0901 八朔の日

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 砂木の里

毎年9月1日は、砂木のお堂の月遅れの八朔のお祭り。
まず朝から集落総出で林道の草刈り日役に汗を流します。
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仕事の都合で田舎に引っ越して来た当初は、高い住民税を払っているのに管理作業が住民に義務化されていることに反発を覚えたものでした。でも日々の暮らしに彩りを添えてくれる田舎の自然が、実は自然のものではなく先人たちの営みの積み重ねによるものだと気付いた時、自分の暮らしもそこに重ねて行く機会として、日役に参加するのは義務ではなく楽しみだと思えるようになりました。

それに、役得もちゃんとありますしね。
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刈り払い機を振るいながら防獣柵に絡んだヤマノイモのムカゴを摘んでいると、たちまちポケットが一杯になりました。
明日のお弁当はムカゴご飯。

午前中に草刈りを終えて、昼からはお堂の周りで盆踊りの準備。
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すっかり支度が整ったら一旦家に帰って汗を流し、お地蔵さんにお経を上げてから持ち寄ったご馳走を広げて、村の人たちみんなで頂きます

気持ち良く酔った顔に夕方の風が心地よく吹く頃には、三々五々引き上げて行きますが、中には話に熱が入って暗くなるまで語り合う人たちも・・・
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そしてすっかり日が暮れてしまうと、浴衣に着替えて再びお堂の周りに集まり、盆踊りが始まります。
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お堂の中では三度酒宴の花が咲いているようですが・・・

0827 茅葺きに窓

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

北側の大間は軒まで刈って下りたので、続いて軒裏を刈り落とします。
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屋根の真ん中に開いている穴は、2階ロフトの天窓です。窓枠の取り付けなど作業が残っているので、足場を残しておきます。

北側の軒はロフトの地窓の庇を兼ねています。
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実験的に穿った窓ですが屋根の強度や採光、視界は考えて葺いていたつもりでした。が、仕上がってみるとやはりというか不都合も出て来たので、思い切って1尺ばかり切り上げてしまうことにします。
堆肥原料に利用されるとはいえもったいない話しではありますが・・・

奥まったところ、手間がかかりそうなところから先に仕上げて行くのは、どんな仕事にも共通する手順です。
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刈込む前と比べると、軒の形もかなり変わっています。
「前髪が重くてうっとうしい?じゃあ、ちょっと切って軽くしておきましょうか」と、いう感じ。

0822 アングル

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

砂木の家の施工記録写真を撮って下さっている、parammmさんが現場に来られました。
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屋根屋の作業の様子は、屋根の上から撮影した方が手元の様子が明らかになります。が、足場の無い上方からの撮影は、普通のカメラマンさんには無理な話。
ところが、地下足袋持参で棟に上がってしまうparammmさん。茅葺屋のヘルメットが似合い過ぎです。

屋根屋とはいえ自宅の棟に上がれる機会はそうそうありませんから、僕も棟に上がって砂木谷の眺めを楽しみます。
砂木の谷の集落の一番奥にある我が家の屋根からは、谷全体を見渡すことが出来ました。正面奥に谷の入り口の高台に在る、茅葺きのお堂が見えます。
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砂木に茅葺きのままで残るのは、拙宅とこのお堂ともう一軒だけ。でも、トタンを被っている家はもちろん、瓦葺きの家も全て茅葺き屋根を下ろして2階を上げたもの。目に入る全ての家が茅葺き民家からの改築です。
本当にちょっと前までは、茅葺きの家があたりまえだったのですね。

少し目線を上げると、ナラ枯れで赤茶けた木の目立つ山が・・・春の新緑、秋の紅葉、雪景色と、四季折々の姿で楽しませて来てくれた山だったのですが。
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里に近いこの山は薪山として雑木を伐られ続けることで、常に若々しい広葉樹が新陳代謝しているのが、ついこのあいだまで当たり前でした。薪がもう必要なくなり木を伐らなくなったことで、山が枯れて行くのも当たり前だとは僕にはどうしても思えません。
茅葺き民家が無くなって行くのを当たり前と思ってしまうことは、ナラ枯れのような放置された自然の荒廃と無関係ではありません。砂木の家での様々な試みが、茅葺き民家は失われ行くものだという決めつけを、少し変えることになってくれたらと願っています。

0821 藁スサ

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

お盆が明けたばかりだというのに、秋雨のような冷たい雨に度々降られます。
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雨漏りの心配は無いとはいえ、雨の日の刈込み作業は捗らない上に仕上がりも悪くなるので、できれば避けたいところです。
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そこで雨のかからない軒裏の刈込みを進めておきます。
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軒裏には茅を屋根に置く角度を稼ぐために稲ワラが使われています。この稲ワラの刈りくずはとっておいて、壁土に練り込むスサに使います。
ススキやヨシといった他の茅材の刈りくずは堆肥の原料に。茅葺き屋根はゴミを出さないゼロエミッションを、とっくに実現してる建築技術です。

0820 集合住宅

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

お盆が明けて作業再開。いよいよ仕上げの刈込みが始まります。
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屋根を葺きはじめて丸一年。長かったです。仕事の合間に作業を進めることが、これほど手間取ることになるとは。本業の傍らで自宅をセルフビルドされている方々の偉大さを思い知らされました。

ストロー状のヨシの並ぶ茅葺き屋根は、穴の中に巣を作るハチたちにいつも大好評。狩人蜂(種類不詳)が幼虫のエサにするバッタをせっせと運び込んでいます。
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ただ彼等は有視界飛行で飛んでいるらしいので、これから仕上げのハサミをかけて屋根表面の地形が変わってしまうと、つくりかけの自分の巣の位置が判らなくなってしまうようです。
ハサミ仕上げの最中にエサを抱えたままうろうろしているハチを見かけると、いつも申し訳ない気持ちになりますが、ハチのお母さんたちのためにも、茅葺き屋根は葺いたらさっさと仕上げてしまわなければならないようです。

家の裏庭にミョウガが顔を出す季節になりました。採るのは鹿と競争です。
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クボ料理長は美山より更に山奥へと旅立って行ってしまいましたが、丁稚サガラが天婦羅にしてくれました。茅葺屋のスタッフはみんな料理上手でありがたいです。摘みたては香りも歯触りも最高!