2008年07月08日

●0708 Property

日本では滅びゆく郷愁の対象と見なされる茅葺き民家が、イギリスでは現在でも住宅として大切に使われています。
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「やはり英国は文化程度が高いね」とか仰る方もおられますが、僕の感じる両国の違いは「茅葺き屋根の葺き替えに銀行がお金を貸してくれるか否か」。

そう言うと大抵怪訝そうな顔をされるのですが、要は不動産として流通しているかどうか。
イギリスでは不動産広告にも茅葺き民家が、他の物件と同列にしれっと載っています。
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イギリスでも茅屋根の葺き替えは決してお安くはありません。日本の一部のような公的な補助金も一切ありません。

でも、古い建物は時間という厳しい審判を経たことで、何がおこるかわからない新築より信頼できると考えて、どうせお金をかけるならば新築よりも古民家に手を入れて、という訳です。
もちろん、イギリス人らしい骨董趣味もあるのでしょうが。
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手入れの行き届いた古民家を住宅として求める大きな市場があればこそ、銀行も茅葺き屋根に喜んでお金を貸してくれます。

ただし、イギリスの夏は乾燥して木が腐り難い、台風が来ない、地震も無い、と、老朽木造建築に優しい気候風土の国です。日本では「古い家は立派」と言われますが、実際には立派な家しか残れず朽ちてしまう、日本の環境とは少し事情が異なります。

イギリスにはこんな茅葺きの長屋もたくさんあります。かつての小作人長屋で、古民家ですがはっきり言って安普請です。
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茅葺きのワンルームですよ!良いなあ。
とはいえ日本の気候条件では、イギリスほど気軽に古民家に暮らす訳には行きません。余程しっかりした造りか大幅に手を入れないと、安心して住むこともできませんから。

でも、30年の住宅ローンを組むのならば、30年後に資産価値ゼロ、ごみとなりかねない新築を買うよりも、時を経たことで建物としての信頼が証明された、古民家をレストアして暮らす方がおトクだし、暮らしにも彩りが添えられるという考え方は、日本でもアリだと思います。