2007年09月02日

●0902 竣工

竣工まであとわずかというところまで来て、秋の長雨のせいで足踏みしていました。
この現場の始まりの頃には梅雨前線に邪魔されていました。そしてお終いに来て今度は秋雨前線。思えば夏という季節は、前線が上がって行って下りて来るまでのほんの短い間でしか無いのですね。印象は強烈ですけれど。
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雨が上がったので裏側も軒まで刈り落として完成です。
シコロ屋根の上を掃除しながら足場を解体していきます。

この現場に来た頃には勢いのある青田だった稲も、色づきつつある稲穂をしならせるようになりました。
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一つの季節の始まりから終わりまでを、一つの現場で過ごしてしまいました。
まあ、最近では美山でも神戸でも、お盆を過ぎればいつ稲刈りが始まってもおかしくはないようになりましたけれども。

家の周りも掃除して、完成です。
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長いあいだお借りしていた縁側ともお別れです。お世話になりました。

2007年08月29日

●0829 刈込み

破風のてっぺんには、蜂が良く巣をかけます。キイロスズメバチと違ってアシナガバチなら、屋根を葺くときの振動で怒ったりはしないので、なるべくそっとしておきたかったのですが、茅材に直接巣を吊っていたため、古屋根をめくる際に仕方なく切り落としてしまっていました。
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が、棟まで葺き上がってくると、今度は木部にきちんと再建されていました。よかった。
アシナガバチは晩秋に巣を解散したあと、冬眠のために茅葺き屋根に潜り込んでいるのを、古屋根解体の時に知らずに茅ごと掴んで刺されることがありますが、彼等が巣をかけると、庭木や畑の芋虫や青虫をてきめんに減らしてくれるので、なるべく仲良くして行きたいものです。

棟が上がったら刈込み仕上げに入ります。
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表側を仕上げたら、下半分に設置していた足場丸太と梯子のあとも手直ししておきます、
屋根を傷めないように気をつけて歩いてはいますが、それでも無傷という訳にはいきませんので。

表が仕上がったら裏側も。
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今年の夏は気温以上に日本の夏とは思えない乾燥した空気が印象的で、お盆までは暑いというより痛い感じでした。屋根の上では刺すような日差しが堪えましたが、夜にはまるで冬の夜空のような満天の星を楽しむことができました。 でもやはり異常ですよね。蒸し暑くない夏なんて。
お盆が明けると日差しは弱まりましたが、湿度が戻ってもったりと重い「熱さ」に絡まれて汗だくです。毎日Tシャツ5枚ずつ洗濯しています。

2007年08月26日

●0826 棟収め

棟を積むときはいつも、両端を積むものは工程的に真ん中に追われて、忙しく写真を撮る暇も無いので、美山での棟の積み方を順を追って説明することは出来ずにおりました。
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今回現場に人数が少なく、1工程毎に休憩が入るようなペースになってしまったので、図らずも詳しく写真を残すことができました。

まず、最後に葺き並べた茅を止めている表裏のオシボコ(押さえ竹)の間に、茅材を90度回して桁方向に積み上げ、オシボコからとった針金で締め上げカマボコ型に固めます。
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このとき、あらかじめ葺き上げた表裏の屋根の高さが揃っていることを、確認しておくことが大切です。

一つ目のカマボコの上にさらに茅を積んで、固定する針金は下のカマボコを締め上げた針金からとります。
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少しずつ小さなカマボコにして行くことで、棟の断面を葺き上げて来た茅屋根の勾配に合わせた三角にして行きます。
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棟を雨から養生する仕上げの杉皮の長さは7尺ですので、3尺5寸の杉皮でちょうど収まる高さまで、繰り返し積み上げて行きます。
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棟の断面も段々と三角になって来ました。3尺5寸できれいな三角になるように、積み上げて行くカマボコの大きさを調整して行くことが必要です。
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最後のオシボコは葺き並べた茅を止めるために、当然茅の端ではなく途中で縫い止められています。
そのため茅屋根の表面と、オシボコからの針金で固定された積まれた棟のあいだには段差が生じていますから、それを埋めるように短い材料を並べて止めます。
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杉皮で押さえて隙間が出来ないように、普通柔らかめの材料を使います。稲ワラを用いることが多いのですが、今回は半分に切ったススキの穂先の方(シンと呼びます)を使いました。

