると言われています。雪の季節までに屋根を葺いてしまうのは、難しくなって来ました。あわてる必要も無いのですが・・・

071118 時雨れて後、虹

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

今朝は久し振りに雨の音で目が覚めました。
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これからの長く暗い季節の到来を知らせる冷たい雨ですが、盛りを迎えた紅葉の鮮やかさが気持ちを救ってくれます。

雨の日はもちろん、屋根は触れません。
11月は竹材の切り旬で、この季節に切った竹には虫が入ることがありません。集落の入り口にある竹薮に、竹伐りに行きました。
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かつては稲藁とともに生活道具の多くを賄っていた竹材ですが、最近では使われることが少なくなったばかりに、各地で増え過ぎて問題視されてしまっています。
茅葺きには大量の竹が必要ですから、地主さんにことわって刈り続けて行くことで、この竹薮もきれいな竹林に育てて行きたいと思っています。

時雨れている中で竹を伐るのは、なかなかに堪える仕事ではありましたが、夕方に雨が上がるとちょうど砂木の谷を跨ぐように、見事な虹がかかるのを見ることができました。
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これほど近くで、はっきりした虹を見るのは始めてだったかも知れません。

071123 冬支度

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

仕事の合間を縫って少しずつ葺き進めていた砂木の家、ようやく窓枠周りの複雑な所も含めて、全ての軒が固まりました。
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さあ、これからペースが上がるというところなのですが、ここでひとまず時間切れとなってしまいました。

来週から神戸で大きな現場が始まるので、雪の季節を迎える美山を後にして、春までこちらはお休みです。
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屋根に養生を念入りに施し、雪が積もって足場が壊れないように茅も全て下ろします。

下ろした茅は、先日刈った茅と合わせて軒周りにぐるりと立てかけておきます。
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刈った茅を乾かすと同時に、壁の無い砂木の家に風が吹き込むのを防ぐためです。いわゆる「雪囲い」ですね。

家の中から見るとこんな感じ。風を防ぐ上に断熱性の高い茅束に囲われて、とても暖かくなります。
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ただ、とても暗くもなりますが。

それでは、春まで無事でありますように。
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0213 雪の季節

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那Cハウス棟茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

所用があり美山の自宅の様子を見て来ました。
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今シーズンは晩秋にカメムシが多くて嫌な予感がしていましたが、やはり雪の多い冬となってしまいました。
「カメムシの多い年は大雪」

雪が積もらないように軒先の足場板は全てはずしてあるので、雪下ろしをしようにもあがることも出来ません。
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まあ、屋根の上においておけば晴れた日には溶けるし、これ以上は積もらないだろうと思っていたのですが・・・一週間ほどあけて行ってみると更にひどいことに。
春まで無事なのを祈ることしか出来ません。

カメムシの多い年だからなのか、神戸の藍那まで雪に見舞われることが多くなってきました。
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本格的な雪の季節になっては、茅屋根葺きは捗りません。