0626 第1回茅葺きフォーラム@富山県・五箇山

投稿日: カテゴリー: ミーティング

表題の集まりに参加するために、合掌造りで有名な五箇山の相倉(あいのくら)集落を訪ねて来ました。
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昨年まで毎年のシンポジウムを重ねて来た、㈶日本ナショナルトラストの全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会が、㈳日本茅葺き文化協会 と生まれ変わっての設立記念フォーラムです。「茅葺きの暮らしと生業」と題して開催されました。
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今回のテーマに「生業」とあるように、情緒的な話が目立った初期の頃に比べると、社会の中で茅葺きをどう活かして行くかという未来志向の話をたくさん聞くことが出来ました。

せっかく独立した法人格を得たことですから、今後は植物学や都市工学や農村経営学等々、様々な分野の専門団体と協調して、多様な切り口から茅葺きの可能性をさぐる機会を増やしてもらえると嬉しいです。

フォーラムの後は参加者同士お酒を酌み交わしながら場所を移しながら、夜更けまでの茅葺き談義。
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合掌造りの民宿に泊めて頂いた翌朝の、温かい朝のお膳は、袋入りのパンとパック牛乳という病院や施設の朝食が続いていた身には、しみじみと美味でした。

お味噌汁の匂いで目覚める朝の幸せ!

ところで相倉の集落を散策していると、屋根にぶらさがるハシゴが目につきました。
何に使うんでしょうね?
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2連梯子を伸ばしても合掌造りの棟には全然届きません。雪下ろしに上がるときのために、足りない分を設置してあるのでしょうか?
でも、夏の間は外しておかないと、屋根もハシゴも傷みそうですが・・・他に何か役割があるのでしょうか?

0620 続々・軒付け

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌+古民家族@船坂/旧坂口家

1ヶ月程空きましたが、船坂では今回もまだ軒付けが続いています。
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ここは茅葺き屋根の善し悪しを左右する工程で、後からやり直すことも手直しもできません。「いい加減」にして先を急ぐことは出来ないのです。
「屋根屋と雀は軒で鳴く(泣く)」

チームワークのもと丁寧な作業を積み重ねて来て、良い軒になったのではないかと思います。
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さて、下の写真、右の束は今年の早春に古民家族が刈って来たもの。左の束はどこかの茅葺きの天井裏にストックされていたけれども、トタンを被せたからもういらないや、というのを頂いて来たもの。
ちょっと煤けているのは、かまどで火を使っていた頃から保管されていた、ビンテージものだということです。
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どちらも同じススキですが、まるで形が違うのは保存期間の長さではなく、生えていた環境と刈り取る時期によるものです。
早春に刈り取ると花穂が伸びきり、葉やハカマが枯れ落ちて、シュッとした束になります。もう一方はおそらくまだ葉に緑の残る晩秋に刈ったもの。くしゅくしゅとした束になります。
植物としては同じススキですが、茅としては別の材料として使い分けます。

さて、ボランティアで指導にあたってくれている茅葺き職人のために、古民家族の武庫川女子大のメンバーが、昼食を用意してくれるようになりました。
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これで、もう「手弁当で手伝っているから」という言い訳はできなくなりましたね。ね?ヤマダさん
女子大生の手造り弁当食べてしまったら、そらもう張り切らなあかんでしょ!

0606 土壁塗り体験会

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: ワークショップ

昨年の初夏に屋根を葺いていた赤井家住宅で開かれた、土壁塗りの体験ワークショップに参加させてもらいました。
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一年経って屋根も落ち着いた良い色になってきています。

下地の小舞は左官屋さんによってかかれていましたが、参加者にも少し体験させて下さいました。
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竹小舞を透かす光は何度見てもとても美しくて、施主ならぬ気楽さから、つい「このままでも良いのでは・・・」という言葉が出そうになります。
長い長い建物の生涯の中で、ほんの一瞬だけ見せてくれる涼やかな姿。

修理前の古壁の土や、解体された付属の蔵の土も混ぜられて、一年寝かせて熟成された土。建物の歴史や記憶もたくさん詰まっています。
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壁に塗るためには、まずこれを捏ねなければなりません。なかなか堪える作業です。塗る方は楽しいのですけれど、しっかりと土つくりが出来ていないと先には進めません。

