071006 カヤマル'07初日

投稿日: カテゴリー: 茅葺き体験会「カヤマル」

茅葺き現場体験会「カヤマル'07」。台風の接近が気がかりでしたが、幸いにして快晴の初日を迎えました。
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カヤマルのために、茅葺屋の他に6人もの職人さんたちが集まってくれました。
おかげで何とか軒裏を付け終わりましたが、初日の朝も参加者を迎えるギリギリまで、現場をカヤマルプログラムが充実する状態にするため、作業が続いています。

一方、遠方から山奥のカヤマル会場へ集合するために、早朝から家を出て下さったであろう定員枠一杯の参加者たちは、早速縄結び講習会で歓迎します。
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台所から家づくりまで、「男結び」は田舎暮らしの基本スキルですが、結び方を知っていてもきちんと堅く結束するためには、慣れが必要となる難しい結び方でもあります。しかし、茅葺きにも不可欠な技術なので、現場に入る前に充分な練習を積んでおきます。

昼食後、大きな茅葺き屋根の砂木区の区長さんのお宅を訪ねて、天井裏まで上がらせてもらいました。
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既存の茅葺き民家の構造を、間近に見学させていただきます。

充分な予習を積んで、いよいよ現場入り。
早速屋根に上がって、特訓の成果を見せるべく、男結びで下地の横竹を結束して行きます。
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初めは竹を組んだ下地の上で足場を決めるのも一苦労の様子でしたが、職人さんたちの直接指導を受けて、実践を通して鍛えてもらいます。

後半には葺く作業にも参加。
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重要な軒の部分の作業でもあり、教える方も教わる方も真剣です。

一日の作業の最後には、当番を決めてサガラ料理長の指示のもと自炊。
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職人、ご近所、参加者、みんなでつくるカヤマルです。

071003 軒付け

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

自宅の前には川から引き込まれた水が流れています。田んぼに入れるための水路ですが、谷に沿って伸びる砂木の集落の家々の前を通る際に、野菜を洗ったり生活用水としても使われているので、稲刈りが終わったあとも水が止められることはありません。
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茅葺きはとにかく汚れる仕事なので、現場に手や顔を洗えるきれいな水が流れていると助かります。
今朝は、水路に咲くミゾソバの花びらが浮いていました。

さて、編み付けの上には稲ワラを並べて、下地に対して角度を稼いで行きます。
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藁の上には古茅の「シン」を並べて、さらに角度を稼ぎます。
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砂木の家は新築なので古屋根を解体した古茅は無いのですが、茅葺き屋根の軒裏に材料の違いで生じる縞模様が好きなので、他所の現場で畑に還されようとしていた古茅を頂いて来ておいて、縁側の前に持ってきてみました。

角度を稼ぐために並べた短い切り茅の上に、長く丈夫な茅を選んで並べて、竹で押さえます。
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カヤマル当日までに、ぐるりと軒を付けておいてしまいたいので頑張っています。
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カヤマルでは参加者の方に「葺く」体験もしていただくのですが、屋根の要となる軒付けは難し過ぎて手を出してもらえる工程がありません。あらかじめ現場をカヤマル仕様にしつらえておくことで、カヤマルの時に参加者の方々に積極的に関わって頂けるようになるのです。

カヤマルは、当日はもちろん事前の準備から事後のケアまで、仲間の職人たちが支えてくれているからこそ、中身の濃い体験会として続けて来ることができました。

071002 脱衣室

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 里山

神戸の里山でもススキの花が咲き出しています。
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砂木の家の屋根は、以前から少しずつ刈り貯めていたススキに、淀川や宇治川のヨシを混ぜて葺いて行きます。
ヨシを取りに茅倉庫へやってきました。

