0704 続・棟収め/鎌倉のやぐら

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@鎌倉覚園寺

(一部ですが)軒が通って(途中ですが)棟が乗ると、屋根の形が見えて来ました。
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前後の最後の押さえ竹に2重にしたワラ縄を通して、横積みにした棟の茅を締め上げて固めます。
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ちなみに最後の押さえ竹は、棟の下ごしらえで高さを揃えて設置した下地の竹に縫い付けることで、棟の基礎として水平に設えることができています。

最後の押さえ竹の上にさらに茅を並べて、最後の押さえ竹から針金を取って押さえます。
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棟と屋根面との取り合いを滑らかにしたり、下地まで貫通した針金で締めてある最後の押さえ竹を養生する意味があります。

ところで鎌倉のあちこちにある、覚園寺境内にもたくさんある洞穴が「やぐら」と呼ばれる中世の墓所であったことは、例によって鎌倉に来るまで全く知りませんでした。
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近世、近代には物置として使われていたりしたので、内部に安置されていた五輪塔も外に放り出されてしまっておりますけれども。
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内壁には手で掘った鑿の跡がはっきりと残っています。
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切り通しもそうなのですが、襞のように入り組む谷戸の奥まで発達した鎌倉の街では、周りを取り囲む砂岩の崖を掘りたくなるのが人情というものだったのでしょう。

鎌倉の外とは繋がっていないので切り通しとは言わないのでしょうが、谷戸と谷戸とをつなぐ小さな切り通しもあります。
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あるいは、ご近所との往来を便利にするためにやぐらを貫通させてしまったのかも。

貫通したやぐらを潜って訪れる敷地に建つ住宅もあります。
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洞穴の入り口に赤いポストが何ともかわいらしいです。

0702 棟収め

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@鎌倉覚園寺

ついに鎌倉暮らしも七月に突入です。四月に来た時には「夏までには済むだろう」と軽く考えていたのですが・・・
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足場に吊っている丸太の下は屋根が乾かないので、茅に混じっているススキの種がとうとう芽を出してしまいました。
もちろん、種は条件反射的に発芽しただけで、屋根を仕上げて丸太足場を外せば乾燥するし、栄養も無いのですぐに枯れますけれども。

とにかく、ようや棟積みがはじまりました。
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建物は方丈(平面が正方形)で寄せ棟なので、単純に考えると最後まで葺き詰めれば棟は点となるのですが、大きな屋根がそれではプロポーションのバランスが悪いのと単純に葺きにくいこともあって、妻側の勾配を平側よりやや急にすることによって小さな棟ができるように下地の段階で調整してあります。

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最後に並べて竹で押さえた茅は、四方から集まって互いに邪魔にならないように短く切る必要がありますが、短いと抜けやすくなるため、それを防ぐために押さえの竹から奥で折り曲げておきます。

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茅を横に積んで棟の形になるように整えていきます。
ただし、棟の天端が水平になるように徐々に寝かして行きつつも、両端は杉皮や瓦で雨養生のラッピングをした後も雨にさらされるので、水が棟の中に入って行かないように外に向かって傾斜する勾配を保つように取り付けます。

棟積みはまだ続きますが、とにかくてっぺんまで葺き上がりました。
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もっとも、小さな棟に大勢でたかっても効率が上がらないので、棟積みはスミタ父子にお任せして先に軒裏を仕上げて行くことにしました。
ですから、ここで紹介する棟収めの工程作業は、あくまでも僕の見たスミタ流(形は関東風ですが)のレポートです。
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軒刈りは重く大きなハサミを支えて一日中刈り続ける事になるので、肉体的にはきつい作業ではあるのですが、仕上げ仕事をきれいにこなすやりがいも大きいので、屋根屋仲間にはこの工程が結構好きだという人が少なくなかったりもします。

60630 夏のはじまり

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め里山

そろそろ棟を積む、というタイミングでまた関西へ一週間程戻ってきました。自宅のiMacは戻るのを待っていたかのようにクラッシュしてしまったので、美山→神戸→宇治のショートトリップをまとめて。

美山も忙しそうでした。いつまでも鎌倉が片付かないので少々気が引けます・・・
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美山の自宅の周りはホタルが盛り。
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なのですが、ホタルの写真は難しいですね。
ゲンジは明るいですよ。

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藍那の里山は夏の装い。茅場のススキも順調に育っていました。
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ヤマダさんの京田辺のS家は竣工間近。こちらの現場に入るという話もあったのですが。まあ、鎌倉に行ったこと自体は良い経験になっていますけれど。
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S家近くの巨椋の池干拓地にはこんな田んぼが。これは稲田なのか蓮田なのか・・・。レンコンの収穫は稲刈りに合わせなければならないのでしょうか?
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で、今朝鎌倉に戻って来たのですが、まだ棟は上がっていませんね。あれ?
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060626 敷地が現れました

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

鎌倉から一時戻ってみると、敷地の造成が終わっていました。
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メールでのやりとりだけで進めてもらっていたため、実際に確認できて安心しました。

基本的に敷地に合わせて建てようとしているので、造成も最低限にとどめています。
こうして見ると広いような狭いような・・・
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いずれにしても石垣は積み直さなければなりませんけれども。

0623 棟の下ごしらえ

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@鎌倉覚園寺

昨日の段階でここまで葺き上がっていました。
葺いた茅の先端が棟木を隠してしまう前にやることがあります。
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下地の横竹は基本的には葺いた茅材が屋根裏にこぼれないように支えているだけのものです。が、棟や軒のように高さを揃えることに気を遣うときには、横竹を水平と高さを揃えて据えておいて、押さえの竹をそこに縫い付けるということをします。
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棟の大きさに合わせて高さを決めて、棟が傾いてしまうことが無いように表と裏の高さを揃えます。茅を締め付けても緩まないように太い竹を使い、しっかりと結わえ付けておくことも大切です。
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棟の下ごしらえをこなしたら後は棟まで茅を葺き上げていきます。もう少し。
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