070330 茅刈りの日々 4

投稿日: カテゴリー: 茅刈り

手入れして来た茅場のススキを、里山公園の修景工事に使うために株ごと移植することになりました。
造園屋さんが5,6人バックホーも使って、一日がかりで一番上の耕作放棄田のススキを掘りとって行かれました。
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茅葺き民家もある里山公園だから、そこにはススキが生えているべきだと考えて下さるのは嬉しいのですが、正直娘を嫁にやるような複雑な心境でもありました。
ススキは秋にタネを集めてまけば、いやでも生えてきて2,3年で立派に株立ちするのですが・・・
「守り育てる公園」「造り続ける公園」というコンセプトであっても、やはり竣工時の見栄えもそれなりに大切だということなのでしょうけれども。

さて、気を取り直して残された茅場の刈り取りを続けます。
ここではササとクズの薮になっていた耕作放棄田へ茅刈りという行為を働きかけることで、健康な里山の構成要素である茅場へと移行させようとしているのですが、そもそもススキは荒れ地に生える植物なので、廃田とはいえ土地の肥えた田んぼに生えると少々大きくなり過ぎてしまいます。
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右が団地の茅場で刈り取った「茅らしいススキ」左は田んぼの「ややごついススキ」

写真だと判りにくいかもしれませんが、手で触ってみると右の方がずっと細かく蜜な感触です。
細くても痩せた土地で苦労して育ったススキの方が、茅葺き屋根に葺いた際に丈夫で長持ちします。
ですから土地が肥えてしまわないように、伝統的な茅場では刈り取りの後に火を入れて、落ち葉や雑草を燃やして処分していますし、それが出来ない団地の茅場では苦労してでも掃除が欠かせないのです。
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田んぼの茅場でも、肥料を吸収して大きくなったススキを毎年刈り取って持ち出すことで、次第に肥料過多な状態は解消され土のバランスも良くなって来ているようです。
最初のころはもっと大きなお化けみたいなススキでしたが、これでも段々良くなって来ていますから。

何とか茅刈りも済ませて、里山も春を迎える準備が整いました。
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株ごと掘りとった手前の方が、ちょっとすっきりし過ぎていますけれども・・・

気がつけば茅場を囲む雑木林の縁では、サツキの花が咲き始めています。
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茅刈りの季節は終わっていました。
茅葺きに行かなければ。

071110 里山暮らし塾の茅刈り

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅刈り

友人の大工さんが運営されている美山里山暮らし塾の、茅刈りをお手伝いしてきました。
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江戸時代に建てられた茅葺き民家の周りで、そこにお住まいの方が毎年ススキを刈り取って手入れされている、茅場の茅を刈らせてもらいました。

人が刈って、干して、ヤギが食べて・・・いや、食べてはだめですが、肥料にも飼料にも燃料にも建材にもなる、茅という素材のポテンシャルを垣間見せてくれたような気もするというと、こじつけ過ぎでしょうか?
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参加者の皆さんは国際色豊かな顔ぶれだったので、僕も酷い英語なりに説明させて頂きましたが、お互いにコミュニケーションをとろうという意志があれば、それなりに伝わっていたようで。言葉は道具なのだとあらためて思いました。

お昼には茅葺き民家に上がらせてもらって、囲炉裏を囲んでカレーを頂きました。
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おクドさんを使って、羽釜で焚いた美山の新米と取れ立て野菜のカレー。何とも贅沢でした。

刈った茅はこのように春まで立てておきます。「ニウ」とか「カヤツボ」と呼んでいます。
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ススキに雪が積もって倒れてしまうと、折れたり曲がったりして茅としては刈り取れなくなってしまうので、美山では雪の季節を迎える前に、まだ青いススキを刈り取って風通し良く立てておくことで、雪が積もっても倒れず春までに乾燥させるようにします。
従って美山のような積雪地の茅は、同じススキでも年が明けて葉やハカマが枯れ落ちてから刈る、無雪地域の茅とは建材としては別物となります。同じススキを用いた茅葺き屋根でも、それぞれ異なる葺き方が発達していて、屋根のかたちもそれに合わせて微妙に異なってきます。

0216 茅刈り体験会カヤカル'08@淀川

投稿日: カテゴリー: 茅刈り

2年振りにヤマダさんの手入れされている淀川十三干潟でのカヤカルを開催しました。
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予定していた開催日に雨が降り翌日に順延となったことで、参加して頂けなかった方も多く出てしまいましたが、参加された方にはヤマダさんから手厚い指導がありました。
それにしても今年はゴミが多いなあ。

梅田の本当に目と鼻の先で、茅葺きの材料となるヨシが何百年も変わらず刈り取られています。
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カヤカルが梅田で暮らしたり、働いたり、学んだりしている少しでも多くの人たちに、そのことをまず知って頂く機会になればと思います。

梅田の目と鼻の先でこんなにも深く自然と関わることができる、その楽しさを。
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0302 茅葺き現場体験会カヤカル'08@神戸

投稿日: カテゴリー: 茅刈り

今シーズンのカヤカルは、ヨシ刈りに続いて茅刈りも雨で順延となってしまいました。冬場の開催で今まで一度も雨にも雪にも合わなかったのが、まあ運が良かったといえばそうなのですが。
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しかし延期開催となった日曜日は冬晴れの茅刈り日和。
急な日程変更にも関わらず参加頂いた皆さんには、茅場での一日を楽しく過ごして帰って頂けました。

「家に帰った後もススキが気になる」「茅刈りしたくて腕がうずく!」とは何ともありがたいお言葉まで頂きました。
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茅刈りの楽しさをもっともっとたくさんの人たちに知ってもらえるように、これからも努めて行きたいと思います。

0318 茅刈りの日々

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅刈り

今年も茅刈りの季節は終盤を迎えつつあります。
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毎年の刈り取りで手入れされていてこそ、このように茅として優れたススキを得ることもができますから、屋根葺きに忙しいからと行って刈り残すことは出来ません。

丹後で笹葺き民家を再生しつつある立命館大学の丹後村おこし開発チームのメンバーが、茅刈りの様子を見学がてら手伝ってくれました。
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「笹刈り」には慣れた彼等も、「ススキ刈り」には興味津々の様子。

我々が茅刈りに使う鎌は、枝払いなどに用いる両刃の木鎌。
色々試してこれに落ち着きました。
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良く研いで使うことが良い茅を得るためには肝要。自身の疲労も軽減されます。

住宅地の幹線道路の法面で茅葺き民家の葺き材が生産されているとは、この道に車を走らすドライバーの方々は思いもよらないことでしょう。
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しかし、この場所が他と比べて「きれい」であることに気付いておられる方は、少なくも無い様子。
茅刈りの楽しさを伝える手段を考えて行きたいと思います。

刈り取った後に残るススキの葉やハカマ、雑草などのゴモク。そのままにしておくと翌春の芽吹きの妨げになります。
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昔はその場で燃やしていましたが、住宅地のなかで火を使う訳にも行きませんから、きれいに掃き集めて畑の土へと還します。