070114 茅刈り体験会

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅刈り

藍那里山公園では里山を構成する自然環境のひとつとして、茅場(カヤバ=ススキ野原)の維持再生に取り組んでいます。
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公園内の茅葺き民家の屋根は、公園内の茅場で毎年刈り貯めた茅で葺き換えることを計画しています。

茅刈りを、広く来園者の皆さんにも参加を呼びかけて行うことで、茅葺きという文化に気軽に参加する機会を提供していければと思っています。
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今回は公園事務所が近隣の小学校を中心に募った募集に応じられた、小学生とその父兄への茅刈りを指導するように依頼されたので、武相荘の現場から丁稚サガラを連れて神戸の里山公園へと駆けつけて来ました。

何年も前に耕作放棄されて薮が茂るに任されていた休耕田も、毎年の茅刈りを欠かさず続けることで美しいススキ野原となりました。
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かつては農業をするための肥料や飼料として草刈りは欠かせなかったので、里山にはこのような茅場が必ずありました。

そこはスズムシやマツムシといった、澄んだ鳴き声で私達を楽しませてくれる虫達の棲み家でもあり、シカやイノシシの採餌場でもあり、万葉の昔から日本人に愛されて来た秋の七草も、全て茅場に生える草花なのです。
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茅葺きのために茅を刈り集めることは、貴重な動植物の暮らす生態系である茅場を守ることにもなるのです。

注意するべきことをきちんと伝えておけば、小学生が集めた茅束も立派に屋根葺きの材料に使えます。
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そして、冬晴れの日に茅場に入って鎌を使ったこと、カヤネズミの小さな巣をみつけたこと、茅葺き民家の縁側の日だまりで昼食のカレーを食べたこと、そのような思い出を持つ子供たちが、茅葺きを文化として受け継ぐ社会を培って行ってくれることでしょう。

集めた茅束は冬のあいだ乾燥させるために、交流民家の前に「ニウ」に仕立てておきます。
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晴天に恵まれて子供たちも大人も楽しんでもらえたようで、夜行バスを使った0泊3日の強行日程で駆けつけた甲斐がありました。

茅葺屋主催の茅刈り(カヤマル'07)は1月18日に神戸で開催に向けて調整中です。
開催要項その他は正式に決まり次第お知らせします。
参考までに昨年のカヤカル'06@神戸の様子です。
ぜひご参加ください(まだ募集要項も示さず申し訳ありませんが・・)

0113 棟収め

投稿日: 6件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@武相荘

この冬はじめて、うっすらとですが霜が降りました。
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足場丸太が凍って地下足袋が辛くなる、いつもの冬がうそのようです。

棟まで葺き上げた屋根の、表裏の高さを揃えて棟を積むための基礎を揃えます。
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表裏の押さえ竹の高さは、両方の竹を足で踏んでみて、人間の平衡感覚をたよりに確認します。
茅を抜いたり差したりしながら、屋根の表面から押さえ竹までの深さも勘案しながら調節します。

棟と平行に(つまり今まで葺いて来た茅と直行する向きに)茅を棟のかたちに積み上げます。
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最後の押さえ竹から針金をとってカマボコ型に締め上げて、棟のかたちをを整えます。
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関西のように三角に高く積み上げず関東風の丸く低い棟ですが、それでも一度に積み上げるのではなく何回かに分けて全体が均等にしまるようにします。

棟の基礎が水平でなかったり、棟そのものが上手く積まれていなければ、時間とともに棟が歪んだり傾いたりしてしまうことになります。

棟の端から茅がこぼれるのを防ぎ意匠としても目につく「マキワラ」を、水海道の坂野家に続いて丁稚サガラが制作しました。
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数をこなして関東風のマキワラつくりでは、関西の職人では一番の腕前になったかもしれません w

棟の中身となる「荒棟」が積み上がりました。
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この上に風雨から棟、さらには屋根全体を守るための杉皮と瓦を被せて養生し、仕上げます。

0110 古茅で庭つくり

投稿日: 4件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@武相荘

年が明けて、ようやく武相荘の雑木林も裸となりました。
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すっかり葉を落とした林の枝越しに見る、冬晴れの空の青の清々しさ。

武相荘には葺き替えで生じた古茅を、堆肥として活用する畑はもうありません。
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古茅は丁稚のワカモノたちが、茅運びの合間を縫ってカブトムシの幼虫と一緒に、竹薮にきれいに敷きつめました。

個人的な好みなのですが、人間が型にはめたような作為的な公園には落ち着けない一方、全くの成り行きに任せたままの自然には「荒んだ」印象を覚えてしまいます。
自然とともにある人の営みが、積み重ねられてできたような風景が好きです。

僕としてはこの竹薮は、古茅=建築廃材(ゴミ)が捨てられる前より「美しく」なったと感じるのですが、いかがなものでしょうか。

さて、葺き上げ作業の方はまもなく終了の見込みです。
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毎度のことながら棟まで葺き上がってみると、毎日少しずつの作業の積み重ねでこれだけ大きなものが出来たものだと、あらためて我ながら感心してしまいます。
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作業は終盤のヤマ、棟収めへと続きます。

0107 仕事初め

投稿日: 8件のコメントカテゴリー: 茅葺き現場日誌@武相荘

(遅くなりましたが)
新年明けましておめでとうございます。

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今年はシーズンにはウミガメの上がる海南の浜で、随分久し振りに初日の出を拝んできました。

さて、武相荘の現場初めは、昨日いきなりの嵐で水を差されてしまいました。
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他の現場の都合で2人抜けて1人加わり、少しチーム編成が変わりましたが、今日から新しい年の仕事が始まりました。

葺き上げもそろそろ後半に差し掛かっています。
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今年も事故など無いようにして、良い屋根を葺いて行きたいものです。

061228 寒中ツーリング

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め

美山では冬支度がすっかり整っていて、茅刈りもすでに済ませられていました。
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雪の多い日本海側では、まだススキが枯れきっていない年内に早めの茅刈りをするので、刈ったススキは雪で倒されないように束にして立てて、春まで風に曝して乾かします。

しかし、今年はまだ雪らしい雪は降っていない模様。

自家用車は武相荘の現場に置いて来たので、神戸の実家には単車で帰省することに。
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美山町周辺は、景色良く、道広く、交通量少ない、関西有数のツーリングスポットなのですが、そこに暮らしながら休みの日=雨の日という暮らしなので、なかなか単車に乗る機会がありません。

以前、夏の夜に単車を走らせたら、体中が虫だらけになってひどい目にあってしまったし・・・
そもそも、景色が見えないことには走っても楽しくないですしね。

夕方篠山を過ぎたあたりから急激に気温が下がって来ました。
ようやく、本格的な冬の到来でしょうか。
美山を出るのが一日遅かったら、雪で動きがとれなくなっていたかもしれません。