土が出来たらさっそく壁に。子どもたちは素手でぺたぺた塗り込んで行きます。
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文字通り「自分の手で」家を造った体験は、彼等の中でどんな想い出として残るのでしょうか。

せっかくの機会なので、大人は鏝の使い方も勉強しましょう。
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見てると簡単そうでも、当然ながらやってみるとかなり難しい。でも、引き込まれる作業なんですよね。やり始めると止められない。

忙しい指導の合間を縫って、参加者の塗った壁をさりげなく仕上げてまわる左官屋さん。
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前に出過ぎす、突き放さず。絶妙な立ち位置でサポートして下さる職人さん。
自分が体験してから職人さんの仕事を見せて頂くと、あらためてそのすごさに感服してしまいます。

作業のあとには、あかい工房棟梁が変身した料理長による、豪快絶品料理の数々。
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素材を活かした味に舌鼓を打ちつつ、僕たちはおいしいごはんを食べるために、出会って、働いて、生きているのだということを噛み締めていました。

土壁塗り。左官体験会のお知らせ

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 未分類

ちょうど1年前くらいに屋根を葺かせて頂いた、あかい工房の赤井さんから土壁塗り体験会のお誘いを頂きましたので、ご案内いたします。
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神戸市の登録文化財でもある赤井家住宅は、様々な縁を取りもつ古民家の力を活かして行きたいとの、オーナーの赤井さんの想いに支えられて甦りつつあります。

茅屋根を葺く際にも、広く参加を呼びかけての茅葺き体験会を開催して頂きましたが、ホスピタリティ溢れる「赤井家の人々」の皆さんのおかげで、とても楽しく、充実した集いとなりました。
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昨年からたっぷり寝かせて熟成された壁土には、再生工事に伴いやむなく取り壊されたこの蔵の土も混ぜられています。
「泥」では無い、建材として誂えられた「土」に触れるだけでも、貴重な機会ではないかと思います。

詳細、申し込みはあかい工房HPをご覧下さい。

 

0530 続・軒付け

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌+古民家族@船坂/旧坂口家

作業開始前に河原工房の会長さんから、伝統建築についてのレクチャーを伺います。
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様々な工法についての解説も興味深いのですが、代々受け継がれて来た歴史建築と関わる際の、心構えについて触れられたお話しが印象的でした。

気持ちが入ったところで今日も作業開始。
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茅屋根葺きのヤマ場、軒付けの中でもさらに気遣いの必要な、軒先の水切りとなる茅を葺いて行きます。

足場が狭くて材料を置けないので、地面にいる人が必要な茅を滞り無く届けてあげなければなりません。
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短かったり長かったり、先細りだったり頭でっかちだったり、自然素材である茅は束によって形も様々。そして良い加減につくられた茅葺き屋根の下地も、へこんでいたりふくらんでいたり様々。
ですから良い屋根にするためには、葺く人だけでなくて、材料を手渡す人が茅の形を見極めて、その茅が活きる場所へ届けてあげることがとても大切です。

葺き並べた茅を押さえて固定する竹を止める縄も、足場の上には置けないので地面から延ばして渡してあげます。
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このとき、縄の「うらおもて」に気をつけなければならないって、知っていました?
間違った方から縄の端を引き出すと、こんがらがって使い物にならなくなってしまいます。

色々気を使って届けられた縄の端を、茅屋根を貫通するでっかい針の穴に通して、茅押さえの竹を縫い止めて行きます。
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針の角度に注意しないと、正しい位置から竹が動いたり、雨漏りの原因をつくってしまいますよ。

縄の端を垂木にかけてあげる役目の人も、ただぼんやり針先が出て来るのを待っていてはいけません。
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垂木の際に隙間が出来ないように針を差すためには、内側から声をかけて上手に誘導してあげられるかどうかにかかっています。

垂木にかけた縄で茅押さえの竹を締め上げて、男結びで固定。
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葺く時には地面から茅を渡す人と、屋根の上で葺く人。縫う時には針を差す人と、屋根裏で受ける人。そしてもちろん、隣りで作業している人とも。茅葺きはチームプレー、全員が呼吸を合わせなければ茅葺き屋根は葺けません。