0601 差したりめくったり

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/M窯

助っ人稼業は続いています。
永谷宗円生家を仕上げて、M窯に戻って来ました。
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軒付けを手伝った小間(妻側)は葺き収まり、大間(平側)と手前に建っている方丈の修理に取りかかります。

基本的には「差し茅」による補修を行いますが、傷みの酷い大間の軒を丈夫なものにするために、軒の部分は古屋根を解体してつけ直します。
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新しく葺く屋根の先は、残した上部分の古屋根の下に潜り込んでいないことには水仕舞いがなりません。
そこで、古屋根の下に細い丸太を大体2m毎に差し込み、てこの要領で屋根を持ち上げ充分な隙間を作っておきます。

方丈の方はノーマルな差し茅の方法で軒を付け直して行きます。
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人数の出入りがある現場なので、2カ所の工事を平行して行うことで調整して行きます。

0530 (茶祖) 刈り落としました

投稿日: 8件のコメントカテゴリー: 小さな仕事

このブログを訪ねて下さっている皆様、長らくご無沙汰してしまって申し訳ありませんでした。
5月は丁稚サガラと二人、あちこちの現場へ助っ人に渡り歩く毎日で、あまり工程の参考にもならないと思い、ブログの更新も滞ってしまっていました。

しかし、手(葺く技術)の揃った職人集団が、それぞれの現場に責任を持ちながら協力し合える体制が整えられているからこそ、ここぞというところだけ少し手助けに行くということも出来る訳で、それは大工さんや左官屋さんの世界では当たり前に行われていることなのでしょうけれども。屋根屋(茅葺き職人)でも私共のグループでは、後継者難がどうこうという状況から脱して、そういったことを当たり前として、お施主さんと接することができるようになりつつあることを知って頂きたいという思いもあり、今さらご迷惑かなとも思いましたが、1ヶ月分のブログをまとめて更新してしまいました。

興味がございましたら、お時間のある時にでも読んで頂ければ幸いです。

さて、永谷宗円生家の刈込み、続いています。
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軒裏を刈り落とし、軒先を仕上げていきます。

軒の端を揃えて、完成です。
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刈込みは人数がそのまま工期に繋がる工程です。1人あたりの仕事量がはっきり現れるのは、助っ人としては評価が厳しくなる分だけやりがいがあります。

0524 (茶祖) 刈込み

投稿日: カテゴリー: 小さな仕事

宇治田原の「永谷宗円生家」の葺き替え現場にやって来ました。始めて煎茶を煎って作った、緑茶の祖だそうです。
ヤマダさんの「山城萱葺き屋根工事」の仕事です。
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棟が上がって、今日から始まる刈込みをお手伝いします。

ハサミをかける時に正しく刈れているかどうかは、目で見て確かめることしか出来ません。複数で並んで作業することで、複数の目で異なる角度から確認し合いつつ仕事を進めることが出来ます。
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自分の手元だけではなく、屋根全体のバランスに目を配ることが大切です。

ところで宇治田原の現場に通うために、烏丸今出川にある、ヤマダさんの弟子のナカモリ君の家にお世話になっているのですが、京都というのは朝晩駐車場まで歩くだけでも楽しい街です。
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歴史ある街並が「住みこなされている」雰囲気に惹かれます。

0520 軒付け

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/M窯

大野のM窯、軒付けの続きです。
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ヨシの編み付けだとマメコバチが巣を作るのをお施主さんが嫌われたので、軒裏に出て来るところには断面に穴の空いていないススキをかきつけました。

続いて稲ワラを取り付けます。
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・・・何か、ついこのあいだ同じようなことをやっていたような気が・・・

稲ワラの上には茅を並べて、軒裏を仕上げます。
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葺き替えの現場は軒が付かないと落ち着かないということで、サガラと2人軒付け助っ人の旅でした。

0519 編み付け

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/M窯

S邸の軒裏を仕上げたところで、慌ただしく次の現場の応援にやってきました。
美山の大野地区にあるM窯。ここも美山茅葺き株式会社の現場です。
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美山ではナカノさんや僕の、さらに次の世代が現場を担えるだけに育って来ていて、定期的な部分補修は手分けして、日常的なメンテナンスとしてこなせるようになってきています。

古屋根はすでに解体してあったので下地を直し、こちらは土間が吹き抜けで屋根裏が見えるので、化粧にオギを並べておきます。
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オギは充分に長いので軒の編み付けと兼用しても良いのですが、ストロー状のオギやヨシを軒に使うと、その内部にハチが巣を作ることをお施主さんが嫌われたので、外に現れる部分には穴の無いススキを使うことにしました。

オギの断面に空いたこの穴に、マメコバチ(コツノツツハナバチ)が好んで巣を作ります。
果樹園ではリンゴやサクランボの受粉に活躍しています。栽培農家の方の話しでは、人を刺すことはないハチらしいですけれどね。
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草桁に乗った、レン(垂木)とレンの間の隙間からは、家の中で火を使わなくなると、ネコやイタチといった動物が入り込んで来るようになってしまうので、ワラ束や板で塞がれることが多くなっているのですが、こちらでは屋根裏の換気を妨げないための配慮でしょうか、金網が使われていました。