0827 まだまだ差し茅は続く

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入り口側の小間は完成して、大間の方も仕上げに入りました。
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ハサミはあくまで仕上げにかけるもので、差す過程である程度は屋根の平面ができあがっているのが理想です。
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差して上がる時にきちんと屋根のかたちが出来ていないと、足場用に吊ってある丸太を外してから、ハサミをかける前にでこぼこをならす調整が必要となり、余計な手間がかかってしまいます。

丁稚のワカモノ達が調整に苦労しているあいだに、反対側の小間にも足場を組んで差し茅を始めました。
今回のように屋根全体に差し茅をしてかたちを作り直す「総差し」では、軒を充分な厚みで丈夫につくっておく事が、長持ちさせるためにも肝心となります。

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古くなった屋根では手前のように軒の厚みは半分程に減っています。ここに茅を差すことで軒をつくり直して行きます。

ところで、我々が毎日使わせてもらっている洗濯機で、この白いアマガエルがいつも休んでいます。
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アマガエルは住む場所に合わせて体の色を変えているので、茅葺き屋根の上で暮らしている灰色の個体は良く目にしますが、ここまで白くなったのは始めて見ました。

間違って洗剤で洗ってしまった訳ではありません。

0829 もう少し差し茅は続く

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@かやぶき音楽堂

かやぶき音楽堂のある胡麻にはとてものどかな風景がひろがっています。
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山や家の雰囲気は同じ丹波に違いないのですが、美山には無い広々とした感じが和みます。
山一つ越えただけなのに。

そして、かやぶき音楽堂の中はこんな感じになっています。もちろん、今だけ。泊まり込みなので。
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テントは・・・蚊帳だと思えば・・・
ハンモックは・・・?    銅鑼は私物ではありません。

残っている小間は午前中はずっと日陰で、夏に仕事するには最適です。
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しかし、日当りが悪いというのは、茅葺きにとっては厳しい条件です。
とはいえ僕とヤマダさんでここを担当した以上は、最初に傷んで来たらワカモノ達に示しがつかないので、差し茅にも気合いが入っております。

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眺めは抜群のかやぶき音楽堂なのですが、足場はこの通り。
この高さは結構怖いです。

0902 祭りのハシゴ

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@かやぶき音楽堂

完成した方の小間は足場も解体したので、一服するところは空が広くなりました。
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残りの小間の差し茅もほぼ終了。
あとは仕上げを残すのみです。
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その夜、胡麻の八幡さまのお祭りでした。
世話役の方が軽トラでまわりながら、スピーカーで「みんな家から出て来なさーい」と呼んでまわっていたので、呼ばれて行って来ました。
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お社には神輿が祀られて、境内には地元の皆さんの手作りの屋台が建ち並び、盆踊りは無いけれど昨夜の僕の地元のお祭りよりずっとにぎやかで、いかにもお祭りな雰囲気を楽しませて頂いて来ました。

かやぶき音楽堂に戻ってあらためて夕食。
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今夜はナカモリ料理長ではなく、お施主さんの息子さんが手料理を振る舞ってくれました。
何故か北アフリカの料理が並びます。
めずらしくておいしい料理でお腹が一杯になりました。

0903 差し茅の仕上げ

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@かやぶき音楽堂

昨夜、社に祀られていた神輿が、集落内を練り歩いて行きます。
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1ヶ月に渡ったかやぶき音楽堂暮らしも、間もなく終了です。
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最後に残った小間も、仕上げの軒刈り。
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差し茅をする段階で屋根の平面などのかたちがきちんとできていれば、刈り込み仕上げも手間がかからずはかどります。

0904 VS カラス

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@かやぶき音楽堂

かやぶき音楽堂、竣工いたしました。
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ところで、かやぶき音楽堂に差し茅に来るのは、始めてではありませんでした。
駆け出しの頃に今回手を付けなかった側の大間を差し茅しました。
屋根にカブトムシの幼虫がわいて、それを食べるためにカラスがほじくるので傷むという話でした。

茅葺き屋根が局所的に傷むのは、材料や葺き方に問題があって雨水が染み込んだり、周囲の立ち木や日当りのせいで乾きにくかったりすることが原因となるのが普通です。
ところが、カブトムシの仲間の幼虫は、乾いた屋根までせっせと食べては土に変えてしまいます。もっとも、乾いた屋根よりは居心地のよい腐葉土が周りの地表にたくさんあるので、問題になるほど屋根にわく事はそれほど多くはないのですが、修理しても一匹でも残していると再び致命的な損傷に至ってしまう、茅葺きにとっては癌のようなものです。
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とにかく、土に変わった部分の屋根と幼虫を全て取り除き、傷んだ箇所を差し茅した後に、お施主さんの希望で「カラス除け」のためにCDをたくさん吊っておきました。

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禅定寺ではアワビの殻 を使っていましたが、この手の「光りモノ」が鳥除けとしては気休めにしかならないのは、ベランダのハト除けやゴミ集積所のカラス除けで皆さん経験されている通りです。
こちらでもカラスはすぐに慣れてしまって効果は限定的だったようで、その後もカブトムシ除けに屋根にクレオソート(石油系木材用防腐剤)を噴霧したり、色々と試行錯誤を繰り返されていたようです。

で、今回訪ねてみると問題の側の大間には、ステンレスのワイヤーが張り巡らされていました。
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これだけしておけば例えカラスが慣れてしまうことがあっても、屋根に止まる事は物理的に不可能でしょうね。
今のところカブトムシによる被害も出ていないようです。
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まあ、少々うるさい気もしないではありませんが、これだけの大屋根を維持して行く苦労を思えば、効果のあるカラス除けを設置できたのは大きな事だと思います。