1206 カヤカル'08@美山・初日

投稿日: 3件のコメントカテゴリー: 茅刈り体験会「カヤカル」

傷みの目立つようになって来た砂木のお堂の葺き替えを目指して、まず材料の茅となるススキを砂木の集落内で刈り集めることとなりました。
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「カヤカル'08美山」として茅刈りへの参加を募ったところ、各地から20人の方が集まって下さいました。

春にフルセ(立ち枯れたススキ)を刈り倒しておいた茅場に移動して、最低限の注意事項を説明させてもらったら、鎌とサンバイコウを手渡して、早速茅場へと入ってもらいます。
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刈り方も束ね方も、実際の作業を通して覚えるのが一番ですから。

地元の人たちの手解きを受けながら、カヤカル参加者もどんどんきれいな茅の束をつくって行きます。
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みんなで刈るとたちまち茅場は広々としてきます。やはり茅刈りは大勢でやると達成感が得られて楽しいです。

刈って束ねるだけのことですが、茅として屋根に葺くのに適した束を手際良くつくるためには、ちょっとしたコツががあります。
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簡単なことでも、何世代もの経験の積み重ねから生まれた、それは里山の知恵なのです。体験して教えてもらう機会が無ければ、一生気付くことの無いこと。

夜は集落の皆さんが持ち寄って下さった、素晴らしく美味しい家庭料理の数々を楽しみつつ、乾杯。
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ともに鎌を手に汗を流したもの同士、茅トーク、田舎暮らしトークに夜更けまで花が咲きます。

1202 ピンホールカメラとか

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め

恩師の神戸芸工大S先生と、神戸の茅葺き巡りをしてきました。
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ニュータウンと茅葺き民家が隣り合う、神戸市北区。茅の環で繋がれば、この状況は神戸という街の財産にもなると思うのです。

国営明石海峡公園予定地に建つ、藍那茅葺き交流民家を久し振りに訪ねました。
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雨戸を締め切った暗い屋内で、障子に浮かぶ雨戸の節穴から射す光が何だかカラフルです。

近づいて良く見てみれば、屋外の景色が天地逆さまに写っています。
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節穴と障子で、針穴写真機になっているのですね。
ただそれだけですけれども、何だか嬉しい。誰かに見せたい気分です。

光の芸と言えば、先日福井市のおさごえ民家園を訪ねた折にもありました。
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かまどに火が入り、屋内は煙と水蒸気でもうもうとしていたのですが・・・

茅葺き屋根の隙間から差し込む光が、もやに反射しているのかビームとなって伸びていました。
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ただ、それだけ何ですけれども。

茅刈り体験会 '09

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 未分類

この冬の茅刈りシーズン、年が明けて後半もイベントが目白押しです。
鎌を手に冬枯れの野原へ分け入って、身近な草が茅という建材へと変わる様を体験してみて下さい。
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皆さんの日常の暮らしが自然とともにあることを、きっと実感してもらえると思います。

◎[茅刈り体験会ヨシ刈り編「カヤカル@淀川」]
期日:2009年2月1日(日)
会場:淀川十三干潟 ヨシ原(淀川河川公園 西中島地区 隣接)
集合:AM10:00 淀川河川公園 西中島地区 駐車場
解散:PM15:00 予定
参加費:無料
申込:当日飛び込みも歓迎ですが、中止の決定は当日朝の天候を見て行いますので、◯氏名◯当日朝に連絡可能なEメールアドレスを
こちらまで
お送り頂き、参加登録されることをお薦めします。
持物:弁当、水筒、防寒着、タオル、汚れても良い動きやすい服装でお越し下さい。
主催:山城萱葺屋根工事+茅葺屋

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新御堂筋と阪急+JRの鉄橋に挟まれた、広大な淀川十三干潟。梅田のビル群を目前にして、ここには奇跡のように美しい草原が広がっています。

