お知らせ 茅葺きシンポ@神戸

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: ミーティング

「人のいとなみと田園景観〜茅葺き民家が『ゆたかさ』のシンボルに」というタイトルで、神戸市北区において茅葺きシンポジウムが開催されますので、お知らせいたします。
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港町の印象の強い神戸ですが、この建設年代が明らかな日本最古の民家「箱木千年家」も神戸にあります。明治以降の急速な街の発展を支えたのは、六甲山の北側に広がる豊かな北摂の農村地帯でした。

そして茅葺きのある農村での営みが、このススキ野原に巣をかけて暮らすカヤネズミ等、多くの生き物の命も支えていました。
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自然との共生が日々の暮らしに求められる現在、茅葺きの現代的な再評価を進めて来た齊木崇人、安藤邦廣、両先生の対談からは、新たな茅葺きの可能性を導き出してくれるのではないかと、個人的にもとても楽しみにしています。
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平成20年12月4日(木)10:00〜12:30
すずらんホール 大ホール (神戸市北区役所前)

【基調講演】「茅と民家と神戸の田園景観」
齊木崇人(神戸芸術工科大学学長)
/対談:安藤邦廣(筑波大学教授)

【パネルディスカッション】「なぜ今茅葺きなのか〜茅葺きの魅力について」
コーディネーター:齊木崇人(神戸芸術工科大学学長)
パネリスト:
上野弥智代(全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会事務局)
岡田孝久(八多町自治協議会副会長)
磨家孝昭(神戸市教育委員会文化財課主査)
塩澤実(茅葺き職人/茅葺屋代表)

【内田家イベント】「茅葺き屋根の補修の見学や体験イベント」

※ハガキ、FAX、Eメールのいずれかで、件名「茅葺きシンポシンポジウム」とし、住所、氏名、電話番号、参加人数を記入して、下記まで申込の上当日直接お越し下さい。

{問合せ}
〒651-1114 神戸市北区鈴蘭台西町1-25-1 北区まちづくり推進課「茅葺き」係
TEL:(078)593-1111(代) FAX:(078)593-1166
Eメール:kitaku@office.city.kobe.jp

フライヤーのpdfはこちら
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1114 竣工

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/O邸

美山の山は紅葉の盛りを迎えつつあります。
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今年の紅葉は少し早いように思います。来月あたまのカヤカルまで保ってほしいのですが・・・

午後の日溜まりの中には、雪虫がふわふわと飛んでいました。
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今年は雪も早いのかなあ・・・茅刈り前のススキを押しつぶされないか心配です。

現場の周りの山も色づいています。
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でも、ナラ枯れで葉の無い木々が痛々しいです。
紅葉は来年の新緑が約束されているから、美しいのだと思います。来年の夏には枯れて赤くなるかも知れない木々の彩りは、眺めていて哀しくなります。

屋根の方は、軒を刈り落として揃えたら、足場を解体して掃除。
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そして、竣工しました。
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お知らせ 茅刈り体験会@美山

投稿日: 6件のコメントカテゴリー: 砂木の里茅刈り茅葺き体験会「カヤマル」

茅葺き現場体験会 カヤカル 参加者募集開始しました。

昨年、美山町「砂木の家」建設現場で行われたカヤマル'07@美山に続いて、地元砂木集落の主催で次回カヤマルの開催が決まりました。
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来年5月にこの村のお堂の屋根の一部を葺き替える際に、地下足袋持参での2泊3日の茅葺き体験会を行います。
それに先立ち12月6,7日に、葺き替えに使うための茅を村の人たち皆で刈り集めます。
そこで1泊2日の「茅刈り体験会 カヤカル'08@美山」を開催し参加者を募ります。

人と自然の共生する伝統的な暮らしの文化に触れ、山里での営みの喜びも苦労もリアルに体験できる機会です。

村のおっちゃんやおばちゃんたちと一緒に鎌を手に汗を流し、茅葺きが里山の大地としっかりと結ばれていることを実感してみてください。

期日:2008年12月6日(土)〜12月7日(日) 1泊2日

会場:京都府南丹市美山町高野地区 「砂木」集落内の茅場
(重要伝統的建造物群保存地区指定の茅葺き集落まで車で 30分)

詳細http://www.kayabuki-ya.net/plans.htm

問合せ:info@kayabuki-ya.net

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1111 刈込み

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/O邸

棟が収まったら仕上げのハサミをかけて刈込みます。
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ウマノリの上に乗っている丸太は「ユキワリ」と呼ぶ飾りですが、ウマノリの位置を保つ役目も果たします。
両端がピンと跳ね上がっているのは、根まで掘りおこして伐採した杉丸太を使っているからです。根ごと伐ろうとするときチェーンソーがとても傷むので我々ではここまでのものは出来ませんが、お施主さんがこだわりを持ってご用意されていたものを使わせて頂きました。
格好良いですね。

仕上げのハサミをかけることで屋根は平滑になり、見た目に美しいだけでなく水はけが良く丈夫になります。
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ただ、茅の材として一番丈夫な根本の部分を切ってしまう訳ですから、わずかに刈れば平らになるように、葺く段階できちんと屋根のかたちを出しておくことが肝要です。

現場の裏の畔で採った野イチゴ。名前は良くわかりませんが、程良い酸味が美味でした。
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秋は深まって山も里も実りの季節を迎えています。

心地よい季節の中、刈込み仕上げも軒を残すのみとなりました。
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1106 棟収め

投稿日: カテゴリー: 茅葺き現場日誌@美山/O邸

棟を積みます。
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今まで葺いて来たのとは90度向きを変えて、棟に平行な方向に茅を積み上げて棟のかたちにして行きます。

水平を確認しながらかたち良く棟を積み上げたら、今度は再び棟に直角方向に稲ワラを葺き並べます。
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これによって棟を支える押さえ竹を充分に雨から養生し、仕上げの杉皮を水仕舞い良く置けるようにもなり、しっかりと固まった丈夫な棟になります。

棟を直接防水するために、二つ折りにした杉皮を敷き並べます。
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杉皮が風で飛ばされないように角材(カラミと呼びます)で押さえていますが、この段階では棟の裏表で吊り合っているだけで、固定はされていません。

栗材の棟飾り「ウマノリ」を載せます。ウマノリには杉皮を押さえる面にアゴが欠いてあって、カラミが引っかかるようになっています。
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つまり、棟を雨から守る杉皮に穴をあけたりせずに、ウマノリで棟全体を挟むようにして固めています。美山の茅葺き屋根のウマノリが、大きく重いのは伊達ではありません。

豊かな地域性は茅葺き屋根の魅力のひとつですが、棟の収め方には特に地域による創意工夫が見て取れて楽しいです。