0214 茅刈りイベント in 花山中尾台

投稿日: カテゴリー: ワークショップ

神戸市北区役所主催で開催の運びとなった、茅刈りイベント。
当日は朝から雨のぱらつく生憎の天気となってしまいました。
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しかし、天気は次第に回復の見込みとのことです。
参加者のために早朝から大量の鎌を研ぐ、丁稚サガラ。

予定では午前中茅刈り体験、午後に茅葺きレクチャーとなっていましたが、天候の回復を待つために順番を入れ替えます。
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神戸には意外と茅葺き民家がたくさんあることや、茅を刈るとなんか良いことありそうなことを、スライドとともに解説。

午後になると陽射しも回復してみるみるうちにススキは乾き、無事に茅刈りを始めることが出来ました。
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住宅地の中にあるこの法面は、環境整備のための除草作業がたまたま冬場に行われていたために、結果的に茅刈りを続けて来た草原のような生態系が整いつつありました。
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このナンバンギセルのように、人が茅場として利用している、ススキ野原に依存する植物も見られます。

しかし、去年までは除草されたススキは、ゴミの山にしかなりませんでした。
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今年はみんなで鎌を手にして、ほんの少しのコツと手間で、ススキは茅という資源になりました。

最後には青空も広がりました。
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僕は、いくら茅葺き民家を文化財に指定して保存しても、ススキやヨシが茅になることをみんなが忘れてしまったら、茅葺きという文化は絶えてしまうと思います。
逆に言えば、きれいなススキが生えているのを見たときに、「良い茅だな」と思う人が増えて行けば、茅葺きという文化は支えて行けるとも思っています。

収穫された茅は市登録文化財赤井家住宅の葺き替えに寄贈されます。

さて、イベントのあとには、きちんと後片付けも忘れずに。
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刈り残した雑草と、ススキの葉やハカマといった茅くずを掃除して、有機栽培の農家さんのところで、堆肥原料に。

手間をかけただけ美しく豊かになってくれる茅場。
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春になれば新緑が萌え出て、秋にはきっと今年以上の銀波が輝くことでしょう。
楽しみです。

0201 カヤカル'09ヨシ編@淀川 十三干潟

投稿日: カテゴリー: 茅刈り体験会「カヤカル」

冬の風物詩、山城萱葺屋根工事のヤマダさんが手入れされている、淀川十三干潟でのヨシ刈り体験会が開催されました。
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例によってまずは刈り方指導、ヤマダさんの模範演技から。
ススキを刈るのは両刃の鎌を使いますが、ヨシを刈るのは片刃の鎌です。

刈り方と束ね方を教わったら、早速やってみましょう。
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広いヨシ原の向こうに見える特徴的な形のビルは大阪梅田のランドマーク、梅田スカイビル。
大阪駅の目と鼻の先にこの風景ですよ。実は大阪はすごく自然豊かな街なのでは。

何世紀にも渡って毎年欠かさず刈り取られて来た、ここのヨシは何回見てもほれぼれします。
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手入れしていないヨシ原ではこうは行きません。お近くの溜め池とか訪ねて確かめてみて下さい。

手入れの行き届いたヨシ原には、たくさんの生き物たちが暮らしています。
きれいなヨシを刈り進めて行くと、ヨシ原の中からウグイスの仲間、セッカが顔を出しました。
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(写真:小林瑞穂)
なんだか、リスかネズミみたいな動きで、ヨシの根本をチョロチョロしていました。

干潟バスが出まーす。
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普段のお仕事ではこの草刈り機.改で刈り倒しているそうです。でも束ねるのは手作業ですから、茅刈りとは、いかに手早くきれいに束ねるか、というあたりに、職人技に迫る鍵がありそうです。

みんなで「良い茅束」に拵えたヨシを、干潟の入り口淀川河川公園沿いに立てて乾かしておくことにします。
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公園に草野球やジョギングや散歩に来る人たちにも、ヨシ原をもっと知ってもらえたら・・・
夏には淀川花火が上がる、まさにあの真下なのですけれどね。

