カテゴリー: 茅葺き現場日誌@藍那交流民家
0131 ススキ葺き工程
屋根の中程より上はススキを使って葺いています。もちろん、カヤカル2,3,で収穫したススキも使っています。
ススキはヨシよりも寝かせた角度で屋根に並べます。さらに穂先の方に葉っぱが多く滑りにくいので、滑り止めの板は必要ありません。ただし、穂先の方が大きいと屋根の表面となる根元の方がすかすかになってしまうので、半分に切った短いススキを混ぜたりして角度を調整します。
ヨシの場合と同じように両角を基準に真ん中を並べたら、押さえの竹を縫い止めていきます。
ヨシのようには滑らないので必ずしも必要ありませんが、作業が楽になるので足場丸太で仮押さえしています。
押さえの竹は数人が並んだ上で、呼吸を合わせて足で踏み締めます。
押さえ竹は引っ張ると締まり、離しても緩むことのない、トックリ結びというくくり方で針金を使って止めています。ヨシの場合も同じです。
かつてはワラ縄を用いていましたが、押さえ竹の緊結素材として、針金の方が長所が多く短所が少ないため、今回は針金を採用しています。
屋根勾配に合わせて叩き揃えて、足場丸太を吊ったら一工程が完了。また最初から繰り返します。
sh@
0202 庭木のせい?
今日は午後から冷たい北西風が吹き出しました。しばらく暖かな日が続いていたので堪えます。
せっかく風除けのネットを足場に張ってもらいましたが、屋根のすぐそばに植えられた木の枝を避けるために、大きな窓が開いているので相変わらず寒い現場です。
なんだか愚痴ばかり書き込んでいますが、茅葺き屋根を長持ちさせるためには、庭木に対しては神経質すぎるくらいでちょうど良いと思います。木の陰になる場所が傷みやすいのはもちろんですが、北側の枝から落ちる雨垂れも屋根にとっては致命的です。もちろん、枝が屋根に触れてしまうのは問題外。近くに枝を張った木があるだけでも、蒸散作用によって屋根を傷めることがあります。
とは言っても実際の仕事場では、屋根のためにせっかく枝振りの良い庭木を剪定してくれとは言えませんし、茶室などの場合は先に庭ありきですから、苦労させられます。美山町ではどの家も正面にアカマツを一本植えるのですが、「松の梢が棟を越すと縁起が悪い」と言われています。屋根に影を落とさないように、こまめに剪定しなさいという戒めでしょうか。
sh@