投稿者: shiozawa
0927 壁塗り その1
仕事を終えて帰宅すると、荒壁の片面が塗られていました。
何だか一気に家らしくなったように見えます。
先日こねた土を使って、左官屋さんが昼のあいだに仕事をして下さったおかげです。
土壁は片側ずつ乾かしながら塗り重ねて行くので、乾く前に壁土が凍ってしまいかねない季節までに仕上げるためにも、暖かなうちに塗り始める必要がありました。
押し入れも、燻炭の床下断熱材と土壁に囲まれて、結露とは無縁のものになってくれることを期待しています。
何しろ美山町は、夏も冬も湿度が多くてカビに悩まされるのです。
隙間風を防ぐためにアルミサッシやクロスで囲み、しかし断熱の不十分な茅葺きの家は、特に結露しやすいと不評なのですが、自然換気する茅葺き本来の機能を引き出す断熱を心がければ、むしろ他には無い快適な住宅となるはずだと思っています。
0927 軒付け
秋の気持ちの良い日和が続きます。
現場のある大野集落は南向きの高台に広がり、山に囲まれた美山町でも日当りの良いところで、秋の花に囲まれて日差しが心地よく降り注ぎます。
軒がついて屋根のかたちが決まりました。
下げ葺きで効率良く仕事を進めており、天候にも恵まれて捗ります。
0924 壁土つくり
砂木の家では、いよいよ壁塗りが始まります。左官屋さんと昨年夏から寝かせた壁土を1年振りにひろげたところ、混ぜ込まれていた藁スサはすっかり溶けて、まるで髪の毛のようになっていました。
そこに軒刈りででた藁スサを加え切り返して行きます。
さらに同量の新たな壁土が運ばれて来ました。
古い土、新しい土、藁スサをブレンドして、壁に塗る土をつくります。
良い壁を塗るためには、三者を良く混ぜ合わせることが肝要。
土にさわっているうちに百姓の本性が目覚めたサガラは、いつの間にか裸足で手に鍬。
柔らかな秋の日差しの中で土と戯れています。
土は重くて体力のいる大変な作業です。このうえ寒かったら果てしなく辛くなるところですが、素手素足で泥に触れる感触は、原始的な快感を呼び覚ましてくれます。
何としても暖かな季節のうちに壁塗りをしておきたかった理由の一つです。何とか間に合いました。
0922 軒の解体
美山町の大野地区へやって来ました。京焼きの祖、野々村仁清の生家といわれるお宅です。建物は江戸時代に建てられたものですが。
場所によって傷み方の異なる茅屋根、前回の葺き替えでさわらなかった北側の下半分を、差し茅によって上半分の厚みに揃えてほしいと依頼されました。
しかし、キノコまで生えた厚い苔を取り除くと、押さえ竹が出てしまう程屋根の傷みは進んでいました。
もともと傷みやすい北側の下半分。予算を抑えながら丈夫にするために、差し茅ではなく下げ葺きで対応することにします。
水のまわった軒先は全て解体し、しかし雨に濡れたいない軒下の懐深い部分はそのまま残し、新たにその上に葺き重ねて行くことにします。
差し茅同様に下地の調整を不要として葺く手間を節約しながら、屋根表面は新たに丈夫な材料に葺き替えて行きます。