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2007年06月09日

●0609 屋根を合わせる

M窯の葺き上げが続いています。
0609P1080048.jpg
丸太のてこで「こぜあげ」たところまで、茅を葺きつめて通常通りに竹で押さえます。

押さえ竹を踏んで締めたら、てこにしていた丸太は引き抜いてしまいます。
0609P1080051.jpg
上の古い屋根は下からの支えが無くなるので、新しく葺いた屋根の上に自然と下りて来て、葺き材の勾配が合わさり一つの屋根となります。

ここから先は、差し茅により屋根をなおして行きます。
0609P1080053.jpg
方丈の方も合間を見て軒までつけました。

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コメント

茅葺き過程の写真が、いつも定点観測になっているのがいいなあと思っています。日々出来上がってく様子がわかりやすくて楽しいです。
現場に付いたときに、今回はココ!と場所探しをされるんですか???

ところで方丈の方は、方形づくりになってますが、普通の寄せ棟とか切り妻とかより、難しいですか?
上部へ行くごとに減らしていく茅のボリューム調整が難しそう、などと想像しています。

こんにちわ!
下の方だけを葺き替えて、上は差し茅をされるのですか!初めて見ます。

不鮮明で30秒ですが広島屋根屋のビデオをブログに貼り付けました。もし良かったら見てください。→http://blogs.yahoo.co.jp/runarunanotabi/9096478.html

千 さん、ルナルナ さん、コメントありがとうございます。

>千 さん、
現場日誌ですので、現場の進行具合をなるべくご理解頂けたらと思っています。定点撮影もその一環なので、楽しんで頂ければ嬉しいことです。
現場に入ればまず屋根の状態を確認するために、可能な限り周りを歩いてみますから、その時に撮影地点も目星をつけます。時々適当な場所がなくて弱る現場もありますが・・・

茅屋根葺きではコーナーの部分が難しいのですが、方丈のような小さな建物だと、角ばかりなので意外と手間がかかります。
また、屋根の表面を作るのは茅の根元だけで、長い茅の大部分は屋根内部をかたちづくっています。方丈のような棟の小さな屋根では、内部に茅を収めるだけの充分な空間が、棟に近づくにつれて無くなって行くことに気を配る必要があります。

>ルナルナ さん、
屋根の下の方は、上の方と比べて多くの水が流れる分だけ早く傷みますから、美山では屋根を上下に分割して葺き替えることは当たり前に行われて来ています。

ムービー拝見しました。田舎のISDN回線では少々つらいところもありましたが w やはり手仕事は動画で記録されると良く解りますね。

手針でもそれに熟練された職人さんと並んで仕事していると、僕が2人1組で針受けしてもらうのと変わらぬ早さで止めて行かれたりして驚かされます。

ルナルナさんのお話しの割り込んで申し訳ないんですが…、

最近美山の茅葺き屋根の写真を見直していたら、
屋根の仕立てで、上下切り替えられているものが幾つか目につき、
その時は単なるデザインだとおもっていたのですが、
実は下の方が傷みやすいということから、葺き替えやすくするため、こうなっているのですね?(そういうことで、いいんでしょうか?)

こんなのとか↓
http://para-mujeres.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/miyamayululi0403.jpg

こんなのも↓
http://para-mujeres.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/miyamakitamura0406.jpg

なるほど!よくできているなー、と驚きました。

千 さん、レス遅れて申し訳ありませんでした。
写真ありがとうございます。

1枚目の「盛里のU邸」はまさに上下分割して葺いた屋根です。
傷みやすい下半分を先に葺き替え、間を置いて棟を含む上半分を葺き替えます。そのとき先に葺いた下半分は、間を置いた分だけ減ってしまっていますから、その厚みに合わせて上半分を葺いてしまうと薄い屋根になってしまいます。下の厚みを無視して本来あるべき厚みの屋根を葺くために、屋根に段をつけています。

簡単ですが↓参考にして下さい。
http://www.kayabuki-ya.net/notebook/2006/10/1015.html

2枚目の写真の段は、茅屋根ではなく庇の部分です。
オリジナルの茅葺き屋根のデザインは、大人なら頭がつかえる程低い軒も珍しくありません。しかし、時代が移り住宅が家族のくつろぐ生活の場となってくると、あまり低い軒では採光や通風に具合が悪いので、瓦やトタンの庇を設けて軒を切り上げることが一般的になってきています。
現在では軒まで茅葺きのままの、「葺き下し」の屋根は珍しくなりつつあります。

ちなみに写真の屋根の庇は杉皮です。同じ自然素材なので茅と紛らわしかったことと思います。
杉皮葺きは京都北山の地域色をあらわす屋根のひとつです。茅葺きから瓦葺きへの過渡的なディティールと思われるのですが、昨今茅葺き民家が再評価されるに伴い、茅葺きのひなびた風情に合う緩勾配屋根としても用いられるようになって来ました。

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