060329 エスキスの進め方

投稿日: カテゴリー: 茅葺屋の住まい@砂木の家/新築

春になるのを待って、今住んでいる「初代砂木の家」の3分の1を取り壊して仕立て直しました。
「砂木の家」の敷地造成に備えるためです。
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最低限生活するだけのスペースとなってしまい、ものが片付かないので大変です。

そんなところですが、今のうちに設計も進めておく必要があります。
僕は学校で設計手法を習っただけで、社会に出て建築設計の修行をして空間を捉える力を磨いたりはしていません。
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そこでエスキスも立体的に行わないと、二次元のスケッチだけでは良く解りません。
2ミリのヒノキ棒をぽきぽき折りながら、1/50の模型を作っては壊す作業を繰り返しています。

060328 早春

投稿日: 5件のコメントカテゴリー: 屋根からの眺め里山

川西の奥の一倉ダム湖畔にある,里山を利用した県立公園を訪ねてきました。
川西の奥といっても,僕の場合は園部から山を下りていって街の入り口ですけれども。

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すっかり葉を落とした明るい雑木林は、まだ冬の顔をしていましたが、林床の日だまりに差す光はもう春の色でした。山が一番にぎやかになる季節を目前にして、雑木林の木々もはやる気持ちを抑えきれない様子で、そこかしこで色がこぼれ始めていました。

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春先は黄色い花が多いような気がします。ミツマタが植えられていて,花をつけていました。
初めて見ましたがバナナみたいなつぼみがかわいらしい。
sh@

060326 トタンもスタイルのひとつ

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: トタン考

瓦や金属板やが開発されたり、木を板に挽けるようになる以前には、広い面積の屋根を覆うための材料としては、一般的に土や毛皮の他には茅葺きしかありませんでしたから、茅葺き屋根の民家は世界中で見ることができます。
しかし、茅葺き屋根をすっぽり金属屋根で覆ってしまうというのは、おそらく日本だけでなされているのではないでしょうか。

ヨーロッパの茅葺きは茅材の根元を屋根の外側に出して厚めに葺く、「真葺き(まぶき)」という葺き方をする点で日本のそれと近いものがあるのですが、当地では茅葺きでもスレート葺きでも、あるいは石やタイルや金属板で葺かれていても、屋根の勾配や下地構造にたいした変化はありませんので、茅葺きの葺き替えをしたくなければ、気軽に他の材料を選ぶことができてしまいます。わざわざ被せる必要はありません。
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これはイギリスの例ですが、茅葺きに戻すのも簡単で、茅葺きが他のマテリアルと変わらぬ選択肢として用意できるという点で、うらやましくもあります。

世界的には茅材の穂先を外に出す、「逆葺き(さかぶき)」の方が多いと思いますが、逆葺きは薄く簡単に葺いて、傷むのも早いけれどまたすぐに葺き替えたら良いという考え方が普通なので、茅葺きをやめるときにはやはりわざわざ被せたりせずに、別の材料に取り替えてしまいます。
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これはバングラディシュの例ですが、中央奥が従来の茅葺き、手前左右がトタンに葺き換えられた屋根です。トタンに換えられた屋根の中には、茅は入っていません。

茅葺きが農の営みの中で必要とされず、金属板を現金で購入する方が自然な行為であった時代に、茅葺き屋根の遮熱性能や外観を保つための工夫として、日本独自に発達した「カンヅメ屋根」は、「ある時代を代表する民家の様式」として認められてもよいのではないでしょうか?

民家を滅び行く過去の遺物ではなく、今も生きづつける文化として捉えたならば、そのような考え方にも違和感は無いと思うのですが・・・
sh@

060324 トタンも「茅」のうち

投稿日: 10件のコメントカテゴリー: トタン考屋根からの眺め

茅葺き屋根は、そこに暮らす人にとって最も合理的に入手できる材料で葺かれます。

山がちなところではススキや笹で、水辺近くではヨシやガマで、農地が発達していれば小麦わらや稲わらで、南の島ではヤシやバナナの葉で。

これは奈良の稲わら葺き。奈良では山地ではススキ葺きが主流ですが、国中(くんなか)と呼ばれる農地の整備された奈良盆地では、稲わら葺きが多かったそうです。
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ただし、最も合理的な材料は、社会背景の変化に伴って変遷するものです。
ススキで葺かれていた屋根が、周辺の開墾が進んで茅場が遠くなり畑が増えれば、小麦わらに葺き替えられることもあったことでしょう。

ならば、茅葺きが農の暮らしと切り離され、工業製品を購入するのが最も合理的だった時代においては、トタンによって葺かれるのが自然な姿だったとも言えます。

そして今、自然と共生する暮らしがもとめられるようになってきたのならば、またトタンを剥がして茅に葺き替えれば良いだけの話だと思います。
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トタンを剥がせば中にはちゃんと茅葺き屋根が入っているのですから。

次はどんな「茅」で葺くのか?
それは、現代の日本でどのようにして茅葺きとともに暮らすのか、そのアイディア次第ということです。
sh@

060321 なごり茅刈り

投稿日: カテゴリー: 屋根からの眺め茅刈り里山

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この場所は近いうちに造成されるそうなので、茅場を育てるというモチベーションにはつながらないのですが、過去何年か続けて茅刈りが行われていて、とても良い茅が生えているのがもったいないので、刈り取らせてもらいました。
この時期になると、ススキは葉もハカマもすっかり落として、棹だけになっています。この方が茅葺きの材料としては葺きやすい上に丈夫で適していますから、無雪地の茅刈りは春先にするのが良いように思います。

茅刈りに続いて茅倉庫まわりを片付けて、作業のあとはお弁当広げて。
うららかな春の日差しに恵まれて、絶好のピクニック日和でした。
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あたりまえのように演奏会が始まるし。
sh@