0916 茅屋根竣工、土屋根準備

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

軒を全て仕上げて足場も解体。砂木の家の屋根がようやく竣工しました。
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長かったです。これほど手間取るとは。
本業のお仕事の傍らにご自宅をセルフビルドされる方々のすごさを、身を以て思い知ってしまいました。

さて、ようやく屋根屋の仕事が片付いたので、大工さんや左官屋さんは仕事の再開準備を進められています。
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小舞いのかかれた壁に土を塗る日程も決まりました。ついでに天井裏にも土を載せてもらうので、壁塗りに先立ちそのための準備を進めておきます。

載せた土がひび割れたりしないように、竹にワラ縄を巻き付けたものをこんな感じに配置しておきました。
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茅葺き屋根の天井裏に土を載せるのは関西では大和天井と呼ばれ、室内の保温や防災のために地域によっては広く普及しています。

作業のために照明を灯した屋根裏を小舞壁越しにロフトから見ると、教会みたいで何だか格好良いです。
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建物がその一生の中で一瞬だけ見せてくれる、小舞壁が光を透かす様子を楽しんでいます。
とはいえ、もちろん少しでも早く壁土を塗った方が良いには決まっていますけれども。

0915 かなり燻しています

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

軒裏を刈り落として、いよいよ最後の仕上げに軒先を刈込みます。
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ヨシを使って丈夫に葺いてある軒先を刈込むのは、なかなかに骨が折れます。

さて、土間ではあいかわらず火を焚いています。
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大工さんが松食い虫で枯れたアカマツを1本分持って来て下さったので、筒切りにしただけで割りもせずに燃やしています。

細かくしなくても火がつくのは、大量に含まれるこの松ヤニのせい。
ただし、このために松を燃やした煙にも脂が多く含まれ、お風呂やストーブを焚いたりすると釜に付着して傷めるそうで、ウチにまわって来たという事です。
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茅葺きの屋根裏が煤けるのは全然困りません。防腐、防カビのためにはむしろ良いくらいなので助かります。

ところで、小舞だけとはいえ壁が出来ると煙が屋根裏にまわるようになり、茅葺き屋根から空気が流れ出る様子が良くわかるようになりました。
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まずオーソドックスなのは文字通り煙出しから排気されるとき。

ところが日によっては煙出しからは煙があまり出て来ずに、屋根全体から湧くように煙が噴き出す事もあります。
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屋根裏と外気の気圧差なのか湿度差なのか、このように茅葺き屋根が呼吸する事で内部は快適に保たれるのでしょう。
ただ、そんな時には屋根に火が着きやすくなってもいそうで、もらい火で延焼して集落が全焼してしまうような火事も、こんな時に起きるのかもしれません。

曇った日に煙の量が多いと、軒先から煙が下りてくることもあります。
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ただし、砂木の家ではまだ建具のない今でも、居室の中には煙はほとんど入っては来ません。
茅葺き屋根のベンチレーターとしての機能を生かして、適度な換気と暖かい居室を実現しようとする試みは、今のところ上手く行っているように思います。

0912 軒刈り

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

砂木の家に戻って来ました。
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空はもう秋の空。日差しは強くても、乾いた心地よい風に吹くようになりました。

仕上がったところから足場を解体して行き、正面の軒を残すのみとなりました。
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茅葺き屋根を葺き下した縁側に腰掛ければ正面に見えるところなので、最後にもう一度集中して仕上げます。

造成から逃れた小さな庭に、ニラの花が咲きはじめました。
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以前は家の周りの土手の上に、背景に初秋の青空をレースのように透かしてたくさん咲いてくれていました。
建物が落ち着いたら、窮屈に過ごしながら待ってくれている草花が戻ってくれるように、庭も整えて行けたらと思っています。

0905 杉の葉葺き

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め

テッタイとして活躍してくれていたクボさんとヨネクラくんが、滋賀県の朽木でのフェス山水人にスタッフとして参加しているので訪ねて来ました。

由良川を遡って美山町の奥へ奥へと進んで行くと、芦生の森をかすめて佐々里峠に出ます。
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見事な針広混交樹林が広がりますが・・・灰色の木は昨年までに、赤い木は今年、ナラ枯れにやられてしまった木です。関西でも指折りの美しい森の、広葉樹の半分以上は枯れてしまっています。
ここまで酷いとは・・・

峠を下りるとそこは、京都市左京区。美山町は京都市とお隣りさんです。雪の無い季節限定ですけれども。
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ここ久多の里は知る人ぞ知る茅葺きの里です。休耕田が茅場としてきれいに手入れされていました。

山水人の会場に着いていみると、テッタイチームの2人は滞在+イベント用の竪穴住居を建てているところ。さっそく手伝います。
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用意してあった真竹で骨組みを組んで、さて屋根を葺こうとすると茅が足りません。
この場所で一番身近に手に入る茅材というと・・・周りは杉だらけの山ばかりなので、枝打ちして杉の葉で葺くことにします。

竪穴住居のようにカーブした面に下地の竹を取り付けるには、無理に水平にしようとすると割れたり緩んだりしてしまうので、面に沿って斜めに取り付けます。
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現場で試してみればすぐ判ることだと思うのですが、何故だかこのように復元されている古代住居をまだ見たことがありません。

1日手伝って作業するとこんな感じになりました。
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あとは、自分たちで頑張ってくださいね!

0903 燻しています

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

裏側の軒が仕上がったので、雪で足場が折れた時に割れた瓦を直してもらいました。
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やはり多少は雨漏りしていたようで、垂木や野地板に染みが出来ていました。

そうでなくても大工さんの建前のあと、1ヶ月も雨ざらしにされて松の梁にはカビが生えたりしているので、土間で端材を燃やして毎日燻しています。
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こすっても消えないカビが、燻してから乾拭きすると煤と一緒にきれいに取れて驚きました。

そんなことをしながら、ひたすら刈込む毎日です。
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