軒付けから始めて下から順番に葺いて行き、差し茅で上半分の屋根と一体化させたら、今度は上から順番に仕上げのハサミを入れて刈り込んで行きます。
「茅葺き現場日誌@美山/N邸」カテゴリーアーカイブ
1008 差し茅
上半分は葺き替えた下半分よりは新しいとはいえ、今回下げ葺きで真新しくした屋根よりは古くなった分だけ薄くなっています。
そこで、新しい下半分とのあいだに段差が生じないように、差し茅をして馴染ませます。
美山町の茅場では、銀の波が秋の日差しに輝くようになりました。
子供の頃には、夏休みが終わってしまうのが寂しくて秋は嫌いでした。
美山町で10年と少し過ごした今では、秋雨でぐずついても冷え込んでも、雪に閉ざされる前にはまだ心地よい乾いた風が吹くことを知っているので、秋も悪くないと思えるようになりました。
1004 下げ葺き
0927 軒付け
秋の気持ちの良い日和が続きます。
現場のある大野集落は南向きの高台に広がり、山に囲まれた美山町でも日当りの良いところで、秋の花に囲まれて日差しが心地よく降り注ぎます。
軒がついて屋根のかたちが決まりました。
下げ葺きで効率良く仕事を進めており、天候にも恵まれて捗ります。
0922 軒の解体
美山町の大野地区へやって来ました。京焼きの祖、野々村仁清の生家といわれるお宅です。建物は江戸時代に建てられたものですが。
場所によって傷み方の異なる茅屋根、前回の葺き替えでさわらなかった北側の下半分を、差し茅によって上半分の厚みに揃えてほしいと依頼されました。
しかし、キノコまで生えた厚い苔を取り除くと、押さえ竹が出てしまう程屋根の傷みは進んでいました。
もともと傷みやすい北側の下半分。予算を抑えながら丈夫にするために、差し茅ではなく下げ葺きで対応することにします。
水のまわった軒先は全て解体し、しかし雨に濡れたいない軒下の懐深い部分はそのまま残し、新たにその上に葺き重ねて行くことにします。
差し茅同様に下地の調整を不要として葺く手間を節約しながら、屋根表面は新たに丈夫な材料に葺き替えて行きます。