それは、遥かな昔から途絶えることなく続けられて来た、ヨシ刈りという人の営みと自然とが織り成す豊かな自然環境。
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代々ヨシ刈りを家業とされて来た職人さんの指導のもと、そこでのヨシ刈りを体験するイベントです。

昨年の様子http://www.kayabuki-ya.net/notebook/2008/02/021608.html

◎[茅刈り体験会ススキ編「カヤカル@神戸」]
期日:2009年2月8日(日)
会場:神戸市須磨ニュータウン内茅場
集合:AM9:45 神戸市営地下鉄名谷駅 北側ロータリー(TAXI乗場)
AM10:00 現地
解散:PM15:00 予定
申込:保険加入のため必ず事前に
こちらまで
◯氏名◯年齢◯性別◯住所◯当日朝に連絡可能なEメールアドレスをお送り下さい。
持物:弁当、水筒、防寒着、タオル、汚れても良い動きやすい服装でお越し下さい。
主催:茅葺屋
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ニュータウンを貫く幹線道路に沿って、四季折々の豊かな表情を見せるススキ野原。

17年前から始まった茅刈りによって、ニュータウンの中に甦った草原の自然環境。
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豊かな住環境を育む茅刈りが、里山の自然と茅葺き屋根も守ります。冬晴れの1日を茅場で過ごし、都市と農村、人と自然の共生する新しい関係の芽を育てて行きませんか。

茅刈りアーカイブhttp://www.kayabuki-ya.net/notebook/cat15/

◎[「茅刈りイベント in 花山中尾台」道路沿いで茅を刈ろう!!]
【会場】北区花山中尾台2丁目道路沿い(ひこはち公園南側)
【日時】平成21年2月14日(土)10:00〜15:00(雨天時は15日に延期)
【集合場所】神戸電鉄花山駅前ロータリー
【集合時間】9:30 【参加費】500円
【申し込み】ハガキかFAX、電子メールのいずれかで、件名「茅刈りイベント」とし、住所、氏名、電話番号、生年月日、性別を記入して、下記まで申し込みください。
【定員】30名 (申込多数の場合は抽選になります。)
【締め切り】2月6日(金)消印有効
【主催】北区役所まちづくり推進課 【共催】花山手自治会
【後援】建設局北建設事務所・教育委員会事務局・神戸市すまいの安心支援センター
【問い合わせ先】
〒651−1114 北区鈴蘭台西町1−25−1
北区まちづくり推進課「茅葺き」係
TEL 593−1111(代)  FAX 593−1166
電子メール kitaku@office.city.kobe.jp

神戸市北区には、美しい田園景観のシンボルである茅葺き民家が約750棟現存しており、北区の魅力の一つになっています。しかし、茅葺き民家の数は、茅葺き職人の高齢化や、屋根材である茅(ススキやヨシなど屋根を葺く草の総称)がないことなどが原因で、減少しています。そこで区では道路沿いに茂っている雑草であるススキを「茅」として、みんなで刈りとり、北区の茅葺き民家の屋根に使用することをめざし茅刈りイベントを開催します。あわせて、茅葺き職人による講演を行います。
このイベントを通して、市街地部と農村部が茅でつながる『茅の環』をみなで体験しましょう。ふるって、ご参加ください。なお、今回の茅は北区内の文化財である茅葺き民家の葺き替えに利用する予定です。

◎[職人が伝える茅刈術「かろまい!! 09」]
期日:2009年3月7日(土) 雨天順延8日(日)
10:00〜16:00 (9:30受付開始)
会場:岐阜県各務原市 河川環境楽園 自然発見館
募集資格:中学生以上 (小学生以下は保護者同伴)
参加費:無料
問合申込:河川環境楽園 自然発見館 http://www.hakkenkan.go.jp/
0586-89-7022 (3/6締め切り)
持物:長袖長ズボン、運動靴又は長靴、弁当、水筒、タオル、軍手
主催:かろまい09実行委員会 共催:河川環境楽園

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川原に生える茅を刈ることは、生態系の改善に繋がりまます。
刈った茅は、茅葺き屋根の材料として使うことができます。
当日は茅葺き職人との座談会も予定しています。
里山環境、古民家建築に興味のある方、大歓迎!

