60630 夏のはじまり

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め里山

そろそろ棟を積む、というタイミングでまた関西へ一週間程戻ってきました。自宅のiMacは戻るのを待っていたかのようにクラッシュしてしまったので、美山→神戸→宇治のショートトリップをまとめて。

美山も忙しそうでした。いつまでも鎌倉が片付かないので少々気が引けます・・・
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美山の自宅の周りはホタルが盛り。
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なのですが、ホタルの写真は難しいですね。
ゲンジは明るいですよ。

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藍那の里山は夏の装い。茅場のススキも順調に育っていました。
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ヤマダさんの京田辺のS家は竣工間近。こちらの現場に入るという話もあったのですが。まあ、鎌倉に行ったこと自体は良い経験になっていますけれど。
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S家近くの巨椋の池干拓地にはこんな田んぼが。これは稲田なのか蓮田なのか・・・。レンコンの収穫は稲刈りに合わせなければならないのでしょうか?
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で、今朝鎌倉に戻って来たのですが、まだ棟は上がっていませんね。あれ?
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060930 初秋

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め里山

美山の現場の途中ですが工程を調整してもらって、神戸で一週間作業して来ました。
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藍那の里山では、草刈りを続けて来た場所でススキの尾花が咲き始めています。
いよいよ茅場に銀の波がうねる季節となってきました。

葺き替えの途中で神戸に行って来たのは、ストックしてある茅材のうち他所の倉庫にご好意で置かせて頂いていた分を、搬出する期限が迫っていたためです。
茅材はとにかくかさばるうえ湿気や水濡れに弱いので、保管のための場所を確保するのに苦労させられます。

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倉庫に山積みの茅を運び出していると、こんなものが出て来ました。
鶏卵の半分くらいの卵の殻。そしてヘビの抜け殻。

やがて茅のあいだからこんなものがたくさん出て来ました。
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生まれて間もないアオダイショウの子供たち。
まだら模様がマムシに似ているせいで、間違えて殺されてしまう事も多いのですが、体形が細めだし頭部を隠して守ろうとするので、落ち着いて見れば簡単に見分けられます。
ネズミを獲りに茅葺きの屋根裏で暮らしているおっ母さん達は、農家の守り神として昔は大切にされていたものですが・・・

10年以上茅刈りを続けて、ニュータウンの道路法面で育てている茅場の様子も見て来ました。
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今年は少し生育が悪いかなあ。

ススキの根元にはナンバンギセルの可愛らしい花が。
変な名前ですが、万葉集にも詠われた在来種だそうです。
ススキの地下茎に寄生するこの花は、元気なススキ野原がなければ咲く事が出来ません。
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茅刈りをすることによってこんな貴重な植物が、団地の中であっても群生する自然環境が育まれています。

061124 晩秋

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 里山

神戸に茅倉庫の片付けに行って来ました。
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それなりに艶やかな、雑木林の紅葉も終盤に差し掛かかりました。
今年はあまりにいつまでも暖かで、今さら小春日和と呼ぶのもためらいそうな日が続いていましたが、それでも季節は移ろっていたことを、里山の木や草や鳥の姿が教えてくれます。

さすがに最近では日が陰ると寒さを感じるようになって来ました。
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藍那の里山も間もなく冬を迎えます。

070315 茅屋根の重さ

投稿日: 7件のコメントカテゴリー: 里山

神戸の西にある実家に顔を出し、犬を連れて明石海峡を望む高台に登ると夕焼けがきれいに見えました。
毎日この夕焼けを見ながら育ったので、美山に移った当初は山に囲まれているせいで、夕焼けが見れないまま暗くなってしまうことに気が滅入ったものでした。
今ではすっかり慣れましたけれど。
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未だに馴染めないのはこの非常識に大きな橋。
小学生の時に造り始めたときから、冗談みたいに大きくて子供心に笑わずにはいられませんでした。
四国に行く時には便利でよく使っていますけれども。

さて、保管してある茅を養生するための単管の覆いも、ようやくトタンの屋根を張るところまでこぎ着けました。
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「屋根屋ですが茅葺きしか葺けません」ので、トタンを張るのも時間ばかりかかって、なかなかきれいには納まりまらないのです。

それでもとにかく雨露は凌げるようになったので、さっそく野積みにしてある茅を運び込もうとしたのですが、案の定ブルーシートをめくってみると雨水が入り込んでいて3分の1ほどの茅が濡れてしまっていました。
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夏だったら全滅の大損害だったところです。
幸い冬場だったので腐朽には至っていませんでしたから、できたばかりの屋根の下に立てかけて乾かします。こうして立てて風を通してやれば数日のうちに乾燥するはずですが、単管の覆いは物干し場となってしまったので、全ての茅を運び込めるのはまた先に延びてしまいました。

茅を運び込むついでに、乾いた分の茅の一束あたりの重さを量ってみました。
この茅は北上川産のヨシですが、38束量って平均が4.097キログラム。
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平方メートルあたりだいたい15束程度必要になるので、美山町サイズの屋根だと18トンくらいになる計算です。
これは茅だけの重さですから、さらに竹や縄の重量が加わります。茅葺きがとても重いということを説明しても、なかなか信じてもらえないことがあるのですが、こうして量ってみるとやはり相当なものです。

念のために申し添えておくと、金物を使わず木を組んで建てられる伝統的な日本建築は、上から荷重がかかってはじめて安定するものですから、重いということは別に悪いことではありません。
ただ、それに見合うだけのしっかりした構造が必要とされるということです。

野積みにしていた茅の山を崩して行くと、こんな可愛らしい借家人が出て来ました。
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茅とビニールひもを細く裂いて作った巣にくるまって冬を越していた、カヤネズミでしょうか?ヤチネズミでしょうか? 親指よりも小さな野ネズミが。

070510 初夏の里山

投稿日: カテゴリー: 屋根からの眺め里山

神戸まで茅の搬出に来ました。
茅刈り体験会「カヤカル」の会場となった団地の茅場は、春になって芽吹いた緑に覆われています。
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刈り取りさえ怠らなければ、毎年繰り返し生まれる豊かな草原が、多くの生き物たちの命と私達の自然と共生する暮らしを支えてくれています。

同じ団地内の道路法面でも、茅刈りによる手入れをしていない場所との違いは一目瞭然です。
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もう少し季節が進めばここも見た目には緑色となるかもしれませんが、実態はこのように枯れ草ばかり多くて、それでは小さな生き物たちを育むことも、私達が資源として利用することも難しいのです。

初夏を迎える里山の茅倉庫では、鳥たちの鳴き声がにぎやかです。耳を傾けていると、実にたくさんの種類の鳥たちが鳴き交わしています。
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耕作放棄された一帯の里山は、次第に単調で野生の凄みすら感じさせる、原生の植生へと変遷していこうとしていますが、草刈りなどの管理を続けている倉庫の周りは、人の気配の漂うやさしい景色を保っていると思います。
それは多分、多くの鳥たちにとっても居心地の良い空間であるはず。

廃田を再生したこちらの茅場は土が豊かすぎて、本来痩せ地に生えるススキは毎年少々育ち過ぎ気味。茅刈りを続けてることで次第に落ち着いて行くとは思いますけれども。
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日当りの良い草地を好むシダが、ここでは年々増えて来ています。周辺の茅刈りをしていない休耕田は、ササやクズの茂るジャングルとなってしまっていて見られません。
茅場では冬のススキだけではなく、春のワラビという収穫も楽しめるのです。