2007年04月05日

●0405 茅葺きの屋根裏

丹後の現場に入ったばかりでしたが、冷たい雨に降られて一旦美山に退却して来ました。
夜には花寒から春の嵐へと。雹に降られると自宅のトタン小屋は寝ていられません。
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美山ではコブシが花盛り。タムシバかもしれませんが、見分けられません。
これから新緑までの一ヶ月間、山は日々移り変わる一年で最も賑やかな色彩を楽しませてくれます。けれど今年も現場泊まり込みなので、美山の春はおあずけです。

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さて、再開した現場では軒付けが順調に進んでいますが、押さえの竹を下地のレン(垂木)に縫い止める工程で少々問題が発生しました。

押さえの竹を止める縄(or針金)は、大きな屋根葺き用の縫い針を突き通して、屋根裏に入った人に取ってもらう(「針取り」と呼びます)のですが、旧永島家住宅の屋根裏は、郷土資料館に付属している収蔵庫として使われていて、収集された民具が溢れかえっているのです。
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屋根裏に入らずに縫い止める方法もあるのですが、僕としては作業効率と精度の両面から、針取りをするのが一番良いと思っているので、できることならばそれでやりたいところです。

と、いうわけで丁稚サガラには苦労してもらうこととなりました。
民具を片付けるにも文化財だけに手荒には扱えず、しかし中には触っただけで壊れそうなくらい劣化したものもあり、何とか造ったわずかな隙間に体を潜り込ませての作業です。
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茅葺き屋根の屋根裏は家の中で火を焚いていた時代には煤だらけで、大事なものをしまっておける場所ではありませんでした。しかし、毎年刈り貯めた茅を収納するには、煙たいということは乾燥して虫がつくこともないので、かえって具合が良かったのです。茅が屋根裏一杯に詰まっていても、葺き替えの際には外へ運び出されますから、それは針取りの邪魔になることもありません。

火を使わなくなったことで天井が貼られ、屋根裏が物置になったり居室に改装されたりするようになりました。
針取りがやりにくいだけならばまだ良いのですが、それが茅葺き屋根の寿命に悪い影響を与えるようなことはありはしないかと、少し気になっています。