1129 茅刈りの季節/八多町の取り組み

投稿日: カテゴリー: ワークショップ

神戸市北区の八多町には、珍しい茅葺き屋根の公民館「ふれあいセンター」があります。
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その屋根を守るために、地元自治会は中学生も参加した茅刈りを、毎年重ねて来られました。
昨年まではおじさんたちが草刈り機で刈り倒したものを、中学生は束ねて行くだけだったそうですが、せっかくなので茅刈りという文化を継承する機会にしようと、茅葺屋もお手伝いさせて頂き昔ながらの手刈りに取り組むことになりました。

刈り方と、刃物の扱い、安全注意事項を伝えたら、早速茅場に入ってもらいます。
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ここのような溜め池の堤は、決壊を防ぐために草の根を張らしておく必要があり、肥料や飼料として茅が必要とされなくなった後も、草刈りによる手入れが続けられているところが多く良い茅場になっています。
中学生たちはグループごとに、自治会のおじさんたちの指導を受けながら。

最初はおっかなびっくりで腰の引けていた子供たちも、次第に鎌の扱い方も茅のさばき方も、様になって来ました。
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最近では田舎といえども、大人も子供も忙しくてなかなか近所の人たちと触れ合う機会も乏しいように思いますが、茅の刈り方ひとつでも技術の伝承を通じて、世代間交流が進めばうれしいですね。

そして、人と自然の触れ合いも。
長年草刈りが滞り無く行われて来たここの茅場には、今まで見た中で一番たくさんのカヤネズミの巣が見付かりました。
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自分たちが茅葺き屋根のために茅を刈ることが、小さな生き物たちの暮らしを支えることにも繋がることを知ってもらい、子供たちが地域の自然と文化に興味を持つきっかけにもなってもらえたらと思います。

1122 丹後の笹葺き'08

投稿日: カテゴリー: ワークショップ

毎年恒例の「笹葺きパートナーズ」による丹後での笹葺き、4年かかって上世屋の民家の屋根の葺き替えを完成し、今年から2棟目の屋根にとりかかれるまでになっています。
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作業の中心となる立命館大学経営学部の学生による、「丹後村おこし開発チーム」の面々は、今や笹刈りから笹葺きまで一貫してこなす、日本唯一の技能集団に育っています。

こちらの家は昭和10年に建てられた際に葺かれて以来、先日お亡くなりになったご当主自らが差し茅を続けて維持されて来たそうです。
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つまりは、一世紀近く囲炉裏やかまどの火で燻され続けて来た煤が、年月の分だけ屋根に溜まっているということで、古い屋根を解体する作業はものすごいことになりました。

家の中で煮炊きや照明のために火を使っていた頃には、茅葺き屋根は煤けているのがあたりまえで、皮膚に染み込む煤は洗っても簡単には落ちず、屋根屋は常に顔も手も黒かったものだそうです。
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しかし、最近では我々現役の屋根屋でもこれほど煤けた屋根には滅多にお目にかかりません。
にもかかわらず、丹後村おこし開発チームの学生たちは怯みもせずに、手際の良いチームワークで煤けた笹を屋根から下し、堆肥にするために積み上げて行きます。

古い屋根を下ろしたら、昨年末に刈っておいた笹を葺いて行きます。
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もともとは「笹葺き民家を守るために」始まった笹刈り。毎年刈り続けることで雑木林の植生が豊かになって行くことを実感し、笹刈りは学生たちにとって、「里山の自然と関わりを持つため」の営みとなりつつあるのではないでしょうか。

笹葺き民家の活用が里山の自然を守る営みの動機となることで、文化財の保存と生態系の保全、地域コミュニティの活性化が繋がり、人と自然、人と人とをつなぐ環が広がって行きつつあることを感じます。
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