0827 続々・葺き上げ

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌+古民家族@船坂/旧坂口家

ようやく空には秋の気配が漂いはじめましたが、地上の暑さは全く衰えないなか、古民家族の旧坂口家の屋根葺き替えが続きます。
あ、↑ブログ始まっているみたいです。
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今回は傷みの酷い軒から3分の2の屋根を葺き替えて、棟の部分には手を付けません。
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ですから軒から葺き上がって来た屋根を、古い棟の下に潜り込ませてやらないと屋根として繋がりません。
丸太を突っ込んで古い屋根を持ち上げ、新しい屋根を差し込む隙間をつくっておきます。

今日も暑い暑い中、屋根の上でも下でもみんな働き者ですね。
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と、思ったら・・・電池切れですか?
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立ったまま寝ているし・・・
暑いからね。

まあ、アイスでも食べて。
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葺き上がりまでもう、あと僅か。頑張りましょう。
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0818 続・葺き上げ

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌+古民家族@船坂/旧坂口家

お盆が明けても暑さが和らぐ気配が見えませんが、古民家族による船坂での旧坂口家の屋根葺き替え再開しました。
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今回の目標は「誰も倒れないこと」。
暑い中無理は避けましょう。

雨養生のシートをめくると、いきなりこんなものが。
菌糸で真っ白になった茅屋根。梅雨で濡れた屋根にシートを被せて、夏場に一ヶ月放置でしたからね・・・
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倉庫保管中に濡らして菌糸まみれになった茅を葺いて、屋根にキノコを生やしてしまったことがありましたっけ。
ま、濡れていたのは表面だけなので、真夏の太陽に灼かれて絶えるでしょう。

平日開催ということもあり参加メンバーは常連組中心。さすがに作業の段取りも飲み込めて来て、職人の指導のもと手際良く葺き上がって行きます。
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それにしても陽射しから逃げ場の無い屋根の上は、照り返しもあってかなりの暑さになります。

屋根の上と同様、屋根の下での作業も手際良くなって来ました。
茅束を運んでいるだけでぱらぱらと茅くずが落ちる茅葺き。掃除は欠かせません。
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掃除していてもそもそも散らかる現場ですから、ご近所のご理解が無ければ茅葺きは続けられません。
古民家族の活動を温かく見守って下さる、船坂にお住まいの皆さんに感謝です。

2日間の作業でだいぶ屋根らしくなって来ました。
しかし、今シーズン葺けるのは、実質残り1日くらいです。
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残りの作業量を思うと余裕はありませんが、それよりも誰も熱中症で倒れることも無く、怪我も無く、酷暑の中無事にやりとげられたことに、今回は価値がありました。水分補給対策に気を配ってくれた、学生スタッフのおかげですね。

みなさん、おつかれさまでした。

0801 萩 行 '10

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め

怪我をして以来初めて山口県の萩の町を訪ねて、母と祖父母が眠るお墓に参って来ました。
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山道の先にある田舎の墓地なので車椅子でどうかな?と思っていましたが、何とかなるものです。視点が変わると、以前は全然気付かなかった迂回路がちゃんとあるのを見付けました。
地元のおじいさんおばあさんたちがお参りされているのですから、えぐい急坂以外のアクセスが無いはずは無いのに、目には映っていても意識できないものは見えていないものですね。

毛利家の菩提寺である東光寺まで足を延ばした帰り道、葺き替えて間もない茅葺き屋根の小さな家がありました。
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松下村塾の前身となった「玉木文之進旧宅」とか。公開されていたので見学させて頂きました。
昨年末に葺き替えたそうで、ボランティアの案内の方が「70代の職人が20代の後継者連れて葺きに来ました」と、嬉しそうに話してくださいました。

そういえば神戸でのくさかんむりのイベントに参加して下さっていた方も、山口県で茅葺きの修行をはじめたと聞いておりましたが、元気でやっておられるのでしょうか。
茅葺き屋根はその土地毎の日々の暮らしの中で育まれて来た文化ですから、地域性豊かな日本の茅葺きを次代に伝えるためには、各地に深く根を下ろした後継者が育つことが、とても大切なことだと思います。