茅倉庫の容量に限りがあるので外に積んでいた茅がかなり傷んでいました。厳重にシートで養生し地面からも高く上げて積んでいたのですが、わずかな穴から雨水が入り込んでいたようです。
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細かな気配りが必要な上に、やたらとかさ張る頭痛の種です。
かつては秋に刈り冬中干して乾かした茅を春に葺いたり、村の各戸の屋根裏に分散して保管した茅を順番に使ったりしていた訳ですが、つくづく上手い仕組みが出来ていたものだと思います。

倉庫の茅を運び出していると、何やら変なものが出てきました。
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卵の殻を細かく砕いて固めたような・・・

どうやらこの皮の主が、食事の後に吐き戻したもののようです。
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ヘビは脱皮の際に石の角などを使って、古い皮を引っ掛けながら脱いで行くそうですが、積み上げて揃えた茅の根本が引っ掛けるのに具合が良いようで、実にたくさんの古川が脱ぎ捨てられていました。

さらに茅を運び出して行くと、皮の持ち主自身も現れました。
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左の細い皮の主のシマヘビ。

そして、右のごつい皮の主のアオダイショウ。でっかい!
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カヤネズミのことを思うと、ヘビ達に茅倉庫の住み心地を喜ばれるのは複雑な気分ですが、大きなヘビが何匹も暮らして行けるくらいに、ネズミやカエルや鳥の巣がたくさんある環境になっていることは、喜んでおこうと思います。

070928 下地組み

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

足場が組まれると、「大工さんの建て方モード」から、「屋根葺きモード」へ現場が切り替わったような気がします。
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この現場では体験会「カヤマル」も開催することですし、安全面に配慮した広めの足場を組んでおきました。

足場が出来れば、下地の竹を組んで行きます。
緩まないようにしっかりと結わえて行くと、屋根カゴと呼ばれる下地はいかにも丈夫そうになりますが、この横竹は構造材としては最終的にはあまり機能していません。
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茅を並べてから茅を止めるホコダケ(茅押さえの竹)をレン(垂木)に締めつければ、あいだに挟まれた下地の横竹は緩んでしまうことも少なく無く、また、挟まれた茅全体の摩擦係数とホコダケで「総持ち」になっている茅屋根の構造上、緩んでも特に問題は無いのです。
下地の横竹をしっかりと結わえるのは、シートの上げ下げや下地工事の期間中、足場として使う際の安全性と、屋根裏から見た時の美しさに対する配慮です。
純粋な機能としては、横竹は並べた茅が屋根裏にこぼれ落ちて来ないように、そこに「ただあれば」良いものなので。

下地ができれば、軒を一番下で支える「編み付け」
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軒を支えるために丈夫で、かつ縁側から見上げた時に目に入る場所なので、化粧の意味もあり真っ直ぐできれいな材を使います。今回はヨシを使っています。
麻を栽培していた頃には、麻殻(オガラ)を有効利用していたりもしたようですが、ヨシのように光沢のある材料を用いた方が、縁先は明るくなります。

070927 壁土が来ました

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

夏のあいだに頼まれていた仕事を片付けて、自宅の屋根葺きに戻ってきました。
屋根を葺き出す前に、下地に使った縄を濡らさ無いように屋根の養生をして、ようやく雨ざらしの状態を脱しました。
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本格的な作業開始に先立って、まず足場を組みます。
茅葺きの足場は、軒の高さに合わせて微妙な調整が必要なため、昔ながらの丸太と番線の足場が具合が良いのです。

足場を組んでいると、左官屋さんが壁に塗る土を持って来られました。
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2tダンプ一杯の土・・・小さいながらも家一軒の壁を塗るのに、多いと言えば多いような、少ないと言えば少ないような。素人には判りませんね。

壁土は左官屋さんが土手に積んだ上に水を貯めて、シートで包んで寝かせておきます。
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途中に何度か切り返す必要があり、その際に藁スサを足す事になるのですが、それは茅屋根を刈り揃えた切り屑で賄えたらと面白いかな、と思っています。