0111 茅場つくり その3

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 淡河茅葺き保存会 くさかんむり

10月に植生調査をイベントとして行った、神戸市北区の田んぼの畔で、いよいよ茅場にして行くための除伐作業を行います。
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圃場整備で田んぼが広くなった分、畔が高く大きくなり過ぎて、草刈りが行われずに繁り放題となった雑草を刈り取ることで、ススキの原っぱへと遷移させていこうという取り組みです。

茅葺屋/くさかんむり でも神戸市のパートナーシップ活動助成を得て、この日のために刈り払い機を用意していましたが、さらに、山城萱葺屋根工事の面々に加えて、カヤカル'08@美山でお世話になった砂木集落の皆さんまで、美山町から刈り払い機を背負って駆けつけて下さいました。
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それだけの手練と装備が揃っても、何年も草刈りがされなかった畔は、背丈より伸びた雑草と枯れ草と蔓が絡み合って、簡単には刈り進むことができません。

一般の参加者の皆さんも、神戸の市街地から遠くは名古屋まで、大勢の方が集まって下さいました。
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刈り払い機の扱いに慣れていない方々は、レーキやフォークを手に刈り倒した枯れ草を、畔から下ろしてまとめて行って下さいます。作業は安全第一で。

枯れ草と言っても量が半端ではありませんから、相当な重さになります。
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そのうえ、足下は立っていることもままならない急斜面。大変な重労働です。

枯れ草は隣接する田んぼの持ち主のご好意で、その場で焼かせてもらえることができました。
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これを運び出さなければならなかったかも、といというのは、考えたくもありません。

参加者の皆さん、近隣の皆さんの助けを得て、雑草の茂っていた畔は見違えるほどすっきりとなりました。
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枯れ草に日光を遮られ、葉を伸ばす空間も遮られていたススキが、これで元気になってくれることを期待しています。
今年は除草作業の後で出来たのは、燃やさなければならないごみの山でしたが、来年からは茅刈りの後、茅の束が山となってほしいものです。

1229 竣工

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/Ni邸

雪に追われながらの作業でしたが、何とか納屋の差し茅も終了。あとは仕上げの刈込みを残すのみ。
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納屋とはいえウマノリが3つでは少し寂しかったので、2つ足して小さなサイズのものを五組としました。

納屋の破風には破風板が入っておらず、茅をかきつけて蓋をしてあるだけです。
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大きな破風を設けた入母屋の屋根は、今でこそ美山の茅葺き民家の特徴となっていますが、古い時代にはこのように破風板無しが普通でした。
やはり、棟飾りとともに見栄えのする箇所なので、細工を施した破風板が入り、さらには次第に大きくなって行ったようです。

ウマノリは耐候性に優れた栗材ですが、新しい材との色合わせも兼ねて、念のため防腐剤を塗っておきます。
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天気予報では大晦日からお正月にかけて雪が降り続くようです。貴重な晴れ間に掃除を進められて幸運でした。

そして、竣工。
茅葺きの納屋と土蔵に挟まれて建つ、美山町の伝統的な屋敷構えに新しい屋根が映えます。
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これで、今年は仕事納めです。
皆様、良いお年を。

1227 差し茅

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/Ni邸

暖かい、暖かいと言い過ぎたのか、連日の雪となりました。
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お正月の前後に根雪が積もるのは例年のこととはいえ、もう少しだけ待ってほしかったところです。

一晩の積雪量はたいしたことはなくても、雪かきというのは、労働の成果が蓄積しないのが辛いです。
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なるべく余計なことに手間を取られないように、充分な養生を心がけます。

雨漏りをしないように万全を期していても、作業中に積もった雪が溶け出して、手元や屋根裏を濡らすことがありますから、帰る時には屋根全体をすっぽりと包んでしまいます。
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小さな納屋で良かった。
おかげで雪かきにあまり煩わされずに、差し茅を進めて行くことができます。