0509 下地拵え

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@神戸/赤井家住宅

大工さんによる土台や柱の補修が済んだので、赤井家住宅に戻って来ました。
足場を組み直したら、下地の補修にかかります。
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赤井家の小屋組は美山でよく見られるウダツ(棟束)が無く、合掌材だけで支えられています。

さらに、合掌材の根本も美山のような二重梁の上ではなくて、桁に直接載っています。
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構造が合理化されて部材が整理されたおかげで、屋根裏に生まれた大空間は、毎年刈り貯めた茅を蓄えたりするのに重宝されて来たことでしょう。

丸太と竹を縄だけで結わえて組み上げられた茅葺き屋根の下地は、とてもしなやかで丈夫です。
しなやかさを保つために、葺き替えの際には傷んだ竹や丸太は交換して、縄もかけかえます。
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何百、場合によっては何千もある結び目を掛けかえるのは大変ですが、古民家族が応援に来てくれました。

茅葺き古民家の再生に取り組む彼等は、ワラ縄の扱いにもすっかり慣れて、男結びも習得しつつあります。
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おかげさまで、下地括りはずいぶん捗りました。
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ありがとうございました!

0304 古屋根解体

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@神戸/赤井家住宅

神戸市の登録文化財にもなっている赤井家住宅にやって来ました。
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長らく物置になっていて、雨漏りの始まった屋根には一部シートが被せられた状態でしたが、所有されるあかい工房経営赤井さんが、会社のオフィス兼、地域に開かれた古民家とするべく再生されるのを、お手伝いさせて頂きます。

ギリギリまで葺き替えを伸ばして保たせた屋根は、古い部分はおそらく60年、70年前に葺かれたもの。
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当時はおクドさんや囲炉裏を使って、毎日家の中で火を焚いていたでしょうから、古茅にはたっぷりと煤が積もっていました。

飴色の煤竹は丈夫そのものですが、前回の葺き替えで交換されたらしい白い竹には、虫食いでだめになっているものも少なくはありませんでした。
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煤竹には虫がつかないというよりも、切り旬が良くて虫のつかなかった竹だけが葺き替えの度に繰り返し再利用されて、長い時間をかけて煤竹になっているようです。

ところで、屋根をめくって行くと、かつておクドさんがあったであろうあたりの上に、こんなものが半ば茅に埋もれていました。
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大きさはこれくらい。
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瓦と一緒に葺かれていました。煙突のようにも見えますが穴は塞がっています。結局、何のためのものかは判りませんでした。
どなたかご存知ではありませんか?

古屋根を全てはぎ取って軽くしたら、低い地盤はかさ上げして、傷んだ柱の根本には新しい材を継いで直すために、一旦建物全体を基礎から持ち上げます。
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ですから、足場も全て解体してから、厳重に屋根の養生をしてひとまず帰ることとなります。
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0529 刈り込み/竣工

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@砂木の堂

棟の際まで葺き詰めたら、ハサミで刈り込んで仕上げます。
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最初に両サイドのカドを決めて、それを規準に上から下へと、足場の丸太を外しながら刈りつつ下りてきます。

軒まで刈って下りて来たら、先に軒裏をきれいに刈り落として・・・
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最期に軒の上を刈込むと、軒端が決まって完成です。
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足場を解体して掃除をしたら、できあがり。
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カヤカルで良い茅を集めて頂いたし、地元砂木の皆さんがお堂に被さっていた木を切って下さったし、カヤマルでみんなで葺いたこの屋根は、きっと長持ちしてくれると思います。

0527 葺き上げ/夏の鳥

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@砂木の堂

カヤマル過ぎて初夏の陽射しの中、今朝は砂木の谷にアカショウビンの高笑いが響いていました。
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夏がすぐそこまでやって来ています。

カヤマルでずいぶん葺いて上がることができましたが、最後の方になるにつれて葺く茅を棟の下に差し込んで行かなければならないので、また少しばかり面倒な手間がかかります。
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下地を直すために古茅を引き抜いた分だけ、棟が下がってしまっているので、隙間に丸太を差し入れてこじ上げます。

このお堂の屋根のかたちは寄せ棟ですが、美山の民家で一般的なかたちの入母屋なら、破風が棟と小間(妻側の茅屋根)を縁切りしているので、小間だけを手際良く葺き替えることが出来ます。
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そういう意味では、破風は単なる装飾ではありません。

0524 カヤマル@美山/最終日

投稿日: カテゴリー: 茅葺き体験会「カヤマル」茅葺き現場日誌@砂木の堂

カヤマル最終日には、再び未明から雨が降り出してしまいました。
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でも、屋根に上がる時間には何とか上がってくれました。
ちょっと湿っぽいけれども、涼しくて丁度良いですか?

屋根が葺き上がるにつれて、お堂の周りいっぱいに立てかけてあった茅が無くなっていきます。
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今回葺き替えたのは裏側。
あと三面。焦らず無理せず、皆さんとともに、茅のリズムで葺き替えて行けたらと願っています。

梁の上を伝いながらの、屋根裏での針受けにもすっかり慣れた様子。
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地下足袋の足下が決まっています。

ちょっとお昼ご飯が遅くなってしまいましたが、雨にも降られず、切りの良い工程まで済ませることが出来ました。
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おかげさまで屋根はほとんど塞がって、もう雨漏り養生のシートも必要なくなりました。

午後には砂木の家と、北(きたむら)の資料館を見学。
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新しい家も、古民家も、茅葺きの家の魅力はやっぱり縁側の心持ちですかね?