1221 続・軒付け

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那あいな亭

軒先は屋根に降った雨水が全て流れ、風の影響も受けやすいので傷みやすい反面、意匠的に目につきやすい部分でもあり、丈夫さと繊細さが共に求められます。
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細く丈夫な淀川のヨシを使い、針金で一束ずつかきつけた上に押さえ竹で垂木に縫い止める、手間のかかる工程を経て軒の水切が付きました。

葺き並べる茅材は下地に対して角度を付けていますから、茅材の先端が屋根裏に突き刺さって行かないように、下地の表面に簀状に茅を並べておきます。
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ここで使うのは長くて太さもあり丈夫な、宇治川産のヨシです。

軒を付けて水切から2針(押さえ竹2回分)葺き上がりました。
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屋根全体のプロポーションを左右する、軒の大きさ、角度が決まりました。
それにしても、大きな屋根です。反対の角が霞んで見える・・・

1219 軒付け

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那あいな亭

丸太の垂木を整えて並べ固定した上に、カヤオイ(茅負い)の角材を取り付け、エツリ(横竹)を結束して屋根下地が完成しました。
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アリゴシから上は、大工さんが新しく作り直されている破風板の到着を待って。

最初に淀川河口域産のヨシをひとつかみ分ずつ藁縄でかきつけて止めて行きます。
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その上に均等な厚みに並べた稲藁を、竹で押さえて下地に針金で縫い止めます。

さらに半分に切ったススキの穂先を中心にして並べた上に、長く丈夫なススキを並べて一緒に竹で押さえて止めます。
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稲藁、切ったススキと短い材料を2回重ねたことで、次に葺き並べる茅は下地の勾配に対して角度を付けて屋根に置くことができるようになりました。

1213 下地組み

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那あいな亭

「あいな亭」と名付けられて里山公園に再生されるこの建物は、もともと神戸市内で住宅として使われていた茅葺き民家でした。学生時代に調査で解体される前にも訪ねたことがあるので、再会することができて感慨もひとしおです。
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乱雑に丸太を組んでいるだけのようにも見えますが、藁縄でしなやかに緊結していくとその強固なことは、百年以上に渡ってこの家を守って来た実績が、証明済みです。

丸太の位置や向きを1本ずつ手作業で整理しながら縄で結束して行くと、やがて美しい小屋組の構造が現れて来ます。
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剥き出しのままで見て美しく安心感も感じられるのは、力のかかり方に無理の無い構造体であればこそだと
思います

傷みの激しい部材は新しいものに交換しますが、新補材には古材との色合わせのために古色が塗られます
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しかし、茅葺き民家は建てられたときで完成するのではなく、草の育つ自然のリズムで暮らしながら育てて行くものです。
「造り続ける公園」という里山公園のコンセプトも、テーマパークのように里山の景観を展示するのではなく、人の暮らしの場としての里山を再生することを目指しているはずなので、建物にも作り物の色を塗らずとも、使いながら時間をかけて良い色を出して行けば良いのにとは思いますが・・・

などと煮え切らない想いも抱えつつ1日の仕事を終えて屋根を下りると、タングステン光に照らされた茅葺き屋根の小屋組は、色など関係なく驚くほどきれいだったりします。
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1212 ひと休み

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那Cハウス棟

ストローベイル(正確には稲藁ベイルですが)が運び込まれて来ました。
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ストローベイルハウスと言ってもベイルのブロックを積み上げて家にするのではなく、木造在来の柱梁構造に断熱壁材としてベイルを使用するようです。
日本の法規制を考えれば賢明な方策だと思いますし、そうでなければ茅葺き屋根を支えることもできないでしょうし。

屋根の格好も次第についてきて、建物の内装工事も本格化して来ましたが、クラブハウス棟の屋根葺きはここで一旦お休みにします。
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今回公園内に建てられる、もう一棟の茅葺き屋根を先に仕上げてしまいます。
限られた人員を振り分けるよりも、集中して一棟ずつ仕上げて行った方が効率が良いという判断です。

これは先日打ち合わせに赴いた際の写真。東日本なら珍しく無いサイズかもしれませんが、神戸では指折りだった大きな茅葺き民家を移築して来ています。
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鳶さんが素屋根をかけてしまう前なので、骨組みだけでも車などと比べて大きさを感じてもらえるのではないでしょうか。

こちらの現場は、ヤマダさんの山城萱工房が仕切ります。
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クラブハウス棟の一時撤収準備と平行して、既に下地組みが進められています。明日からは茅葺屋もこちらに本格的に合流します。

071208 丹後の笹葺き

投稿日: 1件のコメントカテゴリー: ミーティング

「笹葺きパートナーズ」によって進められていた丹後での笹屋根の葺き替えが、4年越しで仕上がったということで納会にお呼ばれして来ました。
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山が生業の場で無くなった時代に、最も合理的な材料としてトタンが被せられた丹後の茅葺き民家ですが、里山の再生を地域の活性化に繋げる途を拓くことで、こうしてまた笹で葺くことが合理的だという社会の在り方を、選択肢の一つとして掲げることも充分可能になります。

アリゴシから下はまだ仕上げの刈込みが入っていないので、逆葺きで笹の葉を外に出して葺かれた笹屋根の特徴を見ることができます。
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水はけは良く無いかもしれませんが、このままの雰囲気も捨て難い気もします・・・
金属製の刃物が無い時代には、ヨシやススキを効率よく刈り集めることは無理だったと思うので、縄文、弥生の復元住居には、笹葺きを積極的に活用してもらいたいものです。

夜は一緒に笹葺きに携わって来た地元NPOの皆さんが、旬のブリでもてなして下さいました。
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刺身もブリしゃぶも絶品です!

お酒が進むと、始まる音楽。
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音楽に乗って、やがて踊り出す人たち。