月別アーカイブ: 2010年8月

0829 刈込み

今回葺き替え予定の分の屋根は無事葺き上がりました。
上から下へと順に足場に吊っていた丸太を外しながら、ハサミをかけて仕上げて行きます。
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大きな屋根鋏に初めて触れる人も、職人の指導を受けながらザクザクと。

葺く時に叩いて形を整えながら葺いては来ましたが、やはりきれいに面を揃えるためには仕上げのハサミかけは欠かせません。
叩いて折れたり潰れたりした茅の木口も、良く研いだハサミでシャープに刈り揃えることで、屋根の水はけも良くなります。
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新しく葺いた屋根と古い屋根の境目は、本来なら差し茅で調整して合わせるところなのですが、時間が押しているので、ひとまずブルーシートを挟んで対応しておきます。

ていねいに施工した軒まわりですが、最後にもう一度手を入れて整えます。
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傷みやすい箇所ですが、意匠的に目立つ場所でもあるので、長くきれいな状態を保ってもらわなければなりませんから。

手直しが済んだら軒裏を刈り落として、軒の端を刈り揃えて足場を外したら、今回の工事箇所は竣工です。
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です・・・が・・時間切れ。

「何としても仕上げる」などと大口叩いておりましたが・・・すみません、段取りが悪くて。手弁当で来てくれている職人さんのこだわりや、暑い中頑張ってくれている学生さんや一般参加者の皆さんのやる気を、時に空回りさせてしまいました。

我ながら現場まわすの下手で滅入ります。懲りずに来月にもう一度だけお付き合いください。

0827 続々・葺き上げ

ようやく空には秋の気配が漂いはじめましたが、地上の暑さは全く衰えないなか、古民家族の旧坂口家の屋根葺き替えが続きます。
あ、↑ブログ始まっているみたいです。
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今回は傷みの酷い軒から3分の2の屋根を葺き替えて、棟の部分には手を付けません。
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ですから軒から葺き上がって来た屋根を、古い棟の下に潜り込ませてやらないと屋根として繋がりません。
丸太を突っ込んで古い屋根を持ち上げ、新しい屋根を差し込む隙間をつくっておきます。

今日も暑い暑い中、屋根の上でも下でもみんな働き者ですね。
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と、思ったら・・・電池切れですか?
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立ったまま寝ているし・・・
暑いからね。

まあ、アイスでも食べて。
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葺き上がりまでもう、あと僅か。頑張りましょう。
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0818 続・葺き上げ

お盆が明けても暑さが和らぐ気配が見えませんが、古民家族による船坂での旧坂口家の屋根葺き替え再開しました。
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今回の目標は「誰も倒れないこと」。
暑い中無理は避けましょう。

雨養生のシートをめくると、いきなりこんなものが。
菌糸で真っ白になった茅屋根。梅雨で濡れた屋根にシートを被せて、夏場に一ヶ月放置でしたからね・・・
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倉庫保管中に濡らして菌糸まみれになった茅を葺いて、屋根にキノコを生やしてしまったことがありましたっけ。
ま、濡れていたのは表面だけなので、真夏の太陽に灼かれて絶えるでしょう。

平日開催ということもあり参加メンバーは常連組中心。さすがに作業の段取りも飲み込めて来て、職人の指導のもと手際良く葺き上がって行きます。
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それにしても陽射しから逃げ場の無い屋根の上は、照り返しもあってかなりの暑さになります。

屋根の上と同様、屋根の下での作業も手際良くなって来ました。
茅束を運んでいるだけでぱらぱらと茅くずが落ちる茅葺き。掃除は欠かせません。
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掃除していてもそもそも散らかる現場ですから、ご近所のご理解が無ければ茅葺きは続けられません。
古民家族の活動を温かく見守って下さる、船坂にお住まいの皆さんに感謝です。

2日間の作業でだいぶ屋根らしくなって来ました。
しかし、今シーズン葺けるのは、実質残り1日くらいです。
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残りの作業量を思うと余裕はありませんが、それよりも誰も熱中症で倒れることも無く、怪我も無く、酷暑の中無事にやりとげられたことに、今回は価値がありました。水分補給対策に気を配ってくれた、学生スタッフのおかげですね。

みなさん、おつかれさまでした。

0801 萩 行 '10

怪我をして以来初めて山口県の萩の町を訪ねて、母と祖父母が眠るお墓に参って来ました。
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山道の先にある田舎の墓地なので車椅子でどうかな?と思っていましたが、何とかなるものです。視点が変わると、以前は全然気付かなかった迂回路がちゃんとあるのを見付けました。
地元のおじいさんおばあさんたちがお参りされているのですから、えぐい急坂以外のアクセスが無いはずは無いのに、目には映っていても意識できないものは見えていないものですね。

毛利家の菩提寺である東光寺まで足を延ばした帰り道、葺き替えて間もない茅葺き屋根の小さな家がありました。
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松下村塾の前身となった「玉木文之進旧宅」とか。公開されていたので見学させて頂きました。
昨年末に葺き替えたそうで、ボランティアの案内の方が「70代の職人が20代の後継者連れて葺きに来ました」と、嬉しそうに話してくださいました。

そういえば神戸でのくさかんむりのイベントに参加して下さっていた方も、山口県で茅葺きの修行をはじめたと聞いておりましたが、元気でやっておられるのでしょうか。
茅葺き屋根はその土地毎の日々の暮らしの中で育まれて来た文化ですから、地域性豊かな日本の茅葺きを次代に伝えるためには、各地に深く根を下ろした後継者が育つことが、とても大切なことだと思います。