0719 男鬼の茅葺き2010

投稿日: カテゴリー: ワークショップ

今年も滋賀県立大学人間文化学部有志「男鬼楽座」による、男鬼での茅葺きに参加して来ました。
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崩壊寸前だった山手側の屋根を、軒から順に葺き替えはじめて3年目。とうとう棟にまで至りました。

棟に近づくと、葺き並べた茅の先が越えてはみ出てしまいます。はみ出た分が無駄にならないように、茅を切るのも屋根の残りにに合わせて長さを調整しながらとなります。
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茅切りしている地面から、バケツリレー式に茅を届ける葺いている場所までの距離も遠くなりますが、加工した茅の「仕掛品」が出ないように、葺く人と茅を切る人とで連絡を密にして、互いの作業内容を確かめ合いながら進めることが大切です。

毎年少しずつ茅を集めて、葺いて、積み重ねて山側の屋根はきれいに葺き替えられました。
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既に住む人がいなくなって久しい男鬼の集落ですが、人が関わり続けることで集落としての気配を保ち続けています。人の営みが重ねられた環境は、自然の中に適度なアクセントを加えて、原生の自然よりもはるかに多くの生き物たちに暮らしの場を与えています。
山村の佇まいを眺めていると、人の暮らしもまた自然の一部なのだと実感します。

自然に正直に、丁寧に暮らしたいと思う人は増えていますが、自然とともにある正しい人の暮らしとは、エコとかロハスとか外から持ち込むものではなくて、その場所が求めている声に耳を傾けて、ようやく教えてもらえるものだと思います。

長く営まれて来た集落の暮らしは、まさにそんな生き方のお手本でです。
男鬼に携わった学生たちは、そこでの営みを通しての様々な発見を、きっと少しずつ社会に還元して行ってくれることでしょう。

0711 葺き上げ

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌+古民家族@船坂/旧坂口家

軒がついたので茅を並べて屋根を葺いて行きます。
オシギリで切ってつくった短い材料を間に挟んで、葺き並べる茅が屋根の下地に対して一定の角度を保つように調整します。
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この屋根は勾配が緩いこともあり、短く切った茅の先の方を踏みつぶして、よりテーパーの効いた材料に加工して、葺いた時に角度を稼げるようにしておきます。
茅は適材適所に選り分けるだけではなく、時に必要に応じて加工することもあるのです。

長い茅を端から端まで薄く並べたら、その次は短い茅を同じように並べる・・・というのを繰り返し厚みを出します。何層にも重ねるレイヤーの材料を選ぶことで、勾配を調節しながら葺いて行きます。
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滑りやすいヨシを混ぜて葺くときは、このようにあらかじめ滑り止めの板を吊っておきます。

一定の厚みに茅を並べたら竹で押さえて止める訳ですが、押さえの竹を下地に縫い止める様子をあらためて。
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青い竹の垂木に縄をかけるために、写真で竹の上側の際から差し込まれた針から、「針受け」の役目の人が縄を抜きます。

今度は写真で竹のすぐ下側の際に出るように、針受けの人が声をかけ得て誘導してあげます。
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良い位置に出て来たら、最初の縄を針にかけてから引いてもらえば垂木に縄をかけることが出来ます。
さらに男結びで止めるために2重がけにする方法はこちら

竹を縫い止めて仮固定したら、ずれ止めの板を外してから叩いて形を整えます。
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叩いて伸ばした後で理想的なかたちに収まるように、板を当てているときから想定しながら並べておかなければなりません。

ひとつひとつの作業に意味があることを考えなければならないのは、もちろん葺き並べる時も同じですが、軒がきちんとつけてあれば、それを目安に葺いて行けるからずっと捗ります。
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どんどん葺いて行きましょう。