投稿者: shiozawa
0917 続・軒付け
台風の影響が心配されましたが、軒の一針目をつけることができました。
ここまでで屋根葺きは最初の山を越えたという感じになります。
屋根全体のかたちを決める軒を無事付け終えた事と、養生シートが風をはらんで捲れたり錣屋根との継ぎ目から雨漏りしたりする心配が無くなるからです。
台風に備えていつもより念入りな雨仕舞いをして帰りました。
一旦風が吹き始めてしまえばシートを直す事は大変な危険を伴うので、シートが風をはらまずにいなすように固定しておく必要があります。
夕方になると次第に強くなって来た風に、開き始めたススキの尾花が揺られています。
時間をかけて養生することができたので、滅多な事は無いとは思いますが、今夜はゆっくり寝ていられないなあ。
屋根に穴の開いた家で台風を迎える家の方は、もっと心配でしょうけれど。
060915 敷地が広くなりました
0916 軒付け
北側の大間をめくってみるとかきつけ がなされれずに、カヤオイの上に直に稲ワラが乗せられていました。
錣屋根(シコロ屋根・ひさし)で茅屋根を受け止めるようにして、茅屋根と錣屋根のあいだに隙間が出来ないようにする配慮と思われます。
隙間が無い方が当然雨仕舞いは良くなります。しかし、錣屋根を設けたせいで軒からの換気効率が悪くなった事が、最近「茅葺き屋根が長持ちしなくなった」と言われる原因の一つではないかと怪しんでいる僕としては少々複雑です。
半割丸太のカヤオイは厚みが一定ではないので製材したものに交換しました。
下地の竹を止めている縄も全てかけ直します。
しかし、竹そのものはしっかりしていて、ほとんど交換する必要はありませんでした。旬の悪い時期に伐採した竹を使うと、どんなに囲炉裏を焚いて燻しても虫が入って駄目になりますが、刈り旬の良い竹は何年経っても間違いがありません。
後年の改造で設置された錣屋根は、茅屋根がかぶさる部分までは風雨に曝されても大丈夫なようには造られていません。隙間があった方が良いかどうかは自分の家で実験するとして、瓦と茅屋根のあいだに隙間が出来ないようにして新しい軒を付け始めます。
とはいえ、稲ワラでは雪が積もったときに水を吸う恐れがあるので、半分に切った茅のカブ(根元の方)を逆さにして、しなやかな切り口の方が瓦に乗るようにしてかきつけます。
カブをかきつけた上に稲ワラ、古茅と、短くテーパーのきつい材料を重ねて葺いて、屋根下地に対して茅材を置く時の角度を稼いで行きます。
八重山近海では台風13号が不穏な動きを見せており何やら雨がぱらつき出しましたが、水濡れに弱い稲ワラや古茅を曝したままでは帰れません。
雨が本降りになる前に長く丈夫なススキで軒を収めて、何とか完了。
これで一安心。
もちろん、工事用ブルーシートで養生して帰るのですが、ブルーシートは完全防水ではないから多少滲みる事もあるし、軒の茅がついていないと屋根裏から吹き上げる風でシートがめくれてしまう事もあるので、安心して寝ていられません。
0914 古屋根の解体/茅出し
昨日は一日断続的に強い雨が降り続きました。屋根屋休みです。
一昨日屋根めくりをして開けた穴から、屋根裏に保管されている茅を出します。
家の方が25年に渡って刈り貯めた「茅貯金」が屋根裏一杯に詰まっていました。
半日かかって出してもまだ半分残っています。
どこの家でもこれくらい頑張って貯めていてくれたら、「茅葺きは高価だ」と言われる事も少なくなると思うのですが・・・
まあ、確かに茅刈りは重労働ではありますが、楽しんで出来る範囲だけでもね。
今日は天気も持ちそうなので、北側の大間もめくり始めました。
屋根裏の奥の方に詰まった茅は、こちらをめくって開いたところから出した方が段取りが良いですし。
小間と同じように、古茅は捨てるものと再利用するものに分け、さらに使う分は長さ毎に分けて束ねておきます。
古茅は耐久性に劣るところもありますが、完全に乾燥していて縮んで緩む事も無いので、軒裏の雨のかからないところに使うにはむしろ適しています。
つまり、葺き始めたら最初に使う事になるので、足場の上に保管しておきます。
材料がかさばるので、茅葺きにはとにかく広い足場が必要となります。