両端はシンがこぼれないように、それをあらかじめ杉皮で巻いたマキワラを固定しておきます。
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マキワラもあまり端に乗せれば転がり落ちてしまうので、端から1尺ほどはマキワラの下に敷いた杉皮で押さえています。

ウマノリを乗せて棟が上がりました。
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2007年08月23日

●0823 葺き上げ/間もなく終了

表側が葺き上がりました。
平行しておこなわれていた現場が竣工したので、、「美山茅葺き株式会社」からナガノ君が応援に来てくれて、一気にペースが上がりました。
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ひとり増えるだけで倍以上の作業がこなせます。ナガノ君が屋根屋として優秀であることはもちろんですが、やはり作業効率を上げるためにバランスの良いチーム編成が大切です。
わかっていはいても、なかなか実現するのは難しいのですけれどね。

裏側の葺き上げもあと少し残っているので、仕上げてしまいます。
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通常棟を返す際には、片側のケラバを一番上まで積んでしまってから、反対側を葺き始めるものなのですが、人数の少ない現場では段取りも色々と臨機応変にして行かなければならなかったもので。

明日からはようやく棟を積み始めますが、棟飾りの一番上に渡す「ユキワリ」にするための丸太は、お盆の前に近くの山から伐り出して乾かしてあります。
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かつてのように茅葺きが農業の一環として行われることが一般的では無い以上、茅葺きに必要な材料は全て屋根屋が責任を持って用意させてもらえるようにしてはあります。が、こちらのお宅のように家の周りで茅を集めて下さっていれば、大切に使わせてもらいますし、山をお持ちであれば、間伐がてらに必要な材を伐り出して来て使わせて頂きます。
それらの積み重ねが、茅葺きの費用を抑えることになりますので。

2007年08月12日

●0812 葺き上げ/夏の水2つ

中干しを済ませた田んぼに、出穂期を迎えて水があてられています。
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落差があっても畔が傷まないように、必要な量の水だけ田んぼへ引き入れられるように、石がさりげなく上手に使われていて感心させられます。

毎日あまりの暑さに葺き上げのペースもやや鈍ってしまいましたが、ここまで葺くと雨漏りの心配はまずなくなります。
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お盆までに棟を上げることができなかったのは残念ですが。

さすがにこの暑さでは無理も出来ませんし。
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家の裏の横井戸からは、猛暑続きでも変わらず冷たい水が湧き出しています。
この水で入れて、この水で冷やした麦茶が猛暑を乗り切る支えとなってくれました。

2007年08月09日

●0809 古屋根解体(棟返し)

裏側が棟近くまで葺き上がったので、表側の古屋根の解体に取りかかります。
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この屋根の表側は、アリゴシから下半分を何年か前にこぜあげて葺き替えてあります。

そこで今回は上半分だけを葺き替えます。
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美山のやり方では屋根の傷み具合に合わせて屋根を上下に分割して葺くことができますが、上半分を葺き替える際には棟も積み直す事になるので、表裏両方を必ず同時に葺き替えます。
これを「棟を返す」と表現しています。
ひっくり返す訳ではありません。

下半分は葺き替え済みとはいえ、数年経ってその分減っていますから、それに合わせて新しい屋根を葺くと薄くなってしまいます。
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それを避けるためにまず古い屋根を整えて、段を付けてから葺き始めるようにします。

段を付けるとはこんな感じです。
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減った屋根につられないようにして、正しいかたちを出せるようにしておく訳です。

2007年08月05日

●0805 葺き上げ/夏

引き続きケラバを積み重ねています。
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今年は梅雨が明けても何となく湿っぽい日が続き、その分過ごしやすくもありましたが、台風5号(ウサギ)の通過直後、猛烈に蒸し暑い日があってからいよいよ夏らしい、剥き出しの暑さに見舞われています。

現場の近くに良い水があって本当に良かった。
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この時期に屋根の上での作業は寿命を削る思いです。
デスクワークも貯まって来ていますが、日の暮れまで屋根を葺いたら、夜にはもう何をする体力も残っていません。