カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山.北/甚兵衛
1012 棟収め
美山では朝晩は冷え込むようになって来ました。
朝起きて曇っているようでもそれは秋の霧で、上空には青空が広がっています。こんな日は間もなく晴れて気温も上昇して来ます。
10時をまわればこの通り。
ちなみにこれからの季節の美山で逆に朝から青空が見えていると、昼までに天気は崩れて来ることが多いので、写真を撮りに来られる方などはご参考までに
と、思っていたら、また雨。
一日休んで本日、気を取り直して棟収め。
今朝も冷え込んで霧が出ていますが、既に霧を透かして青空が見え始めています。
秋晴れのもと順調に棟を収める事が出来ました。
が、ちょっとお日柄が悪いということで(本日は仏滅)、仕上げのユキワリ(棟飾りの横木)は上げずに待機して別の工程をこなして来ました。
1015 竣工しました
穏やかな秋の日差しの中、北では稲刈りに続いて収穫された、粟(アワ)が稲木で干されているのを目にする事が出来ます。
ハサミで仕上げて足場を解体し、本日無事竣工しました。
手前側の小間(妻側の面)は何年か後にあらためて葺き換えます。
茅葺き屋根は北側と南側、棟の方と軒の方、大間と小間で日当りや雨水の流れる量が異なりますから、傷み方にも差が出て来ます。
毎年少しずつ刈り貯めた茅で、傷んだところを順番に葺き替えていくのが本来の茅屋根の葺き替えの在り方です。この時の屋根の分割の仕方は、地域による気候風土の違いに即して、最も効率が良くなるように工夫されて来ました。
北の「かやぶきの里」はもちろん、美山とその周辺では屋根を上半分だけ葺き換えた、つぎはぎの茅葺き屋根が目につきます。
茅屋根の葺き替えが文化財保護のための特別なことではなく、そこに住む人の暮らしの中で当たり前に続けられている事、そのような住人の意識こそが、「かやぶきの里」美山の一番の財産なのではないかと思っています。