0716 苫葺き

二階の瓦屋根をそのままに、その上に茅葺きの下地を組んで行きます。
既存の建物に負荷をかけないように、なるべく軽くしたいので、杉丸太や孟宗竹を使わず、真竹だけで組んで行きます。
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つまり、釘や金物は使えないということ。滑る竹を縄で組み上げて行くには、がっちり固定するのではなく、柔らかく力を分散させるイメージが大切です。

万一の飛来落下防止にワイヤーは取ってありますが、竹下地は瓦屋根の上に帽子のように被せてあるだけ。
建築の屋根を葺き変える改修ではなく、工作物の設置なので、建築基準法で定めるところの届けは必要ありません。
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上の方にはみ出している垂木の先は節のところで切って除きます。今は飾りみたいですけれども。

出来上がった下地に、用意しておいた苫を広げて行きます。茅葺き屋根を葺くときは、屋根の外側から葺く場所の下に立ち作業しますが、苫葺きは屋根の内側から身を乗り出し、葺く場所の上に立ち作業します。
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「葺く」というより「吊る」感じ。
今回は既存の瓦屋根と、茅葺き下地の間の隙間が小さかったので、下向きの作業は腰にこたえたようですが、屋根表面に足場を設置する必要も無いし、外側で作業するより安全です。

下地さえ出来ていれば、これだけの屋根の片側葺くのに、2人で半日かかりません。
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薄い苫葺き屋根には耐久性はありませんが、葺き替えるのはとても簡単です。毎年生えてくる草を編んで苫をつくり、傷んだところだけ葺き替えて、古くなった苫は畑の肥料に。ゴミにならずに潔く地面に還ります。

2 thoughts on “0716 苫葺き

  1. ichide 投稿作成者

    おお!面白い工法ですね。
    瓦は暑くなるが、涼しいかもしれない。
    また、冷害も防げるかもしれない。
    この屋根は中耐久というか、半ば消耗の考え方でしょうか?

  2. shiozawa 投稿作成者

    ichide さん、コメントありがとうございました。

    キセカヤの設置の仕方にもよるのですが、秋になったら苫は外すのもありなんです。その場合、3〜5年くらいは繰り返し使えます。傷んだ分だけ新しい苫を編んでローテーションできます。

    年間通して設置していれば、冬は暖かいと思います。良く誤解されるのですが茅葺きは断熱材ではありません。通気性があるので。しかし、すぐれた遮熱性能で放射冷却を防ぎます。

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