0122 刈込み(軒刈り仕上げ)

最後に軒裏を刈り落として茅葺き屋根は完成です。
茅葺き屋根は台風の強風や雪の荷重といった、全体にかかる圧力にはかなりの程度耐えますが、部分的に力が加わると変形しやすいので、仕上がった屋根にハシゴをかけたり踏んだりすることはご法度です。
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ですから、軒を仕上げたらもう屋根に登ることは無いように、上から足場を外しつつ刈りながら下りて来て、最後に軒を刈り落とすのがセオリーですが・・・・
まだ足場が残っているのに軒を刈っているのは、棟上げ式の都合で屋根の足場を外せなかったためです。

でも、大丈夫。屋根は4面あるので別の面から上り下りできますし、軒刈りは一発勝負の仕上げと言いながら、建物の裏側なら多少の失敗であればリカバリーも可能です。
と、いう訳で、ワカモノ達も先輩に混じって軒刈り。実戦を通してしか仕事は覚えられませんから。
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茅葺きの際に出るゴモクは有機肥料や天然マルチとして最高なので、お茶の栽培が盛んな地域であったりすれば、近所の農家の方々が軽トラの列をなして取りに来られます。
特に「すさ」になった刈りくずは使いやすくて重宝しますよ。

ところが昨夜に久し振りのまとまった雨が降ってしまい、雨を含んだ刈りくずは普通のゴモクよりも細かいだけに、格別重くなってしまって掃除は大変です。
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きれいに刈込まれた屋根は水はけも良く、朝日が当たると湯気を上げてたちまち乾いて行きます。
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ただ積まれただけの茅は雨に打たれれば芯まで濡れて、日光にあぶられても簡単に乾くことがありませんが、同じ材料が屋根に葺いておくと雨が染むことも無く常に乾いています。
当たり前のことなのですけれど。

さて表側の軒は腕利きの職人を揃えて、こちらは本当に一発勝負で刈り落としました。
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表の軒は家の顔ともいえるところで、地面からも近く良く見えますから、手直しの跡を残したりする訳にはいきませんので。